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灯油をこぼした時に放置すると火事になる?
灯油をこぼしてしまったとき、皆さんはどうしていますか?こぼした灯油を新聞紙や古布で吸い取り、水拭きしてから窓を全開にして乾燥させるという対処法が一般的なのではないでしょうか。
では、こぼした灯油を何もせずにそのまま放置するとどんなことが起こるのでしょうか?
放置したとしても火事のリスクは低い
灯油は燃料の中でもなかなか火がつかない種類で、ガソリンと比べて火事のリスクはかなり低めです。炎天下で灯油を放置して温度が上がったとしても、自然発火するリスクはほぼないと言って良いでしょう。
仮に、燃えるものを入れたとしても火がつくことなく消えてしまいます。もしこれがガソリンだったら、取り返しのつかない事態になってしまうのではないでしょうか。
こぼしてしまった灯油は直ぐに拭き取り乾燥すれば、火事の危険はないので心配いりませんが、こぼしたまま放置しておくのはNGです。
絶対に引火しないとは言い切れない
こぼした"直後 “は引火の危険性がないとはいえ、放置せず早めに対処することをおすすめします。灯油はガソリンなどに比べると引火性が低く火事になりにくいといいますが、絶対に引火しないとは言い切れません。
火事になる可能性は少ないとはいえ、絨毯やカーペット、布製品など燃えやすい素材にこぼして、近くに火気があったとしたらゼロではありません。
石油ストーブ本体にこぼすと火事になりやすい
灯油は引火性が低いことが分かりましたが、それではどんな状況で火事になるかというと、一番多いのが石油ストーブ本体にこぼしたときです。タンクの蓋をきちんと締めずに石油ストーブやファンヒーターにこぼし、拭かずに再点火したら火事になったというパターンです。こぼした灯油を放置したことで起こる火事についていえば、この状況が最も危険度が高いといえるでしょう。
布製品にこぼすして火事になることもある
絨毯や洋服などの布製品にこぼした灯油を放置して、火事になる可能性もあります。こぼした部分を拭いて乾燥させればいいのですが、その手間を怠った場合は危険です。例えば灯油をこぼしたままの服を着てライターをつけると、引火して火事になることがあるのです。
《 ポイント 》
- 乾いてしまえば火事の危険はない。
- こぼした直後や近くに火気があると引火する危険がある。
- 石油ストーブ本体にこぼした場合が最も危険。
灯油をこぼしたら放置してはダメな理由
土壌汚染の原因になる
こぼした灯油の臭いと引火する危険性は時間の経過とともに徐々に薄らいでいきますが、灯油は蒸発することなくしばらく残っています。
もし、大量の灯油を庭や畑にこぼしたまま放置していると、樹木を枯らすだけでなく土壌や地下水を汚染してしまう危険性もあります。
そうなる前に灯油処理剤を使って浄化を促すようにしなくてはいけません。
こぼしたまま放置しておくとシミになってしまう
そのまま何もせずに放置すると、シミやヌメリ、灯油独特の臭いがその場に残ってしまいます。灯油は帰化しないため、放置しておくと汚れがそのままシミとなってこぼれた場所に残ります。
シミは時間が経つと取るのが難しくなるので、早めに対処するのが賢明です。
アスファルトが溶ける原因になる
何もせずに放置しているとアスファルトがポロポロと砕けてくるので、アスファルト補修材で溶けた部分をきれいに取り除いてから補修します。先のとがったものでひっかいてみて崩れてこなかかったら、特に何もせず様子を見てもよいでしょう。
滑って転ぶ危険性がある
いつまでもヌメリが床に残っていると滑って転ぶ危険性があります。そして、こびりついた灯油の臭いで気持ち悪くなってしまう人もいるようです。火事になる危険性は低いとはいえ、このようなリスクがあるので放置しないようにしてくださいね。
《 ポイント 》
- こぼした灯油を放置すると土壌汚染の原因になる。
- 放置すると汚れがそのままシミとなってこぼれた場所に残る。
- 放置しているとアスファルトが溶けてしまうこともある。
- ヌメリが床に残っていると滑って転ぶ危険性がある。
灯油をこぼしたときの正しい対処法
カーペットや絨毯にこぼした時の対処法
カーペットや絨毯に灯油をこぼした場合、とっさに擦ってしまいがちですが、擦ると油が広がってしまいます。それがシミや色落ちの原因になってしまいますので、擦すらずに、吸油性の高い新聞紙やキッチンペーパーですみやかに吸い取るようにしましょう。
手順
- 灯油をこぼしたところに新聞紙やキッチンペーパーをのせたら重しをして吸収させる。
- 新聞紙やキッチンペーパーを2~3回取り替える。
- 古布などに台所用中性洗剤を含ませ、軽く叩いて残りを取り除く。
- お湯に浸けて固く絞った布で叩いて水拭きする。
- 風通しの良い場所で乾かす。
台所用中性洗剤には油汚れを溶かして落としてくれる界面活性剤が含まれていますので、これがカーペットや絨毯についた灯油を落としてくれるのです。しばらくは臭いが残りますが、灯油は揮発性が高いので風通しの良い所に置いておくと臭いもなくなります。
ベランダにこぼした時の対処法
灯油をベランダでこぼしてしまった場合、アスファルトが溶けてしまう前に古新聞やキッチンペーパー、古布などで可能な限り拭き取ります。
それからご家庭にある「小麦粉」または「重曹」を使います。意外や意外、食べ物の小麦粉で汚れも臭いも落とせるとは驚きですね。
こぼした灯油を拭き取れるだけ拭き取ったら、小麦粉か重曹をばらまきしばらく放置します。いつの間にか粉が塊になるので、それを取り除いてサッと拭いてきれいにしましょう。
玄関などのタイルにこぼした時の対処法
玄関などのタイルにこぼしてしまった場合も同じです。ていねいに拭き取った後は水拭きし、小麦粉や重曹を使うときれいにすることができます。こぼれた箇所に小麦粉か重曹を振りかけしばらく放置すると、粉が灯油を吸い込んで塊になるので、手を汚さず対処することができるというわけです。
こぼしたのが少量であれば、中性洗剤やマニキュアの除光液で洗い流すという対処方法もあります。ボディーソープでもいいでしょう。小麦粉や重曹を用いる方法だと時間がかかりますが、洗剤で洗い流すのであれば時短で掃除できます。
フローリングにこぼした時の対処法
フローリングにこぼしてしまった場合も、玄関タイルやカーペットと同じく小麦粉や重曹、中性洗剤などを使って対処しましょう。灯油を拭き取った後は水拭きと乾拭きをしてから小麦粉や重曹を使います。
灯油や中性洗剤が残ってしまうとシミになってしまうので、洗剤もていねいに拭き取ってくださいね。フローリングの種類によっては、こぼした部分だけ色が薄くなってしまうことがあります。またフローリングの場合はワックスが剥がれている可能性があるので、最後にワックスを塗り直した方が良いでしょう。
車の中にこぼした時の対処法
車の中で灯油をこぼした場合は、外せるパーツは取り外して洗剤を使って丸洗いしましょう。洗えない部分はカーペットの対処法と同じで、新聞紙などで灯油を吸収させ水拭きします。最後はドアや窓、トランクを開けて十分に換気して乾かします。
丸洗いできないシートなどは、灯油を拭き取ったあとにアルコール除菌スプレーをかけると灯油がアルコールと混ざって中和し、蒸発・揮発するのを促してくれるでしょう。ちなみにアルコールは臭いの除去にも効果的なので、車内に広がる灯油の匂いが気になるときも便利です。ただし素材によっては変色する可能性があるので、心配であれば先に小範囲で試してみてから全体に使用しましょう。
《 ポイント 》
- こすらずに吸油性の高いものですみやかに吸い取る。
- こぼれた灯油を吸い取ったら小麦粉か重曹を振りかけしばらく放置する。
- 中性洗剤には油汚れを溶かして落としてくれる界面活性剤が含まれている。
灯油をこぼした時の臭い対策
消臭剤は効果が期待できない
消臭剤でなんとかしようと思いがちですが、実は効果がありません。灯油は揮発性があり乾燥させるほど臭いが飛んでいくので、窓を開けて日の光を当ててみましょう。
灯油の臭いに困ったらできる限り拭き取り、よく換気して乾燥させてください。灯油は常温でも時間が経つと揮発しますので、焦らず待ってください。
お茶の出がらしやコーヒーの粉を撒く
どうしても臭いが気になる場合は、消臭成分のある「お茶の出がらし」や「コーヒーの粉」を撒いたり、ミカンやレモンなど「柑橘類の皮」を絞ってかけてみてはいかがでしょうか。
撒いたら半日ほど放置しておけば臭いを吸い取ってくれます。あとは出がらしを取り除き、水拭きと乾拭きをして完了です。
中性洗剤やボディーソープをかける
小麦粉や重曹だけでは臭いが取れないと不安に感じるようでしたら、皆さんの家に置いてある台所用中性洗剤やボディーソープをこぼしたところに振りかけてみてください。
台所用中性洗剤やボディーソープに入っている界面活性剤には、「水」と「油」のように、本来混ざらないものを混ぜて汚れを落とす働きがあります。
あとは水拭きと乾拭きをして乾燥させれば、汚れと臭いの両方をきれいにすることができますよ。
手に残った臭いの取り方
手に灯油の臭いが残っていたら、少量のサラダ油を手になじませてから石けんで洗い流します。サラダ油によって灯油を浮き立たせ洗いやすくするというわけです。同じように「油を浮かせる」という理屈から、マーガリンでも対応できます。
また、小麦粉を少量手に取って両手で擦り合わせるという方法もあります。その後石けんで洗い流すとキレイさっぱり臭いがなくなりますよ。
洗えるものは洗濯をしてから陰干し
車内のクッションなどで洗えるものでしたら洗濯機で洗ってください。布製やポリエステル綿のものは洗っても問題ないので、洗濯機で洗い陰干しにすれば、灯油の臭いは無くなります。
車内など、どうしても対処できない臭いの場合は、信頼できるプロに任せて清掃してもらうのもひとつの案です。
拭き取った新聞紙や古布の処理
新聞紙やキッチンペーパーはそのまま燃えるゴミに捨てます。
灯油の発火点は40℃以上ですが、仮に40℃を超える猛暑日であったとしても、火が近くにないと発火しませんので、そのまま可燃ごみ(燃えるごみ)に出しても問題ありません。
不安に感じるようでしたら、水分を含んでいる生ゴミを丸ごと包んで捨てると良いでしょう。そして、灯油を拭き取った古布は水洗いせずに乾燥させて揮発させます。
水と油は混ざらないので、タオルを水洗いしても落とせるのはゴミだけで灯油は落ちませんが、乾燥させて揮発させることで灯油の臭いはなくなります。
《 ポイント 》
- 消臭剤は効果がない。
- 可能な限り拭き取ったら揮発させる。
- お茶の出がらしやコーヒーの粉、柑橘類の皮を絞ってかける。
- 界面活性剤が入っている中性洗剤やボディーソープをかける。
- 手についた臭いはサラダ油または小麦粉を擦り合わせて取る。
- 対処できない車内の臭いはプロに依頼する。
最後に
灯油をこぼした時の対処方法についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
どこのご家庭にも常備してある小麦粉や重曹、そして界面活性剤が含まれている中性洗剤やボディーソープなど、意外なものを使って簡単に掃除できることがわかりました。
灯油をこぼしてしまったその瞬間は驚いてあせってしまいますが、対処方法を事前に知っておけばダメージを最小限に抑えることができます。
注意しなくてはいけないのは、こぼしたまま放置しないということです。火事にはなりませんが臭いやシミが残ってしまうので、落ち着いてできるだけ速やかに対処してくださいね。