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袱紗(ふくさ)とは
袱紗とは、祝儀袋や不祝儀袋といった熨斗袋(のしぶくろ)や、大切な贈り物を包む際に使用する布のことです。熨斗袋の水引が崩れることを防止するとともに、先方に対して喜びあるいは悲しみを共にする気持ちを示す意味を持ちます。
元々は貴重品などを収めた箱にかける風呂敷のことでしたが、金品を運ぶためのものとして用いられるようになりました。袱紗と風呂敷はほとんど同じようなものですが厳密には使い分けがされています。区分けをするポイントは大きさと包む用途です。
風呂敷の語源は入浴後に広げ、その上で衣服を着ていたことに由来します。その風呂の際に敷いていたものと包みが合わさり、道具や着物を包んでいた布も風呂敷と呼ばれるようになりました。そのため、風呂敷は品物を包むことができるように大きくなっています。
目安として68cm以上のものは風呂敷と呼ばれます。反対に、袱紗は品物を包むのではなく金封を包むことが目的です。そのため、大きくても57cm程度までとなります。
袱紗の種類
社会人としてきちんとした振る舞いをするのであれば、1枚は持っておきたいのが袱紗です。ですが、袱紗には様々な種類や色があり、どれを選ぶのか悩むこともあります。袱紗には一般的に3種類があります。
掛袱紗(かけふくさ)
元々の袱紗の意味に近いのがこのタイプです。四隅に房が付いており、広蓋などお盆に金品を乗せ、その上にかけるものです。結納金など多額な現金に使われることがありますが、一般的にはほとんど使われません。
風呂敷袱紗(ふろしきふくさ)
お盆を簡略化したものがこのタイプです。台の四方には留め具がついており、金封を固定することができます。慶弔で使いやすく、最も重宝する袱紗です。台は慶弔両方で使うことができるように表と裏で色が異なるものが多いです。
金封袱紗(きんぷうふくさ)
熨斗袋を入れるためのポケットがついているタイプで、風呂敷タイプより簡易なものです。年配の方からは敬遠されることもありますが、折る必要がなくバッグなどに入れやすいことから若年層でよく使われます。
袱紗の色について
色は大きく分けると、暖色系と寒色系の2種類に分けることができます。赤や橙、金色などは暖色系で慶事用の袱紗です。青や紺、灰色の袱紗は寒色系に分類され、弔事用の袱紗です。
緑系統の色は袱紗において弔事用となりますので注意が必要です。例外的に紫色は慶弔両方で使える色ですので、1枚準備するのであれば紫色がおすすめです。
袱紗の正しい包み方
結婚式などの慶事では袱紗の爪部分を右にし、祝儀袋を左寄せで置きます。左の角をとり、中央に折り込みましょう。次は上の角、下の角の順で折り込みます。最後に右側にある爪を折り込むことで、左上に小さな三角形ができます。爪を糸にかけて完成です。
通夜などの弔事では爪を左にし、香典袋を右寄せで置きます。最初に右をたたみ、下、上の順で折りましょう。最後に爪を後ろに回し糸にかけて完成です。
右上に小さな三角形ができていれば正しい包み方ができています。台のついていないタイプの袱紗や、緊急時にハンカチなどで代用する際もこの順で包みます。
袱紗の正しい渡し方
袱紗を渡すときのマナーも慶弔で異なります。タイミングや渡し方についてそれぞれご紹介しましょう。
慶事
結婚式などでは受付で渡すのがマナーです。結婚式は一般的に、挙式がありその後披露宴という流れになります。ご祝儀は披露宴前に受付で手渡しますが、挙式と披露宴が一体化している場合は挙式前に受付がありますので、その場で渡しましょう。
マナーとしては受付の順番が来てから祝儀袋を取り出します。まずは左手に袱紗を乗せ、右手で開き祝儀袋を取り出します。祝儀袋を相手に向けますが、閉じた袱紗の上に乗せ、右回りで正面になるようにします。袱紗を台として使わない場合も右回りがマナーです。
弔事
通夜や葬式などでも受付で香典袋を渡します。右手に袱紗を乗せ、左手で開きます。相手に向ける際は、左回しで正面に向けます。慶事と弔事では左右が反転するということを覚えておきましょう。
もし、受付がない場合は遺族の方に直接手渡す、焼香する際に祭壇に備えるというのが渡し方です。祭壇に備える際は、自分の読める向きが正しい向きです。
袱紗の渡し方以外のマナー
その他慶弔行事で気を付けるべきマナーがいくつかありますので、ご紹介します。
慶事におけるマナー
結婚式などあらかじめ日付が決まっている場合、ご祝儀を事前に渡す場合があります。その場合は、新郎新婦に直接渡し、受付では事前に渡してあることを伝えましょう。兄弟姉妹などの親族であれば、事前に渡す方がよいとされています。
その場合、できれば大安や友引といった縁起のいい日を選んで渡すことができるとよりよいですが、新郎新婦の予定を最優先にしましょう。もし受付を任されているのであれば、渡し忘れを防ぐためにも受付前に自分の分を出しておくとよいです。
慶事で包むお金は、新札がマナーです。銀行などで両替することができます。中袋にお札を入れる際は、表向きにし人物の印刷されている側が上にくるようにします。また、受付で渡す際は「本日はおめでとうございます」などと一言添えるとよいでしょう。
芳名帳にも記載しますが、新郎新婦との関係性なども一緒に言うとよりよいです。新郎新婦は当日忙しいですので、事前に会う時間があっても短時間にしておきましょう。
弔事におけるマナー
お通夜に参列する際は、平服でよいとされていますが、お通夜のみの参列となる場合もあるため、冠婚葬祭で使うことのできるブラックフォーマルを着用していくのがマナーです。
また、遺族よりも格式が高い喪服を着ることはよしとされないため、和服は避けたほうが無難でしょう。殺生を連想させる毛皮製のものや、一連のパールのネックレス・結婚指輪以外のアクセサリーは外していきます。
弔事は突然起こるものですので、余命などいくら予測されていたとしても事前に準備をしているのはマナー違反です。そのため、香典袋に入れるお札は新札ではないものを用意しましょう。
もし新札しかない場合は、一度折り曲げてから入れるのがマナーです。慶事と同じく、一言添えてから香典を渡します。一般的には「この度は御愁傷様です」という言葉が使いやすいですが、マナーとしては最後まで言うのではなく「この度は」のあとを濁すようにしたほうがよいです。
慶弔行事での袱紗の使い方
袱紗は、慶弔行事などで金封を渡す際に使用する布のことで、それぞれ状況に合わせた包み方、渡し方のマナーがあります。
恥をかいたり水を差したりすることのないように事前に確認し、準備をしておくとよいでしょう。袱紗を購入する際は、慶弔どちらでも使うことのできる紫色もので、中の台が表裏で色違いのものを1枚用意しておくと便利です。