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寝る前にスマホを充電している人は多い
寝る前にスマホを使ったり充電したりするのは、現代では珍しくありません。実際、NTTドコモの調査によると、布団に入ってからスマホを使う人は6割以上で、特に20代女性は約9割という結果もあります。また、スマホのバッテリーは一日中使っていると、夜にはかなり減っています。そのため、多くの人が寝る前にスマホを充電器に接続し、朝まで充電したままにしているのです。
しかし、この何気ない習慣が、スマホのバッテリーを劣化させたり、さらには事故を引き起こす原因になることもあります。
寝る前にスマホを充電器に接続してはいけない理由
スマホを寝る前に充電器につなぎっぱなしにする習慣は、実はバッテリーにとってよくありません。なぜ充電したまま寝るのが良くないのか、その理由を詳しく解説します。
①バッテリーが早く劣化してしまう
スマホのバッテリーは一般的にリチウムイオン電池と呼ばれ、充電を繰り返すことで徐々に劣化します。特に、バッテリーが100%充電された状態で長時間放置すると、「トリクル充電」といって小さな充電が繰り返されます。これにより、バッテリーの内部で化学変化が起こりやすくなり、寿命が短くなります。
最近のスマホには「バッテリー充電の最適化」(iPhone)や「いたわり充電」(Xperia)などの機能がついていますが、これらの機能も万能ではなく、毎晩のように満充電のまま放置すると、バッテリーの性能が著しく低下する可能性があります。
②スマホが熱を持ちやすくなり危険
寝る前にスマホを枕元や布団の中で充電していると、スマホ自体が高温になりやすくなります。スマホが高温になると、バッテリーへの負担が増えるだけでなく、最悪の場合、発火事故の危険性もあります。東京消防庁によれば、リチウムイオン電池による火災事故は年々増えており、その多くは充電中の発熱が原因とされています。
特に布団や枕の下など通気性が悪い場所に置いた場合、熱が逃げにくくなり、より危険性が高まります。
③ケーブルや充電器の異常が火災につながることも
スマホの充電ケーブルは、長く使っているうちに断線したり、コネクタ部分が変形したりすることがあります。また、ほこりやゴミが付着すると電流が不安定になり、発熱や発火を引き起こす原因となります。寝ている間はこうした異常に気づきにくく、知らないうちに火災のリスクにさらされている可能性があります。
特に、非純正品や安全規格(PSEマークなど)のない充電器・ケーブルを使うことは避けるべきです。
④バッテリーが膨張してスマホが故障する可能性も
長期間、満充電状態で放置すると、バッテリー内部のガスが発生して膨張することがあります。バッテリーが膨張するとスマホ本体に圧力がかかり、画面が浮き上がったり、基盤が破損してしまったりする場合があります。これはスマホの故障の原因にもなりますし、安全上も危険です。
特に劣化が進んだバッテリーほど、膨張リスクが高くなるため注意が必要です。
⑤バッテリーが0%近くまで減るのも良くない
寝る前にスマホのバッテリー残量が少ないと、急速充電で一気に充電しようとします。これはスマホのバッテリーにとって負担が大きく、発熱やバッテリーの劣化を加速させてしまいます。残量が20%を切ったら適度に充電し、できれば80%程度で止めるのが、バッテリーにとっては優しい充電方法です。
⑥睡眠の質が悪くなることもある
寝る直前までスマホを操作し、そのまま充電しながら枕元に置いていると、睡眠の質が悪くなることがあります。スマホのブルーライトは脳を刺激し、睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌を抑えてしまいます。また、充電中の通知やバイブレーションが睡眠を妨げる要因にもなります。
充電しながら寝るという習慣自体が、健康的な睡眠を妨げる可能性もあることを理解しておくべきでしょう。
スマホのバッテリーを長持ちさせるためのポイント
スマホをより安全に、そしてバッテリーを長持ちさせるためには、いくつかの重要なポイントがあります。日常的に意識できる簡単な方法から、スマホに搭載されている機能を使った方法まで紹介します。
バッテリーは20%〜80%をキープする
スマホのバッテリーを最も長持ちさせるには、常に20%から80%の範囲で保つのが理想的です。リチウムイオン電池は満充電や完全放電に近い状態になるほど負荷がかかり、劣化が早まります。可能な限り充電が100%にならないよう意識し、充電が完了したら速やかに充電器を外しましょう。
充電中にスマホを使わない
充電中に動画を見たりゲームをしたりすると、スマホが高温になります。バッテリーが熱を持つと、劣化が早まるだけでなく、発火リスクも高まります。充電中はなるべくスマホを使わず、涼しい場所で静かに置いておきましょう。
スマホケースは充電中に外す
充電中にスマホケースをつけたままだと、熱がこもりやすくなります。特に厚みのあるケースやシリコン製のケースは放熱性が悪いため注意が必要です。充電する時はケースを外すだけで、スマホの温度を大きく下げることができます。
充電器やケーブルは純正品を使う
安価な充電器やケーブルは、安全装置が十分に機能しない場合があります。電圧や電流が不安定になり、バッテリーへの負担が増加するだけでなく、最悪の場合は火災の原因にもなります。少々高価でも、メーカー純正品や安全規格(PSEマーク)のある充電器・ケーブルを選びましょう。
充電ケーブルを定期的にチェックする
ケーブルの断線やコネクタの変形、ホコリの付着があると、充電中に異常な熱が発生することがあります。ケーブルを定期的に点検し、断線や異常を見つけたら速やかに交換しましょう。定期点検が火災や事故を未然に防ぐことにつながります。
ワイヤレス充電器を活用する
置くだけで充電が始まるワイヤレス充電器は便利なだけでなく、ケーブルの抜き差しによる破損や異物混入リスクを抑えるメリットもあります。ただし、ワイヤレス充電は位置がずれていると熱がこもることがあるため、充電開始時にはきちんと中央に置くよう注意してください。
スマホの充電管理機能を使う
最近のスマホにはバッテリーの劣化を抑える「最適化充電」や「いたわり充電」といった機能が標準で搭載されています。これらをオンにすると、スマホがユーザーの充電習慣を学習し、必要以上にバッテリーをフル充電の状態にしないよう自動で調整してくれます。
iPhoneの場合は「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」、Androidの場合は機種ごとに異なりますが、「設定」→「バッテリー」などの項目から有効にできます。
まとめ
スマホの充電は日々の習慣になっているため、気づかないうちに間違った方法が定着しがちです。重要なのは「毎晩必ず充電」ではなく、「適切な充電を必要な時に行う」という意識です。
また、もしバッテリーの減りが急に早くなったと感じたら、設定アプリのバッテリー項目からバッテリーの劣化具合を確認できます。スマホを長く安全に使い続けるためには、充電方法の見直しと、バッテリー状態のこまめな確認を習慣にすることが何よりも大切です。