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フィリピンの村がデング熱対策のために蚊に5匹で2.6円の懸賞金 村人殺到も疑問視する声が多数
フィリピンのマニラ首都圏にあるアディションヒルズでは、デング熱対策の一環として、デング熱ウイルスを媒介する蚊5匹で1ペソ(日本円で約2.6円)の懸賞金をかけたことが話題となっています。蚊の生死は問わないということです。
この取り組みを始めた同村のカルリト・セルナル村長は、地域の清掃活動に加えて行うことで、デング熱の拡散を抑える大きな効果が見込める可能性があると話しています。
AFPの取材に応じたフィリピンの保健当局者や専門家の中には懐疑的な見方を示した者もいましたが、19日には懸賞金を受け取るために、村人たちが役場に列を成しました。
2023年、フィリピンではデング熱の感染者が16万7355人にも上り、そのうち575人が死亡したことが確認されています。世界保健機関によると、西太平洋地域で最もデング熱の影響を受けているとのことです。
また、フィリピン保健省で報道官を務めるアルベルト・ドミンゴ医師によると、今年に入って2月1日時点で感染者数は2万8200人に上っており、前年の同時期と比べると40%も感染者数が増加していることが判明しています。
19日、ドミンゴ医師は地域社会が場当たり的な取り組みを開始する前に保健当局と相談することは重要であると述べ、デング熱への最も効果的な対策は基本に立ち返ることだと話しました。
さらに「早急に周囲を清掃し、よどんだ水がたまる可能性のある場所を一掃すれば、デング熱とより効果的に闘うことができる」と述べ、虫除け対策や長袖を着用することで身を守るように住民に呼びかけています。
公衆衛生の専門家アンソニー・レチョン氏は、あらゆるデング熱対策の試みを歓迎する一方で、今回のアディションヒルズの取り組みは「ほとんど、あるいはまったく効果がない」と指摘し、小銭を稼ぐために蚊を養殖し、問題をさらに深刻化させる者が出てくる可能性もあると警告しました。
このニュースに寄せられたネットの声
「成虫を駆除しても余り効果は無いと思う」
「人の欲は行動の動機になります。それを利用する事を思いついたのは良かったですが、他の方が言うように、お金欲しさに蚊を増やす人が出て来て本末転倒な状況になる確率が高そうに思います」
「問題を解こうとして、かえって事態を悪化させることがあります」
「僅かなお金だと思うけれど、目の前の懸賞金にワクワクしながら蚊を捕まえた人たちがたくさんいたんじゃないかな」
「先ずはチャレンジで、少しでもデング熱対策になればいいですね」
アディションヒルズが始めた取り組みには、賛否両論が集まっています。悪知恵を働かせて事態を深刻にする人が現れるのではないかと危惧する声や、新たな試みで住民の財布も潤い、デング熱も対策できれば一石二鳥だという声もありました。