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なすが苦い原因はポリフェノールの一種
なすは家庭菜園の野菜ランキングで3位です。実際私の周りにも家庭菜園でなすを作っている人が多く、取れたてのなすをもらうこともあるのですが、中には苦いなすもあります。
苦労して作ったなすが苦いことにがっかりして家庭菜園に挫折しそうな人もいますが、なすが苦いのは失敗ではありません。実は、なすが苦いのはなすに苦い成分が入っているからです。
なすが苦いのはクロロゲン酸が原因
なすが苦いのは、なすのアクに入っているクロロゲン酸という苦味成分が原因です。なすの苦みの元であるクロロゲン酸はポリフェノールの一つで、苦いけど多くの健康効果があります。
クロロゲン酸の健康効果
- ダイエット効果
- 老化防効果
- 糖尿病を予防する効果
- 脂肪肝を予防する効果
- 血糖値の上昇抑制効果
クロロゲン酸はなすを苦く感じさせる成分である一方で、様々な健康効果が期待されています。水に溶けやすい性質を持っているため苦味が気になるようであればアク抜きによって減らすことができます。
ただし、アク抜きすることでクロロゲン酸の他にもなすに含まれている一部栄養素が流れ出ていくことは頭に入れておいてください。
古いなすほど苦くなる
なすは収穫してから時間がたつほど苦みが増えてきます。収穫したら当時にアク抜きして冷蔵庫の野菜室に入れておきましょう。
なすの旬で苦みが変わる
なすの旬・市場に出回る時期となすの苦みは関係しています。なすの旬は年2回あります。4月と6月~9月で、6月のなすは苦みがあまりありませんが、8~9月頃のなすは苦みがあるものが多いです。
なすが出回り始める6月前後であれば、苦いなすを購入する可能性も低くなります。
ただし、収穫から日数が経過した物も売られているため、ハリやツヤがあるか、ヘタがピンとしているかなど新鮮なサインをチェックしましょう。
カットすると苦みが増える
クロロゲン酸は空気に触れて酸化すると苦くなります。カットしたなすを放置していると、断面が茶色く黒ずんできますよね?
それはアクでクロロゲン酸です。黒ずんでいるのは、アクが増えたからですので、カットしたなすは放置する時間が長いほど苦くなります。
なすをカットした後はすぐアク抜きをするか調理しましょう。塩水に漬けるアク抜き方法であれば、苦み成分である「クロロゲン酸」を減らすことができ、茶色く褐変する現象も防げます。
《 ポイント 》
- なすが苦いのはアクはクロロゲン酸という成分でポリフェノールの一つ
- 収穫してから時間がたつほど苦くなる
- 8~9月のなすは苦い、6月のなすはほとんど苦くない
- カットして空気にふれると酸化して苦みが増える
なすが苦い原因は栽培の影響もある
なすが苦いのはアクや収穫後の日数だけではありません。なすが苦い原因は栽培方法に問題がある可能性があります。なすは育つ過程でストレスを受けると育ちが悪くなり苦みが増えます。どんなことがなすのストレスになるのでしょうか?
水や肥料が切れる
なすは他の野菜に比べ、水や肥料をたくさん必要とする野菜で、定期的に与えないと生育が悪くなります。水や肥料が切れたり不足すると、ストレスになり、実が固くなったり皮が固くなったり、苦みが増します。
肥料のやり過ぎ
肥料をやり過ぎると、枝や葉に栄養が行き、枝や葉は成長するけど実は成長せず大きくなれません。肥料が切れたり不足するとなすの生育が悪くなり、苦くなりますが、肥料が多すぎても苦みが増えます。
なすの肥料は多すぎても少なすぎても苦くなりますので、決められた量や濃度、頻度で与えて様子を見ながら調整しましょう。
成り疲れ
成り疲れとは、ナスに限らずキュウリやトマトなどの野菜類で見受けられる作物の品質低下現象です。
栽培初期は収穫量が安定しているが、次第に量が減少していきます。果実を作り過ぎて消耗したことに加え十分な肥料や水を吸収できないことが、成り疲れを起こす原因として考えられます。
品質が低下することで苦味が強いボケナスを発生させてしまう原因にもなります。実を取らずたくさんの実をつけ続けるとだんだん疲れて実の成長が遅くなり苦みが増えます。なすの実がたくさんできるの元気よく成長しているように見えますが、疲れてしまうのも分かりますね。
ですので、栽培当初は苦みが少なくても、後半は疲れて成長が遅くなりますので苦みが増えてしまいます。
なすの成り疲れ対策としては定期的に肥料と水を与え続けることで、なすが実を成らすために必要な栄養を補給し続けることが挙げられます。
気温
なすが受けるストレスは気温も関係します。なすは夏野菜ですので高温に強いですが、35℃を超える猛暑になると高温すぎてなすのストレスになります。高温過ぎると実のつきが悪くなりますので苦くなります。ですので、8月のなすは苦いです。
《 ポイント 》
- なすはストレスを受けると苦みが増える
- ナスの栽培中に水や肥料が切れると苦みが増す
- 肥料が多すぎると苦みが増す
- たくさんの実をつけ続けると苦みが増す
- 気温が高すぎる猛暑は苦みが増える
なすが苦いときの対処法
苦いなすを手に入れたとき、そのまま食べるのは気が進まないですよね。そんな扱いにくい苦なすを美味しく変身させる調理方法を解説します。
なすはカット後すぐにアク抜きか調理
なすの苦み成分クロロゲン酸は空気に触れることで苦味が増していきます。なすを切って、そのまま放置してしまうと断面からクロロゲン酸が空気に触れ始めていってしまい、より苦くなっていきます。
空気に触れたクロロゲン酸は茶色く褐変するため、苦くなってしまったかが一目で判断できます。空気に触れて苦味が増すのを防ぐため、ナスは切ったらすぐにアク抜きや調理・加工をしましょう。
苦いなすを塩水でアク抜きする方法
苦いなすを調理する上で重要なのは、適切なアク抜きです。アク抜きとは野菜などに含まれる苦味・渋み成分を調理前に取り除く工程。
なすの苦み成分である「クロロゲン酸」は水に溶けやすい水溶性成分であるため、アク抜きすることである程度取り除けます。
- なすをカットします。
- ボウルになすが浸かるくらいの水を入れ、塩をひとつまみ入れて薄い塩水を作ります。※塩は0.5%~1%程度。
- なすを塩水に5~10分ほど浸けます。※途中で水が黒ずんできたら新しい水に替えましょう。
- なすを出してキッチンペーパーでしっかり水分を拭き取りましょう。
塩水でアク抜きすることで変色も防ぎやすくなります。ただし、必須という訳ではないため塩を加えていない水でもアク抜きは可能です。
注意点としてアク抜きすることで、なすの栄養素や旨味も流れ出ていきます。本来クロロゲン酸は人体に好ましいポリフェノールですので、アク抜きしすぎるとなすの栄養が減少してしまいます。
また、なすに含まれる「ナスニン」という栄養素も水溶性なので、水にさらすほど流れ出ていきます。基本的にはアク抜きのために水に漬け込むのは10分までにされることを推奨します。
苦いなすに塩をふってアク抜きする方法
塩水に漬ける以外にも、塩をふることでもアク抜きできます。塩の浸透圧効果によって、なすから水がクロロゲン酸と一緒に流れ出ます。塩水に漬けるアク抜き方法よりも、なすがしんなりし味が染み込みやすくなります。ただし、塩をふっている分、味付けは薄目にしましょう。
- なすをカットします。
- なすの切り口に塩をふります。
- 5分ほど放置すると、なすから水分がじわじわ出てきます。
- なすから出た水分をキッチンペーパーでしっかりふきとりましょう。
なすについた水分が残っていると油を使って調理した際、油がはねてしまい危険ですので水分をしっかり拭き取りましょう。アク抜きをしてもなすが苦いこともありますが、苦いなすを美味しく食べる方法があります。
苦いなすは油を使って調理
なすは油で調理することで苦みが薄れて気にならなくなります。また、なすの旨味成分は火を通すことで出てきますので水にさらしてアクを取らなくても美味しく食べることができます。おすすめは、カットしたなすを揚げることです。
ただし、アクを取らずに調理する時は、なすをカットしたらすぐ調理しましょう。空気に触れるほどなすにアクが出て苦くなります。
なすは油料理とも相性が良く炒め物の他に揚げ物にも向いています。
苦いなすを濃い目に味付け調理するのもおすすめ
苦いなすを調理するときは、濃い目の味付けで調理するのもおすすめな食べ方です。
たとえば味噌であれば、なすと相性が良く程よい塩味で苦味が気にならなくなります。味噌を用いたなす料理として「みそ炒め」や「なす田楽」が挙げられます。
他にもオススメなのがカレー粉です。カレー粉は、料理にカレーの風味をプラスできる便利な調味料です。程よくスパイシーな「カレー炒め」にすることで、なすの苦味も感じにくくできます。
もしくは、カレーに苦いなすを具材として加えてしまうのも美味しく食べられる方法です。
《 ポイント 》
- 苦いなすは塩水に浸けたり塩をまぶしてアク抜きをする
- 苦いなすは油を使って調理する
腐ったなすの見分け方
なすはあまり日持ちしません。なすは90%が以水分ですが、水分が多い野菜は少ない野菜に比べて傷みやすいようです。
傷みやすい理由は
- 水分が多いと微生物が発生しやすいので傷むのが早い
- 水分が無くなるとみずみずしさがなくなりシワシワにあるため味が不味くなる
なすが苦いのは腐ったからではありませんが、次のような症状になったら腐っていいますので食べずに処分しましょう。
腐ったなすの特徴
- すっぱい臭いや異臭がする
- カビが生えている
- 皮が茶色く変色している
- 皮がヌルヌルする
- 皮がぶよぶよしている
- 中がグチュグチュしている
- 中の種が黒くなっている
- なすのがくがしおれ水が出ている
なすが苦いにはクロロゲン酸の影響によるもので品質上は問題ありません。ただし、酸っぱい味や匂いがする場合は腐っている可能性が高いため、食べるのは避けましょう。
腐ったなすを食べてしまうと、下痢や嘔吐、腹痛をおこす可能性があります。もし、発熱したり腹痛などが激しい時は病院で診てもらいましょう。
逆に、新鮮なナスの場合、上部のヘタを手で触って、痛みを感じる程するどいものは新鮮です。苦みが少なく美味しなすの特徴は次の通りです。
新鮮ななすの特徴
- ハリがある
- ツヤがある
- 持った時にずっしりする
- ツヤがある
- ヘタのとげがピンとしている
- とげに触ると刺さるぐらい固い
- 持ったときにずっしり感がある
なすは収穫から日数が経過することでも苦味を増す場合があります。そのため、スーパーや八百屋などでなすを購入する際、苦いなすを回避するには上記の新鮮ポイントを踏まえて目利きすることが大事です。
基本的にナスは冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵保存用の袋などに入れるか新聞紙で包んで他の食材とぶつからないよう保存しましょう、賞味期限は1週間程度です。収穫後または購入後、当日食べるのであれば常温でもOKですが、賞味期限は1日~2日ほどですので早めに食べましょう。
最後に
なすが苦いのはアクでクロロゲン酸が原因でしたが、クロロゲン酸は主にコーヒー豆やじゃがいもにも含まれています。
クロロゲン酸は、ダイエット効果や老化防止、糖尿病や脂肪肝の予防、血糖値の上昇抑制効果など、さまざまな効果がありますので、アク抜きでクロロゲン酸を捨ててしまうのはもったいない感じがしますが、アクがあるとなす本来の旨味や料理の味が変わってしまいます。
なすは炒めても揚げても茹でても美味しい野菜です。カットしたら素早くアクを抜いて美味しく食べましょう。