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のし袋の「のし」について
のし袋の種類はたくさんありますが、のし袋の「のし」とは祝儀袋の右上に付いている飾りを指します。本来は鮑を細く薄く切り、叩いて伸ばしながら乾燥させた保存食で縁起物や長寿の象徴として慶事などの祝い事の贈り物などに添えられていました。
それがのし袋の飾りと変化して慶事などの祝い事に使用するのし袋に飾りとして付いています。逆に弔事、仏事に用いられるのし袋にのしは付いていません。のし袋の種類は実に多種多様です。
「蝶結びの水引」は一般的なお祝いなどで使うのし袋
のし袋の種類で、赤白の「蝶結びの水引」のついたのし袋は、婚礼以外の一般的なお祝いごとで使用します。弔事、仏事では使用しません。蝶結びは何度でも結び直すことができるので、おめでたい事やうれしい事は「何度あっても良い」という意味を持っています。このため弔事や病気見舞いに使用すると、不幸を重ねる、病気を繰り返すという意味となってしまいますので注意しましょう。
婚礼の際に間違って渡してしまうと蝶結びは簡単にほどけてしまうので何度でも結婚してねという離婚を意味することになって失礼になってしまうので絶対にやめましょう。
「蝶結びの水引」の、のし袋の主な用途は出産祝い、お宮参りの初穂料、入学祝い、七五三のお祝いなどの子どもの成長に関するお祝いごとや長寿のお祝いなどになります。また地鎮祭の初穂料や厄除けなどの祈祷の初穂料にも使用します。
「結び切りの水引」は結婚式や快気祝いで使うのし袋
のし袋の種類で、赤白の「結び切りの水引」のついたのし袋は、中央で固く結んだ水引が上を向いているもので、ほどくのがむずかしいことから「結び切り」と呼びます。繰り返すことのないように、今回一度で終わるという意味を持っています。
主に弔事やお見舞いなどで使用されます。婚礼に関しては慶事ですが蝶結びで紹介したように「繰り返す」ことは良くないので、この結び切りや次に紹介する鮑結びを使用します。
「結び切りの水引」の、のし袋の用途は結婚祝いや快気祝いなどの何度もあっては良くないお祝いごとになります。
「鮑結び(あわじ結び)の水引」も結婚式や快気祝いで使うのし袋
のし袋の種類で、「結び切りの水引」と同様に「鮑結びの水引」は、結びをほどくのが難しい結び方になりますが、結び目の中央の輪の部分が鮑(あわび)を表していて、両端を持って引っ張るとさらに強く結ばれることから、「末永くつき合う」という意味も持っています。
関西より西の地方では祝い事の全般で「蝶結び」を使わずに「鮑結び」が広く使用されているので「蝶結び」と「結び切り」のどちらか迷ってしまった場合は「鮑結び」を使用しましょう。
佛水引(藍銀水引)はお通夜や葬儀で使うのし袋
のし袋の種類で、白黒の「結び切り水引」や「鮑結びの水引」のついた蓮の絵が描かれているのし袋のは仏教の弔事全般で使用されます。「人生に一度きりにしたいお悔やみごと」に使用します。通夜や葬儀葬式や法事などのお悔やみ・弔事の際の不祝儀袋はこちらを使用します。
蓮の絵のないものは、仏教・神道・キリスト教など各宗教共通で使用する事ができます。水引の白が印刷では表現がしにくいので銀色を使用し黒では強すぎるので藍色を使用している場合があります。
水引の色に関して
水引の色は慶事と弔事で異なります。
慶事(祝い事)の場合は「赤白」「金銀」「赤金」などの色のものを使用します。
弔事(おくやみ事)の場合「白黒」「黄白」「銀」「黒」などの色のものを使用します。
一般的に慶事の水引きを「紅白の水引き」と言う方が多いのですが、正式には「赤白の水引き」と言います。紅白は皇室での祝い事のみに使用される呼び名で一般的ではありません。
水引きの色とのし袋の種類・用途
赤白+蝶結びの水引
婚礼以外の慶事(祝い事)全般に使用します
赤白+結びきり・鮑結びの水引
快気祝いなどの繰り返したくない慶事(祝い事)に使用します
金銀+結びきり・鮑結びの水引
婚礼などの人生一度きりの慶事(祝い事)に使用します。地方によっては赤白と同じように使用する場合があります
赤白+結びきりの水引
お見舞いにのしが付いていない物を使用します
黒白または黒銀+結びきりの水引き
弔事、仏事に全般でのしが付いていない物を使用します
黄白+結びきりの水引き
関西方面や北陸方面で弔事、仏事にのしが付いていない物を使用します
金銀+蝶結びの水引き
神事における祈祷の際に使用します
黄白+蝶結びの水引き
仏教以外の神道やキリスト教の通夜・葬儀告別式・法要時の際に使用します
結婚式で使用する祝儀袋
のし袋の種類で、結婚式では水引の結びに「末永くおつき合いしたい」という意味をこめて、結びきりの「鮑結び」や、華やかな飾りのある水引の祝儀袋を使用します。また祝儀の金額に応じて金封の大きさや、水引飾りの華やかさを使い分けて「格をあわせる」ことをします。
豪華なご祝儀袋をしようしているのにな金額が少ないと失礼になってしまうので、金額にあわせたご祝儀袋を選びましょう。およその金額ですが1万円~3万円、3万円~10万円、10万円以上となっています。祝儀袋のパッケージに金額が記載されているので参考にしてご祝儀の金額に見合った祝儀袋を使用してください。
赤棒の封筒型ののし袋
のし袋の種類に赤棒の封筒型ののし袋もあります。こちらは水引は省略されて左端に「赤色」の細幅線状の色が印刷されています。こちらはお祝い事において祝賀当人より儀式準備などでお手伝いを頂いた人に対して贈るお礼(御祝儀・寸志・御車料など)に使用します。
のし袋の準備をする際の注意点
慶事(祝い事)に使用する場合、のし袋の表書きをした面と合わせて表向きにお札の肖像画がある面を向けて入れます。中袋がある場合も同じです。お札を裏向きにしてはいけません。裏向きは弔事の際の入れ方になります。中に入れるお札もしわが無い新札を使用します。
弔事(おくやみ事)の場合、表書きは薄墨で書きます。薄墨は悲しみの涙で文字が滲んでいるという気持ちを表しています。中に入れるお金は向きを裏向きにして入れます。また新札を入れてはいけません。新札を入れないのは不幸を見越して用意していたと思われないためとされています。
最後に
冠婚葬祭のさまざまな場面で使用するのし袋ですが、のし袋の種類・表についている水引によって用途が違ってくる事はわかりましたか?使い方を間違えると相手に対して大変失礼なことになってしまいます。のし袋は頻繁に使用する事が無いものですのでいざ使う時に迷ってしまうかも知れません。しっかりと確認してから用意して使用しましょう。