目次
成型肉の見分け方
成型肉の見分け方は意外と簡単です。成型肉の特質が分かれば見分けることができます。
〈成型肉とは〉
成型肉(せいけいにく)とは、骨の周りの肉を削ぎ落とし、軟化剤や結着剤を使って肉のように形を整えたものです。つまり、くず肉を寄せ集めて固めたものということですね。
成型肉の最も分かりやすい例は、サイコロステーキです。サイコロステーキの多くは、牛の骨の周りにある肉のくず、内臓、糖類、卵、大豆、牛乳など、さまざまなものをひとつにまとめて作られています。
また、成型した肉に牛脂を注入して霜降りにすることがあり、この加工を「インジェクション加工」といいます。
スーパーの成型肉の見分け方
スーパーで売られている肉には「成型肉」「加工肉」という表示が義務づけられているので、ラベルを見れば成型肉かどうかはすぐにわかりますが、それ以外にも見分ける方法があります。
値段で見分ける
スーパーで売られている成型肉は、見た目は普通の肉と見分けがつかないほど高い加工技術で販売されています。
しかし、スーパーで売られている成型肉のほとんどは、売価を見れば見分けがつくようになっています。
普通の肉に比べて成型肉は価格が安いので、「牛肉なのに豚肉より安い」「霜降りなのに普通の肉より安い」ということがあればラベルの表記を確認してみましょう。
赤い汁(ドリッピ)で見分ける
パック肉で、赤い汁(ドリップ)がたくさん出ているものは、成型肉の可能性がありますので、ラベルを確認してみてください。
飲食店の成型肉の見分け方
焼肉店、ステーキ屋、レストラン、ファミレスなど、成型肉を提供する飲食店はありますが、スーパーのように成型肉表示の義務はありません。
また、お弁当屋さんやコンビニのお肉も成型肉の表示義務はありません。そのため、成型肉を使ったとんかつを「とんかつ弁当」と表示して販売してもOKなんです。
普段食べているとんかつ弁当や焼肉弁当が、成型肉を使っているとは知らずに食べているかもしれませんね。
メニューの表記を確認
飲食店によっては、メニューに成型肉と表記しているところがあります。メニューには「成型肉」「加工肉」「インジェクション加工」と書かれていることがあります。
肉の状態で確認
メニューに表記がない場合の成型肉の見分け方は、肉の状態で判断します。
〈肉の繊維の向きが違う〉
普通の肉は繊維の向きが同じで、繊維がタテならタテの繊維しかありません。しかし、成型肉は縦にも横にもいろいろな向きに繊維があります。
一見してわかりにくいのは、トンカツでしょう。とんかつは衣がついているため、切らないと繊維が見えず、成型肉かどうかの判別が難しいのです。
カットされているもので、肉の断面の繊維が不自然なものや繊維が全く無いものは成型肉です。
〈筋が無い〉
成型肉は軟化剤などで加工しているので、筋がなく柔らかく、普通の肉のような歯ごたえはありません。
〈肉汁や赤い汁(ドリッピ)が多い〉
肉に直接脂肪を入れるインジェクション加工という加工を行っているため肉汁が非常に多いです。また、焼肉などで生の肉がのっているお皿に赤い汁(ドリッピ)が出ている場合、成型肉の可能性があります。
〈すぐ火が通る〉
普通の肉に比べて成型肉はすぐ火が通ります。成型肉はくず肉をくっつけたものですので、隙間に火がすぐ通りますのですぐ焼けて焦げ付きやすいです。
〈柔らかい〉
成型肉は、おいしく食べられるように加工・味付けされているので、口当たりがよく、柔らかくてジューシーです。
ただし、普通のお肉でも柔らかくてジューシーなものもあるので、味覚で見分けるのは難しいかもしれません。そんなときの目安になるのが価格です。あまりに安い場合は、成型肉の可能性が高いです。
《 成型肉の見分け方 》
- 肉の繊維の向きが違う。
- 筋が無い。
- 肉汁や赤い汁(ドリッピ)が多い。
- すぐ火が通る。
- 柔らかい。
成型肉は食品添加物だらけ?
成型肉を加工する際、お肉を柔らかくするための軟化剤、お肉を固めるための結着剤、お肉に味をつけるためのうま味調味料など、さまざまな食品添加物が含まれています。
〈成型肉で使われている主な食品添加物〉
- 乳化剤
- リン酸塩
- 植物性タンパク
- 乳タンパク
- 卵タンパク
- ビーフエキス
- 調味料(アミノ酸等)
- カラメル色素
など
成型肉はJAS法(※1)に基づいていますので、成型肉に使われている食品添加物も合法的なものです。成型肉によって食品添加物が異なりますが、スーパーなどで販売されている成型肉には成分も表記されていますので確認することができます。
添加物と聞くと体に悪いイメージがしますが、食品添加物入りの食べ物は身近にたくさんあります。インスタントラーメン、レトルトカレー、冷凍食品、コンビニ弁当…など。
毎日なんらかの食品添加物を食べていると思えば、成型肉に入っている添加物は気にならなくなるかもしれませんね。
成型肉の注意点
しっかり火を通す
成型肉は普通のお肉と違って、くず肉をまとめる過程でさまざまな加工がされています。
加工工場が衛生的に問題が無くても普通の肉より雑菌が入り込む可能性があるため食中毒をおこすリスクが高いです。
また、成型肉は加工の段階で空気に触れやすいため、菌の繁殖も早くなります。成型肉を食べる時は、中までしっかり火を通してから食べましょう。
食物アレルギーは要注意
成型肉には食品添加物の他に牛乳や卵を使っている場合があります。牛乳アレルギーや卵アレルギーの方はもちろん、他にもアレルギーを持っている方は成型肉を食べる前にアレルギーの原因となるものが含まれていないか確認してから食べましょう。
《 ポイント 》
- 成型肉はしっかり中まで火を通してから食べる。
- 食物アレルギーの人は内容物を確認してから食べる。
成型肉を外食の際に見分ける方法
スーパーで販売されているものは成型肉であることを表示する義務がありますが、飲食店には表示義務はありません。
さまざまな飲食店で成型肉を使っていますが、成型肉を表記している飲食店の場合、メニューを見ると「成型肉」または「加工肉」「インジェクション加工」などと書かれています。
また、普通の肉料理より成型肉が使われている料理は安く、食べ放題の店でよく使われています。
この記事の「成型肉の見分け方」でご説明したことと重複しますが、肉が次のような状態になっている場合は成型肉と思ってほぼ間違いないでしょう。
- 肉の繊維の向きが違う
- 筋が無い
- 肉汁や赤い汁が多い
- すぐ火が通る
最後に
成型肉の見分け方で一番はっきりしているのは価格でしょう。普通のお肉に比べて成型肉は非常に安いので、今までセールだと思って買っていた肉が実は成型肉だったかもしれませんね。
お肉のパックに「成型肉」または「加工肉」などと書かれていないか確認してみてください。また、成型肉に含まれる乳化剤やたんぱく質やリン酸塩などの添加物も記載されていることが多いです。
ところで、成型肉と加工肉の違いをご存じですか?加工肉と言われるグループの中に成型肉が含まれています。加工肉の種類にはソーセージ、ハム、ベーコンなどがあります。