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栗は圧力鍋で爆発することがある!
なぜ圧力鍋で茹でると栗の皮がむきやすくなるのかご存じですか?
圧力鍋を使うと栗の実と渋皮の間にあるごくわずかな空気が急激に加圧され、そのあと減圧されることによって一気にふくらみます。それによって栗の実と渋皮の間にすきまができ、簡単に皮がむけるようになるというわけです。
急激に温めることで膨張し爆発する
圧力鍋の中にある栗の様子をわかりやすく言うと、皮の内部に水分を多く含んでいるため急激に温められることによって皮の中の空気がパンパンに膨らんでいる状態です。風船を思い出してみてください。風船に空気をパンパンに入れ過ぎると割れてしまいますよね?
同じように栗の皮の中の空気も、膨らみ過ぎて限界を超えると外に出ようとします。空気が外に出ようとするその時に爆発してしまう、というわけです。
電子レンジでの加熱はNG
栗の内部は水分が多いため、圧力鍋を使った場合と同じように電子レンジで加熱をすると栗が急激に膨張します。膨張した空気は、鬼皮の固い皮によって逃げ場を失い、電子レンジの庫内で栗が爆発してしまいます。
爆発を防ぐために栗に切れ目を入れる方法もあるにはあるのですが、包丁で切れ目をいれたりフォークで刺したりする小さな切り込みや穴では、爆発を完全に防ぐことはできません。
このように、切れ目の入れ方によっては栗の中の空気が十分に外に出られずに爆発を避けられない場合もあるようです。
加熱し終えた後に電子レンジから取り出し、少し時間がたってから爆発してキッチン中に栗が飛び散った、という危険な目にあった人もいるくらいです。熱い栗が飛び散って、自分や近くにいる人に当たったら大変なことになってしまいます。
よって、栗を電子レンジで加熱することは止めておきましょう。
ちなみに、オーブントースターやオーブンレンジで加熱した場合も同じことです。
《 ポイント 》
- 急激に温められると皮の中の空気がパンパンに膨らみ爆発してしまう。
- 圧力鍋と同じように電子レンジで加熱をすると栗が急激に膨張して爆発する。
- 小さな切り込みや穴を開けただけでは、爆発を完全に防ぐことはできない。
- オーブントースターやオーブンレンジで加熱した場合でも同じ。
栗を圧力鍋で爆発させないポイント
栗を圧力鍋で爆発させないためには、底の硬い部分の皮を大きく切り取って、蒸気の逃げ道を作ってあげなければいけません。
なぜ圧力鍋は爆発したり、中の液体や水蒸気が急に噴出したりするのか、そのためには圧力鍋の仕組みを理解しておくと良いかもしれませんね。
栗の先端に切り込みを入れてから鍋に入れる
栗を圧力鍋で爆発させないためには、あらかじめ栗の先端に切り込みを入れてから圧力鍋に入れることがポイントです。
これは加圧中の栗の破裂を防ぐための作業なのですが、切り込みを入れることによって栗の皮の中にある空気の逃げ道を作ってあげるというわけです。
栗の先端に包丁を使って一文字か十字の切れ込みを入れますが、皮が硬すぎて包丁での切り込みが難しい場合は、キッチンバサミを使ってみましょう。
圧力鍋の加圧によって鬼皮が剥けやすくなりますので、普通の鍋を使うときに入れる塩はなくても大丈夫です。栗と水だけを入れて圧力鍋を火にかけて加熱しましょう。
圧力鍋が爆発する原理とは
水が水蒸気に変化すると体積は1700倍にまで膨らみます。ご存じのように圧力鍋は密閉されているので、水蒸気は膨張できずに圧縮された状態になってしまいます。
その結果、内部の圧力が急激に高まり、そのまま加熱し続けると水蒸気の量がどんどん増えて、より一層膨張します。そして容器の中の圧力に耐えきれなくなると、フタと本体の境目や蒸気口など容器の一部から圧縮された水蒸気が一気に外へ噴き出します。
フタと本体の境目や蒸気口から高圧の気体が勢いよく噴き出して、フタが飛んだり蒸気口から大量の液体が噴出してしまうというわけです。
加熱中の爆発は異常加圧が原因
圧力鍋が爆発す原理を聞くと、危険な調理器具のように思えるのですが、実際には圧力鍋に取り付けられている圧力調整装置が稼働して、一定以上圧力がかからないようになっています。
万が一、圧力調整装置が正常に作動しなかった場合でも。それに備えて安全装置が付けられていますので、爆発や噴出事故を防ぐ仕組みになっています。それにも関わらず、圧力鍋の爆発や噴出が起こったとしたら、その原因のほとんどは誤った使い方によるものと思われます。
《 ポイント 》
- 栗の先端に切り込みを入れて空気の逃げ道を作ってから圧力鍋に入れる。
- 圧力に耐えきれなくなると、フタと本体の境目や蒸気口から水蒸気が一気に外へと噴き出す。
- 圧力調整装置が稼働して、一定以上圧力がかからないようになっている。
- 底の硬い部分の皮を大きく切り取って蒸気の逃げ道を作る。
栗を圧力鍋で茹でる正しい手順
では、圧力鍋を使って短時間で栗を茹でる手順をご紹介しますので、試してみましょう。
茹でる前の下準備が大切
栗はすぐに茹でるのではなく、前日から下ごしらえするなど茹でる前の準備が必要です。茹でる前に水に浸しておくと鬼皮がやわらかくなり切り込みが入れやすくなりますので、半日から一晩水に浸けておきましょう。
まずは、硬い鬼皮がついた栗を水でサッと洗い、大き目のボウルに入れてから水を入れます。栗が入ったボウルを冷蔵庫へ入れて冷やすことで、栗の甘みが増しさらに鬼皮が剥けやすくなります。
水に浸けておくと中に虫が入っている栗が浮いてきます。浮いている栗と水の中に出てきた虫も一緒に取り除いておきましょう。
圧力鍋で茹でる正しい手順
準備するもの
- 栗:500g
- 圧力鍋
- 浸すための水用:適量
- 茹でるための水:適量
作り方
- 半日から一晩水に浸けておいた栗をザルに上げ水気を切る。
- 鬼皮の上部(栗の頭の部分)に1cm程度の切り込みを十字に入れる。
- 圧力鍋に入れ、栗がかぶる程度に水を注いたら蓋をして中火にかける。
- 圧力がかかり蒸気が出てきたら弱火にして10分程加熱する。
- 火から下ろし圧力が完全に抜けるまで自然に放置する。
- 安全ロックピンが完全に下がったら蓋を外す。
- 粗熱を取ってから水気を切る。
栗ご飯に使う場合は半生にゆでる
渋皮まで完全に火が通っているのでこのまま食べることができますが、栗ご飯など炊き込みご飯に加えるのでしたら、炊き上がりに入れて少し蒸らす程度で十分です。
また、加圧の時間を3~5分程度と短めに設定した半生に仕上げた栗であれば、お米と一緒に炊飯器で炊き込んでも大丈夫ですよ。圧力鍋はメーカーによって圧力に違いがあるので、時間を調整しながら調理してくださいね。
《 ポイント 》
- 半日~から一晩水に浸けておくと鬼皮がやわらかくなり切り込みが入れやすくなる。
- 炊き込みご飯にする際は加圧の時間を3~5分程度と短めに設定する。
圧力鍋で茹でた栗の皮の剥き方
ここからは、加圧した栗の皮をどうやって剥いたら良いのか解説しましょう。
鬼皮は切り込み部分からはがす
加圧後、栗をザルにあげて粗熱を取り、水気を切ってから皮を剥く作業に入ります。切り込みを入れたところが割れて剝きやすくなっていますので、その部分に親指をかけて、鬼皮をはがすように剥くと上手にできますよ。
ゆがいた栗が完全に冷めてしまうと皮がむきにくくなるので、やけどに注意しながらまだ温かいうちに作業するのがおすすめです。
渋皮に包丁をひっかけると渋皮もするりと剥きやすい
栗があたたかいうちだと、鬼皮と一緒に渋皮もするりと剥きやすくなります。もしくは渋皮に包丁をひっかけると簡単に剥けますので、時間や手間をかけずにすみますので試してみてください。鬼皮と渋皮が一緒にはがれない時には、鬼皮をむいたあとに渋皮を取ると良いでしょう。
栗の茹で過ぎは避ける
茹ですぎて栗がやわらかくなってしまうと、形が崩れて皮が剝きにくくなります。ボロボロと崩れた状態になってしまうとホクホクとした食感が損なわれるため、栗ご飯や渋皮煮などの料理には残念ですが使えなくなってしまいます。
ゆがいたあとザルにあげて冷めないうちに上手に剥くためには、密着するタイプのゴム手袋をはめると多少熱くてもすべり止めになってスムーズに作業しやすくなりますよ。
もし茹で栗がボロボロになってしまったら、パウンドケーキなどに混ぜたりペースト状にして茶巾絞りにすると美味しくいただくことができますのでご安心を!
茹でた栗をそのまま食べる
秋の味覚である栗の美味しさそのままを味わいたいのなら、シンプルな茹で栗がおすすめです。
栗は茹でる前に洗って、水に一日浸すのがおいしくなるポイントでしたね。包丁を使って半分にカットした栗をスプーンですくって食べると、ホクホクとした食感と栗の甘い風味がお口いっぱいに広がりますよ。
《 ポイント 》
- 切り込みを入れたところから鬼皮をはがすように剥く。
- 栗が完全に冷めてしまうと皮がむきにくくなる。
- 茹ですぎて栗がやわらかくなると、形が崩れて皮が剝きにくくなる。
- 密着するタイプのゴム手袋をはめるとスムーズに作業しやすい。
最後に
栗は圧力鍋で爆発することがあるので、破裂させないポイントと茹で方について解説しました。
いかがでしたでしょうか?
秋の味覚の代表である栗の魅力は、ホクホクとした独特の食感と素朴な甘さですよね。圧力鍋で爆発することがないように、栗の先端に十字に切り込みを入れて空気の逃げ道を作ってから圧力鍋に入れます。
栗にぴったりの茹で方で、自然の恵みをベストシーズンの今、味わってみませんか?