目次
水引の向きの基本
では始めに、水引の向きによる基本ルールをおさらいします。水引は向きによって意味が異なります。しかし、祝儀袋・不祝儀袋どちらにも上向きの水引がある。一体なぜでしょうか?
上を向いている水引
上に向いている水引を「結び切り」と呼びます。(または、本結び・こま結び・真結び)結び切りは、結婚祝いの御祝儀や葬儀でのご霊前として使用される水引です。封筒の真ん中でギュッと固めに結ばれており、簡単にはほどくことができません。結び直すことも困難。なぜなら、結び切りの意味は「この行事や出来事が繰り返し起きませんように」という意味が込められているからです。
つまり、結婚祝いとしてなら「もう一度結婚式をあげませんように」「この夫婦が離婚したり再婚したりせず、末永く幸せでいられますように」という想いが込められています。ご霊前なら「これ以上、この家族に不幸が続きませんように」という想いです。
また、快気祝いなどでも「またけがや病気になりませんように」という意味でこの結び切りが使用されます。おめでたい気持ちや、悔やむ気持ちに対して形にはするけれど「今回で最後であってくれ」という願いと共に、結び切りを送りましょう。
水引が下を向いている
水引が下を向いているのは、「蝶結び」と呼ばれる結び方です(または、リボン結び・花結び)結び切りと違って、蝶結びは簡単にほどくことができます。結びなおしも容易です。つまり、「何度起きても喜ばしいこと」に対して使用する水引。不祝儀には使用せず、「何かいいことが起きた時」ならほぼなんでも使用できます。では、何度起きても喜ばしい事って一体何があるのでしょうか?
- 出産
- 進学
- お礼
出産祝いは、「何度起きても喜ばしいこと」なので蝶結びの水引を使います。家族が増えるというのは大変おめでたい事ですよね。
また、高校や大学の進学祝いにも蝶結びは使われます。子どもの成長はいくらあっても嬉しいものですよね。進学だけでなく、社会人になれば入社祝いや出世祝いにも使用されます。他にはお世話になった人に、お礼や挨拶としても蝶結びは活用できます。
以上の様に、何度起きても喜ばしいと感じる慶事に使うのが蝶結びの水引です。あらゆるお祝い事に持っていく水引は、基本的に蝶結びを選びましょう。
デザイン水引の向き
水引は向きや結び方によって使い分ける必要があることがわかりました。しかし、水引には蝶結びと結び切り以外にもいくつかデザインがあります。単に「おしゃれだから」と、デザインだけで水引を選んでしまってはマナー違反を起こしてしまうかもしれません。では、どのようなシーンに使い分ける必要があるのでしょうか?今回は、2種類のデザイン水引を紹介します。
あわじ結び(あわび結び)
あわじ結びとは、結び切りと同じ意味合いを持つ水引です。つまり、「繰り返してほしくない」場合に使われる水引。もちろん紐は上を向いており、結婚祝いなどで使用されます。水引は、紐を引っ張ることでするりと紐がほどけてしまいます。しかし、あわじ結びは紐の両端を引っ張ることでより強く結ばれる結び方がされています。この事から、「末永く、切れることのない縁でありますように」という願いをこめて送ることができます。
なぜあわじ結びと呼ばれるのかというと、兵庫県にある淡路島近くの海峡で発生するうず潮に形が似ていることからあわじ結びと名前が付けられたそうです。
鶴のデザイン水引
鶴を模した紐が一緒になった水引です。結婚祝いや結納品によく使用されます。結び切りと同じ「繰り返してほしくないお祝い事」に使用される水引ですね。しかし、鶴のデザイン水引は上を向いているタイプと下をむいているタイプの両方があります。どちらも結び切りと同じように使用してよいのでしょうか?正解は、「どちらも結び切り」です。
下向きはイメージ的になんだかネガティブな印象を受ける人も多いようですが、実は「受け取る人に幸福を与える鶴が舞い降りる」という素晴らしい意味が込められています。上向きも縁起物であることには変わりありませんが、「幸福が飛んで逃げてしまう」という説もあるようです。ただし、上向きを渡してマナー違反になるということはありません。なので、鶴の水引は上向き下向きどちらを渡しても問題はないでしょう。
水引のマナーと注意点
水引を選ぶ際のマナーや注意点をご覧ください。
紐の数
水引に使用される紐の数は基本的に5本。3・5・7・9本と奇数の紐で結ばれています。紐の数で意味が変わるわけではありません。しかし、3本と5本は簡単な結ばれ方、7本と9本は丁寧な結ばれ方がされているので、本数を増やすことでより相手に敬意が伝わるでしょう。
また、通常は奇数の紐で結ぶ水引ですが、10本の水引もあります。10本の場合は「婚礼用」です。この数字は、夫婦とその家族の人数を表していると言われています。水引の紐の数が奇数になっている場合はお祝い事、婚礼用では10本の紐からなる水引を使用してください。
お見舞い用の水引
お見舞い用にお渡しする水引は、派手なデザインを持って行ってはいけません。シンプルなデザインの水引を持っていきましょう。また、のしを付けるのも避けてください。のしは主に贈り物としての意味合いを持ちますのでお見舞いには適していません。
お見舞い用の水引が販売されています。封筒の左側に赤い線が入っているデザインです。その際は、必ず「結び切り」を選んでください!蝶結びは絶対NG。「何度も起きてほしい」という意味なので、お見舞いに持っていくと失礼になります。
宗教に気を付ける
お相手がどの宗教に属しているのかによっても、水引選びが必要になります。キリスト教の場合は、水引が結ばれている封筒は使用しません。神道と仏教は水引を使用します。結び方などの意味合いも同じです。しかし、「蓮」のデザインが入ったのしは神道では使用しません。蓮は仏教を意味するデザインです。注意してください。
水引の種類と用途
水引には紐の色や結び方によって用途が変わります。紐の色と結び方の組み合わせを見ていきましょう。
紅白の水引
紅白の水引が結び切りの場合は、結婚祝いや快気祝い、またはお見舞いなどに使用してください。
紅白の蝶結びの場合は、お祝い事全般に使用されます。使用する場面は以下です。
- 出産祝い
- 長寿のお祝い
- 新築
- 開店祝
- 中元
- 歳暮
- 年賀
以上のように、紅白の水引はあらゆる場面で使用されます。お祝い事があれば、基本的に紅白の水引を用意して問題ないでしょう。
金銀の水引
金銀の水引は、赤白と違い儀式的な意味合いが強い水引です。蝶結びの場合は、神社でのお祓いや祈祷を行う際、神主に祈祷料としてお渡しする水引になります。また、金と銀の装飾は非常に豪華なので、新築祝いなどでちょっと特別に祝たい時に使用してもよいでしょう。もちろん金銀の結び切りを、長寿祝いや結婚祝いでお渡ししてもOKです。
黒白の水引
黒と白の水引は、法事全般で使用します。何度も起きてほしい事ではないので、結び切りのみです。ご霊前や香典を包んで使用しましょう。当然ですが、のしはつけません。
また地域によっては、お布施を包む時にもこの黒白の水引を使用します。
まとめ
以上が、知らないと損する水引の向きの意味や基本マナー、種類や色による用途の違いでした。水引選びを一歩間違えると大変なことになってしまいます。「何度も起きてほしい事」には蝶結び、「これ以上起きてほしくない事」には結び切りを使用しましょう。また、お祝い事だからと言って全て蝶結びではありません。結婚祝いの様に「一生に一度だからめでたい」ものもあるので、向き選びは特に気を付けましょう。
そして、水引はに色がいくつかあります。それぞれお祝い事・弔い事・神事などで違います。赤と白はお祝い事でマルチに使用できる色です。黒と白は弔い事のみ。絶対にそれ以外に使用してはいけません。金と銀の水引は神事用。金銀水引は神事用以外にも、ちょっと豪華に祝儀袋を飾りたい時に使用するのもおすすめです。
今回の記事を参考に、シーンに適した向きや色、伝えたい気持ちの大きさで水引を選びましょう。