遺骨を処分する方法と法律

遺骨 処分

みなさんもご承知のように、身内の「遺骨」はふつう、お墓や納骨堂に収めておくべきものです。しかし事情によっては、納骨している遺骨を自分たちが預かることになる場合もあります。あるいは、「遺品整理」の際に、故人の持っていた「遺骨」がひょっこり出てきてしまって、扱いに困っているという方もいるかもしれません。そこで今回は、預かったはいいもののどうしていいかわからず、「遺骨」の扱いに頭を悩ませている方のために、「遺骨の処分」方法を説明していきたいと思います。近年では、そうした悩みを抱えた方が、遺骨をトイレに流して逮捕沙汰になってしまったケースも実際にあるようです。そうした遺骨の処分は、「遺棄罪」と「器物損壊罪」に該当してしまうので、くれぐれも勝手な解釈で処分しないように注意してください。

遺骨を処分する方法

遺骨 処分

お墓に収める

引き取った遺骨をどうすればいいか迷ったときは、まずはお墓に収めなおす選択肢を検討してみてください。どのような経緯で遺骨を預かることになったのかは、それぞれに事情があるかと思います。自分たちの状況をかんがみながら、遺骨をお墓に収めるかどうかを判断しましょう。もしも遺骨をお墓に収めたいと考えたなら、故人の宗派に合った寺をたずねて、区画と墓石の購入を相談しましょう。その遺骨が近しい親族であるならば、一族のお墓に収めることも可能です。ぜひご検討ください。

お寺の「送骨」サービスを利用して永代供養してもらう

人によっては、遺骨をお墓に収めない(お墓はいらない)という判断をなされる方もいることでしょう。では、そうした人たちは、どのように遺骨を処分すればよいのでしょうか?

「遺骨の処分」に悩む人たちが増加傾向にあることを受けて、近年ではお寺が率先して解決に乗り出しています。それが「送骨」というサービスです。3万円ほどの料金を支払えば、読経で永代供養をしてくれます。そのあと、遺骨は「合祀墓(ごうしぼ)」という場所に収められます。「合祀墓(ごうしぼ)」とは、「永代供養墓」や「共同墓」とも言われる納骨場所のことです。「共同」で納骨をするので、そこに収められている他の遺骨とは血縁と関係がないので、ご注意ください。

ただし、この「送骨」というサービスを利用する際は、くれぐれも宗派に気をつけてください。遺骨と宗派の関係をよく考えずに「送骨」を依頼すると、宗派をめぐって親戚といさかいが起こってしまう可能性があります。

遺骨を「自力散骨」する

お金をかけたくない方は、自分で遺骨を粉骨して「私有地」や「海」に散骨することができます。これを「自力散骨」といいます。遺骨をそのままの状態で捨てると「遺棄罪」や「器物損壊罪」が適用されてしまいますが、「自力散骨」は日本においては合法として扱われているのです。

当たり前のことですが、基本的に遺骨は、「火葬」された状態の形を維持しています。骨壺に入れるため、多少の粉骨処理はしてありますが、形状はあくまでも「人骨」のままです。そのため、自分たちの手で散骨をする場合は、「粉骨」をしなければなりません。

遺骨を粉骨する際には、骨壺の中身をビニールなどに入れて、ハンマーなどを使って砕くことをおすすめします。細かく砕くように心がけてください。砕いたあとは、さらに細かくすり潰す必要があります。ごまをすり潰す要領で行いますので、なかなかの労力がかかります。

手間と労力は費やさなければなりませんが、このように「自力散骨」をする方法がありますので、参考にしてください。自分の手で遺骨を粉骨するのは気が引けるという方は、ほかの手段を検討したほうがよいでしょう。

粉骨代行サービスを利用する

「自力粉骨」ができないという方には、「粉骨」を代行するサービスの利用をおすすめします。業者にもよりますが、粉骨代行の相場はだいたい2万円前後と言われています。しかもこのサービスは、たいていの場合、「散骨」も込みのプランがありますので、「粉骨」と「散骨」を両方代行してもらいたいという方には非常に向いていると言えるでしょう。

遺骨の処分に関する法律と注意点

遺骨 処分

遺骨をそのままの状態で「散骨」すると遺棄罪が適用される

さきほども説明した通り、預かった遺骨をなにも処理しないまま「散骨」すれば、散骨場所を問わず、「遺棄罪」が適用される恐れがあります。なにしろ遺骨は、「人骨」の状態を維持しています。このままの状態で散骨された遺骨を他人がみたら、「事件」だと思うでしょう。こうしたトラブルを想定しているからこそ、日本では人骨の原型をとどめた散骨を違法化させているわけなのです。

葬送の目的で「粉骨」することは違法にはならない

「自力粉骨」が違法になるのではないかと心配される方も、きっといるはずです。ご安心ください、「粉骨」という行為は、それが故人の葬送を目的としているかぎりは違法になりません。日本政府も「自力粉骨」は違法にはならないと明言しているので、心配はいらないのです。

散骨するための「提出書類」は必要ない

「散骨するときは行政機関に申請する必要があるのでは?」という疑問は、当然のように浮かんできますよね。しかし、「散骨」に関する許可申請や必要書類が、現状では存在しないのです。不思議なことに、お墓や納骨堂に遺骨を納める際には役所からの許可が必要なのに対し、「散骨」の場合は、そのような処置が一切必要ないというのです。ちょっと不思議ではありますが、事実は事実。「散骨」の際には許可を申請するわずらわしさがないというふうに考えればいいのです。

遺骨の処分の代行サービス

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お寺の「送骨」サービスを利用して永代供養

さきほども説明しましたが、相場3万円前後の料金を支払えば、遺骨を永代供養してもらうことができ、「合祀墓(ごうしぼ)」に納骨することができます。「自力粉砕」するのではなく、きちんと供養をしてほしいという方にはおすすめです。

戒名つきの永代供養サービス

お寺には、「送骨」よりもグレードの高い永代供養サービスもあります。相場20万円~30万円ほどで、読経・戒名・個別の永代供養墓が受けられます。血縁に関係のない遺骨が一緒に収められる「「合祀墓(ごうしぼ)」」に気が進まない方にはおすすめです。こちらは、遺骨ごとに、きちんと個別の永代供養墓を用意してくれるからです。その後は、管理費(遺骨保管料)の費用が発生します。

遺骨の「散骨」代行サービス

じつは日本には「散骨業者」なるものが存在します。内容は、粉骨場所に困った人たちの代わりに自前のボートや船で海に「散骨」をしてくれるサービスです。費用相場は、10万円前後と言われています。

遺族が参加できる散骨代行サービス

遺骨を散骨業者に任せっきりにするのもしのびないという方も、もちろんいるはずです。しかし、そうはいっても、散骨する場所をなかなか見つけられず、困ってしまいますよね。そんなときは、散骨を代行しながらも、遺族の同伴を許可している業者をあたってみることをおすすめします。費用相場は、20万円~30万円前後と言われています。たしかに通常の散骨代行業者よりも費用はかさみますが、遺族で一緒に散骨の瞬間に立ち会える貴重な機会を考えれば、けっして損ではないはずです。

最後に

遺骨 処分

さて、みなさんいかでしたでしょうか。世の中には、さまざまな事情により、遺骨を自分たちで預からなければならなくなった人たちがいます。多くの方は、遺骨をどうすればいいのか、きっと頭を悩ませていることでしょう。そんなとき、みなさんがこの記事を読んで、遺骨の処分に関するお悩みを、少しでも解決できれば幸いです。

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