目次
オリーブオイルで揚げ物はできる
みなさんはオリーブオイルを使って揚げ物ができるってご存知ですか?
昨今のオイルブームにより、ご家庭でも日常的に使用する機会が多くなってきたオリーブオイルですが、サラダや炒め物に使用する以外にも実は揚げ物用の油として使うことができるのです。
イタリアやスペインでは昔から日常的にオリーブオイルで揚げ物料理をしていますし、日本でも徐々にその認識が高まってきています。
まだまだサラダ油を使うことが一般的な揚げ物ですが、オリーブオイルを使って、一味違うおいしさを味わうことができます。
オリーブオイルが揚げ物にあまり使われない理由
オリーブオイルを揚げ物に使えるということがわかっても、コスト面が気になってしまいますよね?
高級品として知られているエクストラバージンオイルは、なかなか手が届きにくく、大量に必要な揚げ物に使うのは、気が引けてしまいます。それに対して、ピュアオリーブオイルであればコストを抑えやすいということから、気軽に使っていただけるのではないでしょうか。
数回は使い回しもできる
一度揚げ物に使用したオリーブオイルを、処分してしまうのはもったいない!なので使いまわしたいと思う方も多いことでしょう。
サラダ油と同じように、オリーブオイルも使い回しできるのですが、一度使用したオリーブオイルは酸化が早いため、なるべく早めに使い切るようにしなくてはいけません。最後までオリーブオイルをよい保存状態のまま、揚げ物に使い回すためには揚げる順番が大切です。
最初は素揚げに使う
コツとしては、最初は素揚げや春巻きなど衣が油の中に落ちないタイプの食材を揚げるようにします。衣が油に残っていると風味を損なってしまうので、なるべく残さないことが大切なのです。
衣が出る揚げ物は最後に
エビフライやコロッケなどのような衣が落ちやすい揚げ物は、使い回しの最後に揚げるようにします。こうすることで衣が中に残った状態のオリーブオイルを使い回すことなく、揚げ物油を最後まできれいな状態で保つことができます。
オリーブオイルを揚げ物に使い回し続けるとどうなるのか?
酸化しにくい油として知られているオリーブオイルですが、何回も揚げ物に使用していると、当然酸化が進んでしまいます。酸化が進んだ状態のオリーブオイルを使って、美味しい揚げ物を作ることは出来ないので、使い回しは繰り返さないほうが無難です
オリーブオイルの使い回しは何回までできるか?
オリーブオイルはサラダ油と同じように使い回しは2〜3回程度にして処分することをおすすめします。保存する場合は、冷めてから濾して密封し、酸化を防ぐために冷暗所に保存することが大切です。
オリーブオイルで揚げ物をすると味がまずい?
オリーブオイルにはサラダ油にはない独特の味や香りがあります。オリーブオイルで揚げ物をすると「まずいのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。
実際にオリーブオイルで作った揚げ物を食べてみたところ、確かにオリーブオイルの風味はほんのりと感じるのですが、食材の味を邪魔するほどではありませんでした。オリーブオイルの味が嫌いという訳でなければ問題なく美味しく食べられるでしょう。
どうしても香りや味が気になるという人は、エクストラバージンオイルではなくクセの少ないピュアオリーブオイルを使ってみてください。味よりも揚げた時のサクサク感の良さが印象に残るので、オリーブオイルで揚げ物を作るのはとてもおすすめですよ。
オリーブオイルはダイエットに効果がある?
オリーブオイルはサラダ油など他の油と比べてカロリーにはほとんど違いはありません。しかし、オリーブオイルに含まれるオレイン酸は便秘解消に効果があるといわれており、悪玉コレステロールを下げる働きもしてくれます。
食欲を抑えるセロトニンという物質を出す作用が他の油よりも強いという研究結果も出ているので、油の中ではダイエット向きだといえるでしょう。
ただし、オリーブオイルでも大量に摂取すれば意味がありませんので、ダイエット中にどうしても揚げ物が食べたくなった時は少量のオリーブオイルを使って調理してみると良いでしょう。
《 ポイント 》
- オリーブオイルは揚げ物にも適している。
- ピュアオリーブオイルはコストを抑えやすい。
- 酸化が進むため使い回しは2〜3回程度にして処分する。
- 使い回すためには揚げる順番を考慮する。
- オリーブオイルで揚げ物を作ってもまずくならない。
- 摂取量に気を付ければダイエット中もOK。
オリーブオイルを揚げ物に使うメリット
衣がカラッと仕上がる
オリーブオイルで揚げ物をすると、どんなメリットがあるのでしょうか?
オリーブオイルを使った揚げ物は、油っぽくならずカラっとした軽い口当たりに仕上げられるのが何よりの魅力です。オリーブオイルは他の油よりも衣の水分を早く飛ばし、素早く熱を通してくれるので余計な油を吸い込むことがありません。そのため、食材の味や栄養を損なわずにカラっと揚げられるのです。
オリーブオイルで揚げると、サラダ油で揚げた時よりもサクサクとした食感と食材の濃い味を楽しむことが可能です。どんな食材でもカラッと仕上がるので、料理の腕が上がったような気がして楽しくなります。
ヘルシーで味わいも良い
揚げ物油にオリーブオイルを使うメリットとして次に挙げられるのは、オレイン酸をはじめとした体に良い成分が含まれているということです。
油は酸化すると、過酸化脂質というシミ・しわ、動脈硬化などの原因となる物質が発生します。過酸化脂質には発がん性もあるといわれており、体への影響が問題視されています。オリーブオイルはオレイン酸が多く含まれているため酸化しにくく過酸化脂質が発生しにくい油です。
うれしいことに良質のオリーブオイルは、悪玉コレステロールを抑制し動脈硬化を防ぐなどの効果があり、揚げ物に使うことで優れた効果を発揮してくれます。
また、オリーブオイルは揚げ物に使っても栄養成分を壊さないので、ヘルシーに揚げ物を食べたい時にはぴったりです。
他に気になることといえば、カロリーですよね。それぞれの大さじ一杯あたりのカロリーは、サラダ油が約110kcal。それに対して、エクストラバージンオリーブオイルは約120kcal、ピュアオリーブオイルは約110kcalと、カロリーの面ではそれほどの違いはなさそうです。
胃もたれを起こしにくい
揚げ物を食べた後、胃もたれを起こしてしまう人は多いでしょう。これは揚げ物に多く含まれる脂質が小腸で分解される際、胃の動きを抑制するためです。
揚げ物を食べた後の食欲不振、けっこう辛いですよね。でも安心してください。オリーブオイルで揚げ物を作れば、なんと胃もたれは軽減できるんです!
前述のとおり、オリーブオイルにはオレイン酸が多く含まれます。このオレイン酸は体内でオレオイルエタノールアミドという物質を作るのですが、この物質が脂質の吸収を活発にさせるため、胃の働きが低下する時間を短縮することができます。
胃もたれが心配で揚げ物を避けているという人も、オリーブオイルを使えば揚げ物を楽しむことができますよ。ぜひやってみてください。
《 ポイント 》
- 衣がカラッと仕上がる、ヘルシー、胃もたれしにくいなどのメリットがある。
揚げ物に適しているオリーブオイルの種類
オリーブオイルには「エクストラバージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」の二種類がありますが、揚げ物向きのピュアオリーブオイルに対して、エクストラバージンオリーブオイルは揚げ物向きとは言えないようです。
ピュアオリーブオイルは揚げ物向き
ピュアオリーブオイルとは、オリーブを化学的に精製した精製オリーブオイルと、バージンオイルを配合したものを言います。
オリーブオイル独特の青臭さと香りがなく、エクストラバージンオリーブオイルよりも値段が抑えられているため、ピュアオリーブオイルの方が揚げ物向きと言えるでしょう。また、揚げ物に限らず焼き物や炒め物の油としても使えます。
ちなみに「ピュア」とは日本国内だけで通用する名前で、正しくは「オリーブオイル」という名前に分類されるので覚えておいてくださいね。
エクストラバージンオリーブオイルは揚げ物向きでない
もう一種類のオリーブオイル、エクストラバージンオイルはオリーブの実だけを原料とし精製がされていないため純度が高いオイルです。とても厳しい検査に合格した風味や香りになんの欠陥もないオイルのみがエクストラバージンオイルとして流通することができます。
豊かな香りを楽しめるエクストラバージンオリーブオイルは、連続して使う加熱調理・揚げ物には向きません。この香り高いオイルは、加熱するとせっかくの香りが飛んでしまうため、生食に向いています。
ですので、ドレッシングを作ったりカルパッチョにかけたりと、調理の仕上げ時に加熱しない料理で芳香な風味を楽しんでみてください。
それ以外の理由として、無濾過のエクストラバージンオイルは、低い温度で発煙することがあるため、高温で長時間加熱する揚げ物には不向きと言えるでしょう。
《 ポイント 》
- ピュアオリーブオイルは加熱料理に適している。
- エクストラバージンオリーブオイルは生食に適している。
オリーブオイルで揚げ物を料理するときのポイント
油から煙がでる危険のある温度を「発煙温度」と言います。ピュアオリーブオイルを揚げ物に使った場合、1回目は210℃、再利用の2回目以降は170℃が、発煙温度の目安になります。
それに対してエクストラバージンオリーブオイルの場合は、新しいものでも170℃が発煙温度なので、注意しなければいけません。そのため、オリーブオイルで揚げ物をする際には、170度以下の低温でじっくりと揚げる、これが大きなポイントになります。
コスト面に限らず、発煙温度や酸化のしにくさなどを考えると、揚げ物にはピュアオリーブオイルを使用した方が良いということがわかります。
オリーブオイル揚げ物のQ&A
A.開封後の保存期間は2〜3ヶ月程度と考えていたほうがよいでしょう。ちなみに開封前の保存期間は約1〜2年ですが、ビンに記載してある賞味期限は安全を保証できる期限で設定されているので、正しい方法で保管していないと劣化が進んでいる場合があります。
A.オリーブオイルの保存において避けてほしいことは以下の通りです。
- 日光の紫外線がオリーブオイルを劣化させるのを防ぐために、直射日光に当てないようにしましょう。
- 遮光効果の無いビンの場合は、アルミホイルを巻いて遮光してから保管すると良いでしょう。
- 調理をする時に取り出しやすいからといってガスコンロの下にオリーブオイルを置かないようにしてください。
- 台所の中でも、できるだけ涼しい冷暗所、15℃~20℃程度の場所を見つけて保管しましょう。
冷蔵庫で保管することも適していないのでご注意ください。その理由として、低温過ぎるとオリーブオイルが結晶化し味が落ちてしまうのと、常温と低温で結晶化を繰り返すと香りが飛んでしまうことが挙げられます。
A.オリーブオイルで天ぷらを揚げることになんの問題もありません。むしろ、他の油よりも衣の水分を早く飛ばしてくれるので、オリーブオイルの方が天ぷらをカラッと揚げて美味しくしてくれます。
オリーブオイルでの揚げ物が危険だというイメージを持つ人がいるのは、油に熱が加わりすぎることで起きる自然発火の温度がサラダ油が450℃のところ、オリーブオイルは345℃と少し低いためでしょう。
しかしながら、揚げ物は高くても180℃くらいの温度で調理しますので、火にかけた油から目を離さなければ自然発火が起きる心配はありません。
オリーブオイルは安全に使えばどんな素材でもカラッと揚がるので、天ぷら料理初心者には使い勝手がよいだけでなく、料理の腕前が上がったような気分を味わえるかもしれませんね。
《 ポイント 》
- 開封後の保存期間は約2〜3ヶ月
- 直射日光に当てないようにして保存する
- 冷蔵庫などの低温場所での保管は結晶化するので避ける
最後に
オリーブオイルで揚げ物が可能かどうか、その際の注意点や保存方法について紹介しました。
炒め物などにも使えるオリーブオイルについては、ヘルシーなイメージは浸透しているものの、使い道やメリットについてはまだまだ浸透していないのが実情のようです。
オリーブオイルで揚げ物をすると、他の油を使うよりカラッと揚がり美味しくしあがります。この機会にオリーブオイルを使った揚げ物にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
からだに優しいオリーブオイルを上手に活用し、おいしく揚げ物をいただきましょう!