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予想と予測の違い
「予想」と「予測」は、「将来のことを前もって見当をつける」という意味に使われていますが、それぞれ微妙に意味が違います。「予想」と「予測」の大きな違いは「根拠」があるかないかです。
予想と予測の使い方の例
- 予想:どうなるか根拠は無いが考えた
- 予測:どうなるか根拠に基づいて考えた
「予想」は何も根拠が無く、自分だけが納得できる意見のことで主観的です。「予測」は根拠に基づいて、誰もが納得できる事実のことですので客観的です。「予測」は根拠・時事に基づいて見当をつけますので、「予想」より信頼性が高くなる言葉となります。
「予想」と「予測」には同じ「予」という文字が使われていますが、「予」は、あらかじめ、前もって、などの意味になり、今や過去ではなく未来のことをさします。例えば他に「予」がつく単語として、予定・予報・予言などがありますが、すべて今や過去のことではなく未来のことだということが分かると思います。
「予想」と「予測」は未来のことですので「それが結果的に正しいかどうかはわからない」という意味においては共通です。
次は「予想」と「予測」のそれぞれの意味をご紹介したいと思います。
予想は「主観的」
日常会話で「予想通りの結果になった」「予想を裏切られた」「予想が的中する」「予想もしなかった」などの言葉を、聞いたり使ったりしたことがあると思います。
「予想」とは、まだ起きていないこと・成り行きや結果・将来について、自分が考えたこと、または自分が思った内容という意味があり主観的です。主観というのは自分だけが納得できる意見のことです。
「予想」の漢字一文字の意味
- 「予」の意味:あらかじめ、前もって
まだ起きていないことや未来の結果などのことをさします。 - 「想」の意味:心の中で思う、計画を立てる、イメージする
特に根拠は無く、漠然と思ったことをさします。
あくまでも個人の心の中で思うことですので、「心の中で漠然と思った」といった個人の主観から見当をつけることを意味する言葉です。なぜそう思ったのかの「根拠」は含まれません。
予測は「客観的」
日常生活で「天候を予測する」「被害を予測する」「地震を予測する」「予測を立てる」「数値を予測する」「予測に反して」などの言葉を聞いたことや使ったことがあると思います。
「予測」とは、まだ起きてないことや成り行きや結果について、前もって何らかの「根拠」によって考えた内容を指し客観的です。客観的というのは誰もが納得できる事実のことです。
「予測」の漢字一文字の意味
- 「予」の意味:あらかじめ、前もって
まだ起きていないことや未来の結果などのことをさします。 - 「測」の意味:おしはかる、はかる
何らかの根拠に基づいて結果を見当付けることをさします。
「予測」はそう考える「根拠」や「データ」などを元におしはかることを意味します。客観的ですので個人が心の中で思っただけの漠然とした考えは入りません。
予想と予測の使い分け
「予想」と「予測」の共通点は、「将来のことを前もって見当をつける」また、「それが結果的に正しいかどうかはわからない」という意味においては共通ですので使い分けに戸惑うことがあるかもしれませんが、根拠がないことは「予想」、根拠があることは「予測」と覚えておきましょう。
使い分け方・見分け方
「予想」なのか「予測」なのか分からなくなった時の、簡単な見分け方をご紹介いたします。
こんな時は予想
- 特に根拠はないけど・・・
- 私の勘では・・・
- ふと思いついたけど・・・
- なんとなくそんな気がする・・・
混雑が予想される
テストの点数が予想以上に良かった
まさか会うとは予想もしていなかった
こんな時は予測
- 過去のデーターをみると・・・
- 専門家の話では・・・
- 研究結果を見ると・・・
今日の雨量は予測通りだった
来月の天気を予測する
株価の上昇は予測通りだった
予想と予測の例文比較
梅雨入りはいつかについて
現在、5月1日で、4月は雨の日が多かった。ここ3年間の梅雨入りは6月6日~6月8日頃だった。
- 予想
今年は4月から雨の日が多いので、私の勘では梅雨入りは5月の中旬だと思う。 - 予測
過去3年間のデーターによると、梅雨入りは6月6日~6月8日にくると考えられる。
宝くじの当たりについて
新年のおみくじは大吉だった。宝くじの一等が出た売り場で吉日に宝くじを買うことにした。
- 予想
今年は大吉だから1等の出た売り場で吉日に買えば1等が当たる気がする。 - 予測
宝くじの1等が当たる確立は0.00001%だから今年も当たるとは思えない。
温暖差について
昨日は暑かったのに今日は寒い。今年の梅雨時は温暖の差が激しい。
- 予想
しばらくはこの温度差は続くと思う。 - 予測
気象庁のデーターによるとこの温度差はしばらく続く見通し。
「予想」か「予測」かは「単なる個人的な主観だけがベースなのか?」「そう考える基になり根拠やデータが存在するのか?」の違いで、これらの言葉の使い分け方が想像できそうですね。
似たような意味合いの言葉
「予期」「予見」「推定」「推測」「想定」「仮定」など、「予想」と「予測」以外にも似たような意味の言葉があります。
「予期」
予期とは、「あらかじめ期待すること」「前もって覚悟すること」をいう意味があります。
使い方
- 予期せぬことが起こった・・・
- 予期に反して・・・
- 予期を裏切り・・・
- 予期した通り・・・
- 予期していなかった・・・
使い方の比較:「予想」「予測」「予期」
「○○したとおりの結果」で使えるのは、予想・予測・予期
「○○が外れる」で使えるのは、予想・予測
「○○外の出来事」で使えるのは、予想
「○○せぬ事態が起こる」で使えるのは、予期
「○○に反して」で使えるのは、予想・予測・予期
「○○が的中する」で使えるのは、予想・予測
「予見」
予見とは、物事が起こる前に、あらかじめその事を見通すことです。現在の状況から先々に起こることの見当をつけます。
事故の発生を予見する
今日という日がくるのを予見する
「推定」
推定とは、はっきり分からないことを、何らかの証拠・根拠をもとに見当をつけることです。「推」はおしはかること、「定」はさだめることを意味します。
出火の原因を推定する
犯人は30歳と推定される
「推測」
推測とは、わからないこと・確かではないことを、何らかの根拠をもとに考えることです。「推定」と同じく客観的に事実や証拠をもとに考えますが、「推測」はものごとの成り行きや心の中のことをおしはかり、「推定」は現在の状況をおしはかります。
天気図をもとに明日の天気を推測する
成績が落ちた子供の気持ちを推測する
「想定」
想定とは、ある条件や状況を仮に考えてみることです。
火災を想定して火災訓練をする
想定外の事故がおこった
「仮定」
仮定とは、事実に関係なく仮にそうだとすること・定めることです。
明日は雨だと仮定すると・・
噂が事実だったと仮定すると・・・
最後に
普段、特に深く意味を考えずに、なんとなく使っている日本語は多いのではないでしょうか。深く意識せずに、日々の中でなんとなく使い分けているけれど、いざ、それらの意味の違いについて尋ねられると、うまく違いを答えられない…ということは、よくあることだと思います。
同じような意味であっても、使用するシーンによって変わる言葉もあります。その微妙な違いを把握すると使い分けや使い方も分かってきます。特にそういう考えに至る根拠やデータ、過去事例などがあるわけではなく、ただ自分がこう思った、なんとなく「勘」でそう思っただけ…という場合は「予想」を使いましょう。