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タラの芽のアク抜き方法
タラの芽を調理する際の「アク抜き」は、美味しく頂くための大切な工程です。
天ぷらや炒め物にするとやわらかくなるので気にならなくなりますが、それ以外の料理ではあく抜きをして苦味を取り除く必要があります。
アク抜きの方法と言っても、それほど手間のかかることではありません。水で洗って汚れを落としたタラの芽を、鍋に水と塩少々を入れて沸騰させたらさっと茹でるだけなんですよ!
では、タラの芽の「アク」とは何でしょうか?
苦味やえぐみのある山菜の「アク」、実はこれ体に良いとされている「ポリフェノール」なのです。タラの芽のアクに含まれているポリフェノールは、「エラノサイト」という成分で、血糖値の上昇を抑制してくれる効果があります。
体に悪いからアク抜きをするのではなく、苦味やえぐ味を取るために必要なことなのです。
《 ポイント 》
- 天ぷらや炒め物以外の料理では、アク抜きをして苦味を取り除く。
- タラの芽のアクには血糖値の上昇を抑制するポリフェノールが含まれている。
タラの芽のアク抜きが必要ない食べ方もある
タラの芽の天ぷらはアク抜きしなくてもOK
天ぷらにすることが多いでタラの芽ですが、天ぷらや炒め物にする場合、アク抜きの必要はありません。
タラの芽のアクは、高温で調理することによってえぐみがうま味に変わるため、アク抜きをしなくても苦味が気になることはありません。
そのうえ、タラの芽のアクに含まれているポリフェノールの栄養をそのまま摂ることができるというメリットも。
タラの芽に長い時間火を通すと本来の風味を損なってしまいますので、簡単な下処理を行ってから衣をつけてサッと揚げる天ぷら料理がダントツおすすめです。
そういう意味でもタラの芽の天ぷらは、非常に優れたれた調理方法なのです。
加熱するととげが柔らかくなる
タラの芽にはトゲがたくさんついている「オダラ」という種類があります。触ると痛いトゲですが、あっても心配いりません!
タラの芽は加熱するとトゲが柔らかくなって気にならなくなるので、あえてトゲを抜かなくても天ぷら料理や炒め物にすると、風味たっぷり美味しくいただけます。
ただし、葉が開いてしまったものはトゲが硬くて食べにくいので、見極めてから調理するようにしましょう。
《 ポイント 》
- 天ぷらや炒め物はあく抜きする必要がない。
- 高温で調理するとえぐみがうま味に変わり美味しくなる。
タラの芽の下処理方法
ハカマの下処理の仕方
タラの芽の根本部分には、赤茶色や緑色した「ハカマ」と呼ばれる部分があります。
スーパーで売られているタラの芽の多くは、すでにハカマをきれいに取り除いてから売られていますので、下処理する必要はありません。
栽培ものは天然ものに比べて味や香りが弱いので、できれば天然ものにこだわりたいところですが、ハカマ自体は固くて食べられないので、ついている根元の外周を包丁で切り落としてしまいましょう。
天然ものはハカマが汚れていたり、てんとう虫に似た虫が潜んでいることもありますので、切り落とした後は水でていねいに洗います。
汚れがひどい場合は、しばらく水に浸しておくと汚れが落ちやすくなりますよ。
気になるトゲは包丁の背でそぎ落とす
タラの芽のトゲと言っても喉に刺さるような危険なものではないのでそれ程心配する必要はありません。
トゲは加熱すると食べられるようになるのですが、どうしてもトゲが気になる方は包丁の背を使ってトゲをそぎ落とす下処理をしてから調理しましょう。ハカマをそぎ落とすときに一緒におこなうと良いですね。
タラの芽のアク抜きも下処理のひとつ
苦味やえぐみが強い伸びすぎたタラの芽や、おひたしや和え物など天ぷら以外で食べるときには下処理として「あく抜き」が必要でしたよね。
10cm程度の食べごろサイズのタラの芽でしたら、それほど苦味やエグミを感じません。ただし、アク抜きというよりは黒く変色するのを防止する「色止め」として、下ゆでをおすすめします。
トゲのあるなしは種類によって違う
タラの芽は種類によって小さな「トゲ」があるものとないものがあります。トゲがあるのが「オダラ」、とげの少ないのが「メダラ」と分けられます。
- オダラ(男だら)→とげがある 別名「オンタラ」
野山に自生している白っぽいタラノキの枝や幹にたくさんトゲがある。 - メダラ(女だら)→主にハウスで栽培されているトゲのないきれいな黄緑色
栽培用として用いられることが多い。
タラの芽の下処理方法
「ハカマの部分と気になるトゲを落とす」「きれいに洗う」苦味やえぐ味を取り除く「アク抜きをする」という3つの工程を行う下処理方法をお伝えしましょう。
準備するもの
- 鍋
- 水
- 塩(水1Lに対して大さじ1 )
手順
- 根本部分にある赤茶色や緑色した硬いはかまを剥がして取り除く。
- どうしてもトゲが気になる場合は包丁の背を使ってそぎ落とす。
- タラの芽を水でサッと洗って汚れを洗い落とす。
- 根元の固い部分は葉先に比べて火が通りにくいため、根元に十字の切り込みを入れる。
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、水1Lに対して塩20gの塩を入れる。
- 沸騰させたお湯にタラの芽を入れて2~3分茹でる。
※香りや歯ごたえを楽しめるように茹で過ぎないのがポイント。採りたての小さなタラの芽は沸騰した塩水にくぐらせる程度でOK。 - 手際よく冷水へ入れる。
- タラの芽が冷めたらしっかりと水気を切ってアク抜き完了。
苦味が強めのタラの芽でも、これだけでだいたいの苦味が取れているはずです。
《 ポイント 》
- スーパーで売られている多くは、すでにハカマが取り除かれている。
- ハカマは固くて食べられないので包丁で切り落とす。
- トゲが気になる場合も包丁使ってそぎ落とす。
- 伸びすぎたものや、おひたしや和え物など天ぷら以外で食べるならアク抜きが必要。
タラの芽の保存方法
タラの芽は冷凍保存もできる
独特の風味を味わうタラの芽はあまり日持ちしません。よって、美味しく味わうためには、風味が落ちる前に冷凍保存をおすすめします。
食べきれない時には、ハカマとトゲをそぎ落としてきれいに洗ってから冷凍庫で保存しましょう。下処理済みのタラの芽を一食分ずつラップで包み、冷凍用保存袋に重ならないように入れます。
できるだけ空気を抜いてから口を閉じて冷凍保存すると、2~3週間は保存できるでしょう。また、冷凍する前にアク抜きして水気を切ったものを、使い道に合わせて細かく刻んでおくと、味噌汁の具などにそのまま使えるので便利ですよ。
和え物や天ぷらにするときの解凍方法
冷凍したものは繊維の食感とほろ苦さを強めに感じるので、風味の強いゴマで味付けしゴマま和えにすると美味しく食べられます。塩少々を加えて沸騰させた湯に凍ったまま入れ、再沸騰するまで軽くゆで上げてから、調味料で和えます。
冷凍したタラの芽を天ぷらにしても美味しくいただけます。下処理してから冷凍保存したタラの芽を、凍ったままの状態で天ぷらの衣をつけ、180℃に熱した油で衣がカリッとするまで揚げます。
タラの芽の旬はいつ?
全国の山野に自生している天然ものの旬は、4月の桜の開花時期から6月上旬頃です。春の山菜の代表ともいえるタラの芽ですが、かつてはほんの一時期、旬の時だけ味わえる貴重な食材でした。
今ではハウスで栽培している地域もあり、早ければ12月頃から店頭に並べられています。
天然もののタラの芽を選ぶポイント
それでは、タラの芽を選ぶポイントを紹介しましょう。
なんといっても採りたてが一番美味しいのですが、収穫時のサイズによっても味に違いがあります。伸び過ぎた大きい目のものは苦味やエグミが強く、食べるところがあまりない小さなものは風味が弱く感じるでしょう。
最も美味しく食べられるのは、つぼみのようなところが開いて10cm弱に伸び、ある程度葉っぱが開いているものです。
ちょうどこれくらいのサイズが、タラの芽本来の風味を味わうのに適しているといえるでしょう。
《 ポイント 》
- 美味しく味わうには風味が落ちる前に冷凍保存する。
- 冷凍で2~3週間程度保存できる。
- 天然ものの旬は、4月の桜の開花時期から6月上旬頃。
- 最も美味しいのはつぼみのようなところが開いて10cm弱の大きさ。
最後に
タラの芽の「アク抜き」と「下処理方法」についていかがでしたでしょうか?
ハカマの部分と、どうしても気になってしまうトゲがあれば削ぎ落とし、きれいに洗う下処理。そして、苦味やえぐ味を取り除くアク抜きという3つの工程は意外と簡単にできることがわかりましたね。
その一方で、高温の油で揚げる天ぷらの場合はアク抜きをする必要がないのですね。山菜が大好きな人に一番おすすめなのは、タラの芽特有の苦みや香りを堪能しやすい「天ぷら」でしょう。
トゲが多めの「オダラ」でも、加熱すると気にならなくなり美味しく味わうことができるのですが、どうしても気になるという方は、ハカマと同じく包丁の背を使って下処理してくださいね。
日本全国の山野に自生しているタラの芽を採る場合のポイントとして、
- 伸びすぎたものは苦みが強く硬くて食べにくい。
- 小さすぎるものはタラの芽の魅力でもある本来の風味が弱い。
ということを頭に入れておきましょう。
タラノキの新芽が葉っぱになる前、ちょっとだけ茶色い付け根がついている頃が収穫の目安になります。この時期を見逃さないようにして、天然のタラの芽を味わってみてください!