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塩には賞味期限がない
塩はどの家庭にもある、基礎中の基礎といえる調味料です。そんな塩の賞味期限は一体どうなっているのでしょうか。
結論から言うと、塩には賞味期限がありません。
すべての食品には賞味期限があるように考えがちですが、塩のように賞味期限がないものも存在します。塩以外には砂糖が賞味期限を持たない調味料となります。
賞味期限がないということは、理論上は10年間放置していても使えるということ。ただし、品質の良し悪しは保存環境によって左右されます。
塩に賞味期限の表示がない理由
基本的に食品には食品衛生法やJAS法により、賞味期限・消費期限が定められています。ただし、例外的に塩には賞味期限がありません。つまり、法律によってパッケージに賞味期限を表記しなくてもよいと定められているということです。
では、一体どうして塩には賞味期限がないのでしょうか。
これには理由が二つあります。一つ目が、塩には水分がなく微生物が繁殖しにくいこと。二つ目が、品質劣化が少ないことです。
いきなり賞味期限がないと言われても、古い塩を口に入れるのはちょっと抵抗がありますが、理由を詳しく知ることで、安心して使用できます。
水分がなく微生物が繁殖しにくい
塩に賞味期限がないのは、水分がなく微生物が繁殖しにくいからです。
食品にとって水分や湿気はカビや細菌の温床となる大敵です。その水分を元にカビ菌や細菌などは繁殖し食べ物を腐敗させ、人体に有害な食中毒や毒素を発生させます。
一方で、塩にはこの水分がありません。この理由により塩には賞味期限が設定されていません。では、どうして塩には水分がないのでしょうか。
それは浸透圧が原因です。
浸透圧現象とは、濃度の異なる液体が混じり合ったとき、同じ濃度になろうとすることをいいます。微生物が塩の中に入り込んだとしても、塩の方が圧倒的に濃度が濃いため、微生物中の水分が塩に移動しようとして、微生物が死んでしまいます。
これが、塩に微生物が繁殖しにくい理由です。
品質劣化が極めて少ない
塩は品質劣化が極めて少ない調味料です。これは、さきほど触れたとおり水分が少ないという理由が大きく関係しています。また、塩は原料や組成物が少ないので劣化がしにくいとも言えます。
たとえば、みりん風調味料は、旨味調味料やもち米など、様々な原料から作られています。組成物が多いと、その分劣化が早くなります。塩は何も混ぜていないため、品質が落ちにくいということです。
異物やホコリには注意
塩自体は微生物や細菌が繁殖しにくく、劣化することも少ないですが異物やホコリが混じり込むと話は変わります。塩に混じった異物やホコリが原因で、料理の品質が悪くなったり体調不良を引き起こす恐れがあります。
塩に賞味期限がないからといって雑に保存してしまうと、異物やホコリが混入してしまいます。塩の保管にも適切な保存容器を用いましょう。
塩に賞味期限が書いてある場合
水分を含まず品質劣化も少ない塩には、賞味期限がありません。しかし、例外的に塩に賞味期限が表示されるケースがあります。
その一つがハーブなど香草をブレンドしたハーブ塩。この場合、塩ではなくブレンドされた素材であるハーブに賞味期限があります。
こうした塩の場合は賞味期限が過ぎることで風味が劣化してしまいます。賞味期限が設定されているブレンド塩としては以下が挙げられます。
《ハーブ塩》
別名ハーブソルト。乾燥させたバジルやローズマリーなどのハーブと塩をブレンドした物。ソテーやパスタなどと相性がいいです。乾燥させていないフレッシュハーブを使用している塩はドライよりも賞味期限が短い可能性があります。
《ゴマ塩》
黒ゴマ種子と塩を炒った調味料。ご飯にかけて食べられる方が多いです。市販のゴマ塩の場合、未開封で半年から1年前後の賞味期限となります。
《ワサビ塩》
粉末塩にワサビとだし粉末を加えたブレンド塩です。肉料理と相性がいいです。市販品だと賞味期限は6ヶ月ほどです。
《トリュフ塩》
乾燥させた粉末トリュフと塩を混ぜ合わせたブレンド塩です。手軽に高級感を楽しめると人気が高まっています。市販品の賞味期限は6ヶ月以上の物が多いです。
塩の他に別の食材がブレンドされている商品には、賞味期限が存在するため注意しましょう。
固まった塩も品質には問題ない
いくら塩に賞味期限がないとは言っても、長期間放っておくと固まってしまうことがあります。固まった塩は品質に問題ないのでしょうか。
結論から言うと、固まってしまった塩でも品質に問題はありません。塩が固まる原因は品質劣化や塩の状態の変化ではないので、賞味期限を意識する必要はないでしょう。
塩が固まる原因は湿気
塩には賞味期限はありませんが、多湿の環境で保存していると湿気により固まってしまいます。塩は水分を吸収しやすい性質があり、湿度が高いと空気中の水分と反応して表面が溶けます。溶けた塩同士がくっつくことで塩の塊が大きくなっていきます。
とはいえ、あくまでも塩同士が結合しているだけであり、品質上は問題ありません。また固まってしまった塩は後述する空煎りや電子レンジなどを使用し水分を飛ばすことで元のサラサラした状態に戻すことができます。
品質上、問題ないとしても固まってしまった塩は料理で使いにくいため多湿の環境で塩を保存しないよう注意しましょう。
匂い移りには注意
塩は水分だけでなく、匂いも吸収しやすいです。匂いが強い食材や洗剤と一緒に保管していると、その匂いが塩に吸着してしまい風味を損なってしまう恐れがあります。
固まるだけであれば元に戻すのは簡単ですが、塩に吸着してしまった匂いを取り除くのは難しいため、塩の保存管理には気を使いましょう。
固まった塩を元にもどす方法
品質には問題がないといっても、固まってしまった塩を使うのはあまり気分のいいものではありませんよね。ここからは、固まった塩を元に戻す方法を紹介しています。
2種類ありますが、基本的には加熱するという点で共通しています。どちらがいいというものではないので、やりやすい方法で行いましょう。
気分の問題かもしれませんが、パラパラになった塩の方がどことなく美味しく感じませんか?
フライパンで空煎りする
まず一つ目の方法は、固まってしまった塩をフライパンで空煎りする方法です。
固形になった塩をきれいなフライパンに入れて加熱します。空煎りなので水などを加える必要はありません。次第に塩はパラパラになってきます。ちょっとした裏ワザを紹介すると、料理酒を入れて蒸発するまで加熱を続けると、風味がついて美味しい塩になります。
電子レンジで温める
固まった塩を元に戻す方法の二つ目は、電子レンジで温めるというものです。火を使わずにすむので、フライパンで空煎りするよりも手軽な方法です。
レンジ対応の耐熱容器に塩を移し替えて、500Wで1分ほど加熱をすれば十分です。ラップはしてもしなくても構いません。あまり長時間加熱すると塩が飛び散るおそれがあるので、1分刻みで様子を見ましょう。
塩が固まるのを防ぐ方法
次に、塩が固まるのを防ぐ方法について見ていきましょう。
塩の保管場所は冷暗所が基本です。いくら塩が保存のきく商品だとはいっても、直射日光にさらされ続けるのはあまりよい環境とは言えません。冷暗所で極力湿度や温度の変化が少ないところに置いておくようにしましょう。
塩が固まるのを防ぐ方法は3つあるので、手近にできるもので試してみてください。
乾燥剤を入れる
まず一つ目の方法は、乾燥剤を入れるという方法です。これが一番分かりやすくて確実な方法です。
乾燥剤は100円均一ショップでも売っているので、誰でも気軽に購入できます。保存容器に一つ入れておくだけで、湿気が少ない状態が維持され、塩が固まるのを防止できます。
一つ注意が必要なのは、乾燥剤の耐用年数よりも塩の賞味期限の方が長いため、乾燥剤の方を取り替える必要があるということです。うっかり効き目のなくなった乾燥剤を使っていたというこのないように、定期的に交換しましょう。
煎った米を入れる
二つ目の方法は、煎った米を入れるという方法です。どの家庭にもストックしてある米で、塩を固まらずに保存しておけます。
ではどうして煎った米を入れると塩が固まるのを防いでくれるのでしょうか。
理由は簡単で、米が塩の水分を吸収し、乾燥剤と同じ働きをしてくれるからです。塩が固まってしまうのは湿気のせいでした。その湿気を取り除いてくれるため、塩が固まるのを防いでくれるという原理です。
マカロニを入れる
三つ目の方法はマカロニを入れるという方法です。これはご存知ない方も多いのではないでしょうか。
原理は米の話と同じで、マカロニが塩の水気を吸い取ってくれるため、塩が固まるのを防いでくれます。マカロニ自体も非常に長く保存の効く食品なので、当分の間は入れ替えたりしなくても大丈夫です。
また、マカロニなら煎る手間もなくそのまま容器に入れるだけで効果を発揮します。表面積が大きい分米よりも水分を吸います。
塩が固まりにくいおすすめの保存容器3選
みなさんは塩をどのように保存しているでしょうか。
食卓塩のような小さいものでなければ、購入するときはビニールや紙袋に入っているものを買うでしょう。家に持ち帰ったら、容器に移し替えて使う方がほとんどではないでしょうか。容器をきちんと選ぶことで、塩が固まるのを防止できます。ポイントとなるのは密閉性があることと、取り出しやすさです。
これらの特徴を備えた保存容器を3つ紹介していくのでぜひ参考にしてください。
soil 珪藻土フードコンテナ ガラス
一つ目のおすすめ容器は「soil 珪藻土フードコンテナ ガラス」です。
珪藻土は今とても注目の集まっている素材です。バスマット代わりに使われるほど吸水性に優れた素材です。蓋が珪藻土で作られているので、この容器に塩を入れておけば乾燥剤なども必要ありません。
また、この容器の素晴らしい点は見た目です。透明なガラスと、真っ白な珪藻土の蓋が爽やかで透明感のある見た目を作っています。蓋はピンクとグリーンもありますので、好みに合わせて選べるのもうれしいポイントです。
タケヤ化学工業 フレッシュロック
おすすめの容器の二つ目は「タケヤ化学工業 フレッシュロック」です。この容器の優れたところは縦横どちらの向きにでも置けることです。
調味料を置くスペースは限られています。普通の容器であれば横に寝かせてしまうと中身があふれてしまいますが、このフレッシュロックは独自のパッキンを採用しているためあふれず、横置きも可能です。ワンタッチで開閉できる便利さも魅力の一つです。
パール金属 レバーDE簡単ロック システム コンテナ
三つ目のおすすめ容器は、「パール金属 レバーDE簡単ロック システム コンテナ」です。片手で開けられるので楽チンです。
この商品の良いところは同じシリーズで重ねて置けることです。砂糖も塩と同じように別の容器に移し替えることが多いでしょう。砂糖も同じ容器に入れて重ねて並べると、キッチンに統一感が出るので見た目にも楽しめます。
塩に賞味期限はないが湿気には注意しよう
塩の賞味期限と正しい保存方法、固まらないようにする方法について見てきました。
塩には賞味期限がありません。しかしそれは、保存に全く気を使わなくて良いということではありません。しっかり密閉できる容器に入れて、できるだけ湿気の少ない冷暗所で保管しましょう。
塩は料理の基本でありながら旨味の基礎となる調味料です。摂り過ぎには注意しながら美味しい塩を味わいましょう。