ポリウレタンとは!メリットとデメリットや特徴

ポリウレタン

衣類やスポーツ用品、工業製品など身の回りで「ポリウレタン」が使用されている物はたくさんあります。ポリウレタンはたくさんのメリットを持つ便利な化学繊維ですが、注意点や特徴について知らない方も多いでしょう。ポリウレタンの用途や歴史に触れながら、日常でも使えるポリウレタンのメリット・デメリットや特徴に迫ります。

ポリウレタンとは

ポリウレタン

「ポリウレタン」とはプラスチックの一種です。プラスチックといえば硬いイメージが一般的ですが、ゴムのように柔らかいプラスチックが存在し、ポリウレタンはそのグループに位置します。

ポリウレタンの大きな特徴は、引っ張りに対する強度や耐摩耗性に優れている点です。また、ポリウレタンは「ウレタン樹脂」「ウレタンゴム」という別名も持っています。

ゴムは大きく分類すると2つの種類に分けられます。天然の樹液から作られる「天然ゴム」と、分子の重合によって作られる「合成ゴム」です。ポリウレタンは後者の合成ゴムの種類のうち、JIS規格上Uグループ(主鎖に炭素と酸素および窒素を持つゴム)という部類に属しています。

他の合成ゴムと比較すると耐熱性や耐水性の点で劣ります。しかしその用途は非常に幅広く、実際にあらゆる工業製品に使用されている素材です。身近なところでは天然皮革やストレッチ素材の服、コーティング樹脂などに使用されています。

ポリウレタンのメリットとデメリット

ポリウレタン

工業製品や私たちの身の回りで活躍しているポリウレタンですが、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

メリット

ポリウレタンは「柔軟性」に優れ、引っ張られることに強いという特徴があります。まるでゴムのような伸縮性があり、繊維状のポリウレタンを使用した衣類などで確認できる特徴です。ポリウレタンの繊維の中では、伸ばしたときに元の長さの5~7倍になるポリウレタンも存在します。

一般的なゴムの場合、伸ばしすぎると元の形に戻らないケースがあります。しかし、ポリウレタンは元の状態に戻りやすいため、頻繁に伸ばしすぎて伸縮性が失われてしまう心配は少ないです。

ポリウレタンは防振・防音効果も高い素材です。発砲ポリウレタンとして加工され、防振用のパッドとしても使用されます。

また、ポリウレタンはスポンジ型の吸音材としても利用され実用的です。反響音の軽減や音場調整材として、また録音用のスタジオや音楽教室などの防音工事の際に使用されます。

そして、ポリウレタンには衝撃に強いというのもメリットに挙げられます。そのため、低反発のポリウレタンフォームとして加工され、精密機器のケースの衝撃吸収材として使用されています。

デメリット

ポリウレタンのデメリットとして挙げられるのはまず、耐熱性が低い点です。そのため、アイロンがけに注意が必要なこともデメリットでしょう。

また、水分によってポリウレタンの劣化が促進される為、水に弱いと言えます。さらにポリウレタンは、日光に含まれる紫外線の影響を受けると劣化が促進されてしまいます。

化学繊維とはいえ、ポリウレタンも空気中の菌などの微生物の影響を受け、分解されやすくなるので注意が必要でしょう。

ポリウレタンの特徴と注意点

ポリウレタン

実用性の高いポリウレタンですが、どんな特徴や注意点があるのでしょうか?

特徴

ポリウレタンはゴムのような伸縮性を持ち、元の長さの5倍〜8倍に伸びるのが特徴的です。繊維として細く加工することもでき、私たちの身の回りの衣類の素材として利用されています。また、繊維の中では比較的軽い素材でスポーツウェアによく使用されます。

しかしポリウレタンはプラスチック素材ですので、熱に弱いことも特徴です。ポリウレタンは化学繊維であることから、様々な硬度の繊維を作りだせる点で便利というのも特徴の1つです。

注意点

ポリウレタンの注意点の1つとして、経年劣化が著しい点が挙げられます。特に加水分解という現象で劣化が見られます。加水分解とは水分に反応して起こる現象であり、ポリウレタンの内部の強度が低下します。ヴィンテージ物のスニーカーによく見られる劣化現象ですね。

一般的にポリウレタンの衣服は、製造されて約2年から3年が寿命とされています。たとえ新品であっても、ポリウレタンは合成された時点から少しずつ劣化が始まるため、寿命がくることは避けられません。

また熱に弱いこと、紫外線の影響を受けやすいことから、直射日光を避けるよう注意が必要です。さらに水にも弱いので、空気中の湿度や普段の洗濯にも注意を払う必要があります。

ポリウレタンの用途

ポリウレタン

では実際に、ポリウレタンはどのような物に使用されているのでしょうか?

私たちの身の回りに多いのは衣類ですね。伸縮性のあるストレッチ素材でできたデニムやシャツは、ポリウレタンで出来ています。激しい運動に耐える伸縮性のあるスポーツウェアもポリウレタンで出来ています。

また合成皮革で出来たスニーカー、バッグもポリウレタンでできている製品の1つです。ポリウレタンは比較的軽い素材ですので、スポーツシューズの靴底にも使用されます。

また、ポリウレタンの防音性を活かして作られているのが防音材。スタジオや音楽教室などの防音が必要な建物に使用されています。それに加えてポリウレタンには耐衝撃性もあるため、スマートフォンケースやPCケースにも使用されます。

ポリウレタンの耐衝撃性と屈曲性に優れた点を活かしたものとして挙げられるのは、自動車のバンパーやヘッドレストといった部品です。それらは多様な着色が可能なため、デザイン重視の車によく使用されています。

ポリウレタンの軟質性を活かした製品で代表的なのは、キッチンで使用されるスポンジです。他にもスピーカーやヘッドフォンなどに使用されるクッションのパーツ、ベッドのクッションやマット、スニーカーのインソール、自転車・バイクのサドル部分などに使用されています。

ポリウレタンの歴史

ポリウレタン

ポリウレタンが初めて実用化されたのは1937年で、歴史のある素材だといえます。ドイツを代表する化学工業企業であるバイエル社が実用化を行いました。

バイエル社は今はなきドイツの化学産業トラストであるIG・ファルベンの1社で、このIG・ファルベンによってポリウレタンの実用化が行われたとも言えます。

その後、アメリカの化学系複合企業であるデュポン社がポリウレタン実用化の技術に目をつけ、1959年にポリウレタンは製品化されました。

日本では1963年のアメリカとの技術提携により、ポリウレタンの本格的な生産が開始されました。現在では、ポリウレタンは私たちの身の回りの衣類や工業製品などに使用されるほど普及しました。

まとめ

ポリウレタン

ポリウレタンは便利な繊維で、私たちの身の回りにもポリウレタンを使用した製品が多く存在します。ですが、便利な一方で水や紫外線を避けるなど、取り扱いに注意すべき点もあります。

ポリウレタンの特徴やメリットを知ることで、身の回りのポリウレタンの製品に対するイメージも変わり、ポリウレタンを普段の生活に活かす方法も見つかるでしょう。

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