「いかなご」と「きびなご」の違いとは?

イカナゴ(上)とキビナゴ(下)

「いかなご」と「きびなご」は見た目は似ていますが、全く別の魚です。見た目の違いを知らなければ、見分けがつきません。この記事では、「いかなご」と「きびなご」の違いや、それぞれの特徴、食べ方などをまとめましたので、参考にしてください。

「いかなご」と「きびなご」は違う

イカナゴとキビナゴの比較

「いかなご」と「きびなご」は見た目が似ていますが、種別も特徴も全く異なる魚です。

種別の違い

  • いかなご:スズキ目 ワニギス亜目イカナゴ科
  • きびなご:ニシン目 ニシン科キビナゴ属

体長の違う

  • いかなご:稚魚の時は2cm、成長は20cmほど。
  • きびなご:10cmほど、それ以上は成長しない。

見た目の違い

きびなごは体表に青色の帯がありますが、いかなごにはありません。

産地の違い

  • いかなご:兵庫県、北海道、宮城県、愛知県など。
  • きびなご:鹿児島県、高知県、長崎県など。

別名の違い

「いかなご」と「きびなご」には別名がありますが、これも違うんです。

いかなごの別名

  • コウナゴ(小女子:稚魚のとき)
  • シンコ(新子:稚魚のとき)
  • オオナゴ(大女子)
  • カマスゴ(加末須古)
  • カナギ(金釘)
  • メロウド(女郎人)
  • フルセ(古背) など。

きびなごの別名

  • ハマイワシ、ハマゴ、ハマゴイ(静岡県)
  • キミナゴ(三重県)
  • キビナ、カナギ(長崎県)
  • スルン、スリ、スルル(鹿児島・沖縄県)
〈こうなご・しんこ違い〉
こうなご(小女子)は、いかなごの稚魚のことです。東日本ではこうなご(小女子)は、西日本ではしんこ(新子)と呼ばれています。
〈しらすとは〉
いかなご
しらすとは、魚の名前ではありません。白い魚の稚魚をまとめてしらすと呼んでいます。いわし、にしん、いかなごなどの稚魚もしらすに含まれます。

食べ方の違い

「いかなご」は、釘煮(くぎに)やしらす干しなど加工したものが市場に出ることが多く、鮮魚として流通することは少ないです。

「きびなご」は刺身など生で食べることも多く、身はやわらかく食べやすいです。また、いかなごときびなごは揚げ物やてんぷらで使われることもあります。

《 ポイント 》

  • いかなごときびなごは全く別の魚。
  • いかなごは、スズキ目 ワニギス亜目イカナゴ科
  • きびなごは、ニシン目・ニシン科キビナゴ属。

いかなごの特徴

いかなご

いかなごは体長2cmほどで細長く、頭部の口先はとがっています。身体に腹びれがなく、斜めに皮質のヒダがたくさんあります。その内側にウロコがあり、小さめな尾びれがついています。

いかなごは沿岸の砂泥底に生息し、厚さに弱く6月頃から9月過ぎまで砂に潜って夏眠しています。

いかなごの旬

いかなごは産卵後2cm前後で2月下旬~3月が旬です。

いかなごの産地

いかなごの主な産地は兵庫県、北海道、宮城県、愛知県です。特に兵庫県は全国の37%を占めています。

いかなごの呼び名

いかなごは大きさや地域によって呼び名が異なり、稚魚のときは、東日本では「コウナゴ」、西日本では「シンコ」と呼ばれています。

また、成熟した個体は、北海道では「オオナゴ」、東北では「メロウド」、西日本では「フルセ、カマスゴ、カナギ」と呼ばれています。

いかなごの名物料理

いかなご

いかなごは、釘煮(くぎに)が有名です。水揚げ後すぐに釜茹でし、しょうゆや砂糖やしょうがなどで釘煮にされることが多いです。

きびなごの特徴

きびなご

きびなごは成魚でも体長10cm程度で、それ以上大きくなることはありません。

イワシ科の魚で、見た目はイワシに似ており、イワシ科の中では一番小さな魚です。体は銀色で、腹に青い帯があります。

きびなごの産地

きびなごの主な産地は、鹿児島県、高知県、長崎県です。その他に、熊本、宮崎、大分、愛媛、和歌山、三重、静岡などでも水揚げされています。

きびなごの旬

キビナゴの旬は、12月~2月と5月~6月の寒い時期の年2回です。

きびなごの呼び名

きびなごは、地域によって呼び名が異なり、沖縄は「スルル」、九州は「キビナ」、西日本は「コオナゴ」と呼ばれています。

きびなごの名物料理

きびなごは干物で有名です。水揚げされた後、一夜干しや丸干しにします。きびなごの干物はスーパーでもよく見かけます。

「いかなご」と「きびなご」の味と食べ方の違い

いかなごの味と食べ方

こうなご佃煮

いかなごの味は少々クセがあります。いかなごは鮮魚としての流通が少なく、しらす干しや釘煮などの加工品として販売されることが多いです。

いなかごで特に有名なのが、釘煮(ぐきに)です。錆びた折れた釘に似ていることから、この名が付いたと言われています。

きびなごの味と食べ方

きびなごの刺身

きびなごの味は淡泊でさっぱりしています。煮る・生・揚げる・干すなど、どの食べ方も美味しく食べることができますが、産地で一夜干しや丸干しなどの干しものに加工されることが多いです。

また、12月ころのきびなごは脂がのって身が引き締まっているので、刺身にするのもおすすめです。身が柔らかく骨が剥がしやすいので指で手開きすることができます。

「いかなご」と「きびなご」の栄養の違い

いかなごもきびなごも骨ごと食べられますので、栄養素や効果効能はほぼ同じです。

いかなごの栄養素と効果効能

いかなご

いかなごはカルシウムが豊富で100g中500mg含まれています。また、いかなごはタンパク質、ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB12、鉄、EPA、DHAが豊富に含まれています。

いかなごの栄養素(100gあたり)

  • カロリー:125kcal
  • ビタミン:ビタミンA・D・E・B1・B2・B6・C・ナイアシン、葉酸、パントテン酸など。
  • ミネラル:カルシウム、ナトリウム、カリウ、リン、鉄、銅、亜鉛など。
  • 脂質:DHA、EPA

いかなごの効果効能

〈骨や歯を丈夫にする〉
いかなごは骨ごと食べられるので、たくさんのカルシウムを摂取することができます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富なので、効率よくカルシウムを摂取することができます。

〈貧血予防〉
いかなごは鉄分を多く含んでおり、貧血気味の方には特におすすめです。

〈ストレス解消〉
カルシウムは精神を安定させ、体をリラックスさせるので、ストレス解消に期待できます。DHA、EPAにはさまざまな効果があります。

  • 血液さらさら効果
  • 高血圧の予防
  • コレステロール減少
  • 美容効果
  • 認知症予防
  • 記憶力アップ

など。

きびなごの栄養素と効果効能

いかなご

きびなごは100g中100mgのカルシウムを含み、タンパク質、ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB12、鉄、EPA、DHAも豊富です。

きびなごの栄養素(100gあたり)

  • カロリー:93kcal
  • ビタミン:ビタミンA・D・E・B1・B2・B6・C・ナイアシン、葉酸、パントテン酸など。
  • ミネラル:カルシウム、ナトリウム、カリウ、リン、鉄、銅、亜鉛など。
  • 脂質:DHA、EPA

きびなごの効果効能

〈骨や歯を丈夫にする〉
いかなごは骨ごと食べられるので、カルシウムの補給に適しています。また、カルシウムの吸収を効率的に助けるビタミンDも豊富に含まれています。。

〈貧血予防〉
いかなごは鉄分を多く含むので、貧血の方には特におすすめです。

〈ストレス解消〉

カルシウムは精神を安定させ、リラックスさせる効果があり、ストレス解消に期待できます。DHA・EPAにはさまざまな効果があります。

  • 血液さらさら効果
  • コレステロール減少
  • 美容効果
  • 記憶力アップ

など。

《 ポイント 》

  • いかなごもきびなごもどのような食べ方をしても美味しく食べることができる。
  • いかなごもきびなごもカルシウムやビタミンDが豊富で骨や歯を丈夫にする効果がある。

最後に

「いかなご」と「きびなご」は全く別の魚でしたが、どちらもほぼ同じ栄養素を含んでおり、丸ごと食べるのでカルシウムの効率的な摂取源になります。

カロリーは「いかなご」の方が高いですが、脂肪分であるDHAやEPAが多く含まれているためと思われます。

「いかなご」自体は魚としての味はあまり良くなく、釘煮などの加工品として売られています。それに比べ、「きびなご」は傷みやすいものの、食用魚としてさまざまな使い方ができるため、地元で人気の高い魚です。

そのために、「いかなご」が影の存在であれば、「きびなご」は表の存在だといわれています。

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