意外と知らない!『いただきます』と『ごちそうさま』の本当の意味

いただきますをして朝食を食べる女性

普段、何気なく使っている「いただきます」と「ごちそうさま」。これらは食事時のマナーとして、小さい頃から教えられてきた言葉ですが、その深い意味を知っている人は意外と少ないかもしれません。今回は、これらの言葉の意味とその由来について詳しく解説します。

「いただきます」と「ごちそうさま」の意味を知っていますか?

食事の前に手を合わせている男の子

「いただきます」と「ごちそうさま」は、日本の食事の挨拶として広く使われています。これらの言葉を子どもの頃から習慣的に使ってはいるものの、その具体的な意味を問われると、はっきり答えられない人も多いのではないでしょうか。

特に、お子さんを持つ家庭では、「いただきますって言おうね」と教えながら、「どうして?」と聞かれたときにしっかりとした答えを用意しておくことが大切です。

「いただきます」に込められた本当の意味とは

箸を持って手を合わせる女性

「いただきます」という言葉はどんな意味を持っているのでしょうか。

この挨拶はもともと、神様に供物を捧げた後、それを頂く際に使われる謙譲語として生まれました。「いただく」という言葉自体が、謙虚にものを受け取る気持ちを表しています。

食事の準備に携わったすべての人への感謝

料理をする女性

「いただきます」には、食事の準備に関わった人々への感謝の想いが込められています。

料理を作る人だけでなく、食材を販売する店員、さらにはそれを栽培・生産した農家や漁師まで、多くの人々の努力がこの一皿には詰まっています。これらの人々が込めた心のこもった労力に感謝し、「いただきます」と言うことで、その気持ちを表現します。

命をいただくことへの敬意

木の台に置かれた複数の生肉

また、「いただきます」は命を頂くことへの敬意を示しています。食材となる野菜や肉、魚は、すべてが生命を持っています。これらを食べることにより、私たちは生きていく力を得ています。それぞれの命に感謝することで、食べ物に込められた意味を尊重し、大切にいただきます。

手を合わせる行動の宗教的な背景

「いただきます」と「ごちそうさま」を言う際に手を合わせる習慣は、仏教の影響が強いとされています。

特に浄土真宗の食事儀礼が起源とされ、その宗教的な意味合いが日常の行動に取り入れられているという説があります。この行動は、食べ物を頂く前に心を落ち着け、感謝の気持ちを新たにするために重要な役割を果たしています。

「ごちそうさま」に込められた深い意味とは

どんぶりの前で手をあわせるサラリーマン

次に、「ごちそうさま」の意味について詳しく解説します。「ごちそうさま」という言葉は、漢字で「御馳走様」と書かれます。「馳走」という言葉は、何かを得るために奔走する様子を表しており、これに「御」が付くことで相手への敬意が示されます。

食事の準備に尽力した人々への感謝

「ごちそうさま」という言葉には、食事を準備するために尽力してくれた人への敬意と感謝が込められています。

現代ではスーパーマーケットなどで容易に食材を入手できますが、以前は食材を得るためには相当な苦労が必要でした。そのため、「ごちそうさま」という言葉には、その苦労を乗り越えて食事を提供してくれた人々に対する敬意と、深い感謝の気持ちが含まれています。

この言葉は時代を越えて受け継がれ、今日においても食事を調理し提供してくれた人々に感謝を示す表現として大切にされています。

「いただきます」は日本特有の文化?

給食を前に手を合わせる小学生

日本では「いただきます」という言葉が一般的に使われていますが、実はこれは意外と日本特有の文化であることがわかります。

海外の食事の挨拶

海外では、「いただきます」と似た食事の挨拶が存在するかもしれませんが、その意味は大きく異なります。

多くの場合、単なる食事の開始を告げる合図であり、「Let’s eat!」のように、集まった人々が食事を共に楽しむことを意味する言葉が使われます。感謝の意味合いは薄く、場合によっては特定の呼びかけが存在しないこともあります。このため、「いただきます」という食事の挨拶は、日本特有のものと見なすことができます。

宗教的背景と食事の挨拶

食事の前に手を合わせて祈りをささげる宗教の信者

仏教だけでなくキリスト教にも似た食事儀礼が存在します。キリスト教では、食前と食後に行われる祈りがあり、神様への感謝を表します。

例えば、食前の祈りでは

「父よ、あなたのいつくしみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、わたしたちの心と体を支える糧としてください。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。」

と述べることで、神からの恵みに感謝を表します。この点では、日本の「いただきます」が食材や調理に携わった人々への感謝を意味するのに対し、キリスト教では神への感謝が中心です。

世界の食後の感謝文化

食後に感謝を伝える文化は世界中に存在します。日本では「ごちそうさま」という言葉によってその感謝が形式化されていますが、他国では食事を準備した人や提供した人に対して「美味しかった、ありがとう」と直接的に感謝を表すことが一般的です。

外食時にはチップを通じてウェイターへの感謝が表されることもあります。このように、感謝の伝え方は国によって異なりますが、その根底にあるのは「いただきます」や「ごちそうさま」と同様の感謝の気持ちです。

意味を理解して食事の挨拶で感謝を伝えよう

食事の前に手を合わせる親子

今回の解説を通じて、日常的に使われる「いただきます」と「ごちそうさま」が単なる挨拶以上の深い意味を持っていることがお分かりいただけたかと思います。

これらの言葉には、食べ物を大切にする心と、関わってくれたすべての人への感謝が込められています。この意味を理解し、食事のありがたみを感じることが、私たちの生活を豊かにします。

家族や友人にもこの美しい日本の文化を伝え、食事を共にするたびに感謝の気持ちを形にすることで、互いの絆を深めることができます。また、日本独自の挨拶であるこれらの言葉を通じて、世界のさまざまな文化における「感謝」という普遍的な価値を再確認しましょう。

この記事のタイトルとURLをコピーする

カテゴリから記事を探す

すべてみる
カテゴリを見る