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幸福度とは何か?日本人の幸福度の現状
幸福度とは、個人が感じる主観的な幸せの度合いを指します。しかし、日本人の幸福度は世界的に見ても低いことが様々な調査で明らかになっています。2023年の世界幸福度報告書によると、日本は156カ国中54位と、先進国の中でも下位に位置しています。
この低い幸福度の背景には、長時間労働や過度な競争社会、人間関係の希薄化など、様々な要因が考えられます。しかし、個人レベルでも日々の習慣や考え方が知らず知らずのうちに幸福度を下げている可能性があります。
幸福度は決して固定されたものではありません。自分の行動や考え方を見直すことで、十分に向上させることができるのです。そこで、まずは幸福度を下げてしまう行動について理解を深めていきましょう。
あなたの幸福度を下げている9つのタブー
私たちが普段、何気なく行っている行動や習慣の中に、実は幸福度を大きく下げている要因が潜んでいることがあります。ここでは、あなた自身の幸福度を下げている可能性のある9つのタブー行為や習慣を紹介します。これらの行動に心当たりがある場合は、ぜひ見直してみてください。
1. 無理に多くの人と付き合い続ける
様々な人と交流し、刺激を受けることは確かに良いことです。しかし、無理に多くの人と付き合い続けると、かえって人疲れしてしまい、幸福度が下がってしまうという研究結果があります。
京都大学の研究チームによる調査では、一般的な人間関係において、実際には狭く深い人脈の築き方を好む人が、付き合う人の数をあえて増やすと、ストレスをためやすくなることが示唆されました。
元々社交的な人であれば、多くの人と交流することで幸福感を覚えるでしょう。しかし、静かに過ごすことを好む人や自分のペースを大切にしたい人が無理に多くの人と付き合うと、人間関係に強いストレスを感じやすくなります。
幸福度を高めるためには、自分に合った人間関係の在り方を見つけることが重要です。無理に多くの人と深く付き合おうとするのではなく、自分にとって居心地の良い相手や大切な人との関係性を大切にするのも一つの方法です。
2. 他人と自分を比較する癖がついている
「自分はダメだな」「同じ歳なのにあの人の方が輝いて見える」など、他人と自分を比較してしまうことはありませんか?特に近年はSNSの普及により、他人の生活を簡単に覗き見ることができるようになり、自分と他人を比較する機会が増えています。
しかし、他人と自分では考え方も生き方も生活環境も大きく異なります。比較してもその違いにうんざりしてしまうだけで、この思考癖は幸福度を下げる大きな原因の1つと言えるでしょう。
心理学者のレオン・フェスティンガーが提唱した「社会的比較理論」によると、人は自分の能力や意見を評価する際に、他者と比較する傾向があります。しかし、この比較が過度になると、自尊心の低下やストレスの増加につながる可能性があります。
幸福度を高めるためには、他人との比較ではなく、自分自身の成長や達成感に注目することが大切です。昨日の自分と今日の自分を比較し、小さな進歩や変化を認識することで、自己肯定感を高めることができます。
3. 他人を気にしすぎて自分の欲求をおろそかにしている
日本人によく見られる習慣として、他人の視線を気にしすぎて自分の意見が言えなかったり、自分の本当にやりたいことを抑え込んでしまうということがあります。
「本当はこういうことをやってみたいけれど、他の人に変な目で見られてしまうのではないか」と考えてしまったり、一般的な傾向を重視するあまり、自分の考える「普通」から外れることを恐れ、自分の欲求をおろそかにしてしまうのです。
しかし、本当の自分を抑圧しすぎてしまうと、自分らしさを見失い、自分にとっての幸せが何なのかわからなくなってしまいます。その結果、幸福度が大きく下がり、漠然とした不安感や鬱々とした感情に襲われてしまう可能性があります。
心理学者のカール・ロジャースは、「自己一致」の重要性を説いています。自己一致とは、自分の内面的な感情や欲求と、外に表す行動や言動が一致している状態を指します。この自己一致が達成されると、より本来の自分らしさを発揮でき、心理的な健康を維持しやすくなります。
自分の欲求や感情に正直になることは、決して自己中心的になることではありません。むしろ、自分の本当の気持ちを理解し、それを適切に表現することで、より健全な人間関係を築くことができるのです。
4. 週末に夜更かしする
休日やその前日、好きなことをして夜更かしすると、大いに解放された気分になれるものです。深夜までお酒を飲んだり、趣味に没頭したり、テレビやYouTubeを思う存分見たりすることは、確かに楽しい時間かもしれません。
しかし、この夜更かしが習慣になると、長期的な幸福感が損なわれてしまう恐れがあります。睡眠研究の専門家によると、「休前日に夜更かしをして、休日の朝に寝坊する」という生活スタイルは、身体を時差ボケと同じ状態にしてしまうのです。その結果、休みが明けた平日に、眠気や倦怠感、食欲不振といった不調が起きかねません。
幸福度を維持するためには、週末でも平日と同じような生活リズムを保つことが重要です。寝坊は1〜2時間程度にとどめ、昼寝をする場合は午後3時までに30分以内で済ませるなど、睡眠のリズムを整えることで、心身の調子を整えやすくなります。
5. 自由時間が長すぎる
「自由こそ幸せだ!」と考え、丸一日の休みをすべて自由時間にしている人はいませんか?確かに、仕事や義務に縛られないプライベートタイムは、充実した人生を送るうえで不可欠です。
しかし驚くべきことに、自由な時間があまりに多くても、かえって幸福度が下がってしまうという研究結果があります。アメリカの大学研究チームが行った大規模調査によると、自由時間によって幸福度が高まるのは2時間程度までで、5時間を超えると、むしろ幸福度が下がっていくことが判明しました。
これは、自由時間が多すぎると「自分が生産的に活動できていない」と感じやすくなるためだと分析されています。幸福度を高めるためには、自由時間をどう使うのが最も生産的か、あらかじめプランを立てておくことが大切です。
自分にとって「いい時間の使い方」とは何か、自由時間ができたら何をするかを明確にしておきましょう。そうすれば、自由時間をもて余すことなく、幸福感の高いプライベートタイムを過ごせるようになるはずです。
6. 何者かになろうとする
自分と違う人のようになろうとする行動は、実は自分の価値を下げ、幸福度を低下させる要因となります。たとえば、もともと人との交流が苦手な人が、社交的な人を見て自分も社交的にならねばと考えてしまうようなケースです。
この行動の問題点は、人と自分を比較し、自分の「ない」ものばかりに目を向けてしまうことです。自分の良いところには目を向けず、悪いところばかりに意識が向いてしまいます。
幸福度を高めるためには、自分の強みや個性を認識し、それを伸ばしていくことが大切です。他人のようになろうとするのではなく、自分らしさを大切にし、それを活かす方法を見つけていきましょう。
7. 本心にウソをつく
「やらなきゃ」「やらねば」という思いを軸に行動する人は、本心にウソをついていることが多いです。世間体を気にするあまり、自分の本当の気持ちや欲求を無視してしまうのです。
しかし、このような行動は長期的に見ると幸福度を低下させます。自分の本心を無視し続けると、ストレスが蓄積し、やがては燃え尽き症候群に陥る可能性もあります。
幸福度を高めるためには、自分の本心と向き合い、それを尊重することが大切です。もちろん、社会生活を送る上で妥協が必要な場面もありますが、できる限り自分の気持ちに正直に生きることで、より充実した人生を送ることができるでしょう。
8. 自己否定的な言葉を繰り返し使う
「私なんて…」「どうせ私は…」といった自己否定的な言葉を日常的に使っていませんか?このような言葉の使用は、自己肯定感を低下させ、幸福度を下げる大きな要因となります。
心理学の分野では、「自己成就予言」という概念があります。これは、ある考えや予測を持つことで、それが実際に起こりやすくなる現象を指します。つまり、自分を否定的に捉え続けると、実際にそのような結果を引き寄せてしまう可能性があるのです。
幸福度を高めるためには、自分の言葉遣いに意識を向け、肯定的な表現を心がけることが大切です。たとえ失敗しても「次は上手くいく」と前向きに捉えるなど、自分を励ます言葉を使うよう心がけましょう。
9. 新しいことに挑戦しない
「石橋を叩いて渡る」という諺がありますが、慎重すぎるあまり新しいことに挑戦しない人は、幸福度が低下しやすい傾向にあります。新しい経験や挑戦は、脳に刺激を与え、達成感や成長を感じさせてくれます。
心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー理論」によると、適度な挑戦は私たちに没頭感と充実感をもたらします。これは幸福感を高める重要な要素となります。
幸福度を高めるためには、日常生活の中で小さな挑戦を取り入れることが効果的です。新しい趣味を始めたり、未知の場所に旅行したり、今までやったことのない料理に挑戦したりするなど、自分のコンフォートゾーンを少しずつ広げていくことで、人生がより豊かになっていくでしょう。
幸福度を高めるために
これらのタブーを意識し、少しずつ改善していくことで、あなたの幸福度は確実に上がっていくはずです。しかし、すべてを一度に変えようとする必要はありません。まずは自分に合った方法を1つか2つ選び、小さな変化から始めてみましょう。
幸せは、他人との比較や社会的な成功だけでなく、自分自身の内面や日々の小さな喜びの中にも存在します。自分にとっての幸せとは何か、じっくりと考え、それを大切にしていくことが、真の幸福につながる道となるでしょう。