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電子レンジでラップをかける?しなくていい?

電子レンジで温めるとき、「全部ラップをかけた方が安全」と思っていませんか?
一見そのほうが汚れも防げて便利に感じますが、実は料理によって“ラップをしたほうがいいもの”と“しないほうがいいもの”がはっきり分かれます。
そもそも、電子レンジでラップを使うのはなぜでしょうか。
その理由を一言でまとめるなら、「水分をコントロールするため」です。電子レンジは食品中の水分を振動させて熱を生み出しますが、加熱中に水分が逃げると、食材がパサついたり、硬くなったりします。
そこでラップをかけることで、蒸気を閉じ込めてしっとりとした仕上がりを保つことができるのです。
ラップの主な役割には次のようなものがあります。
- 水分の蒸発を防ぎ、乾燥を防止する
- 蒸気を閉じ込めて均一に温める
- 飛び散りを防ぎ、庫内を清潔に保つ
- 匂い移りを防ぐ
この4つを覚えておくだけで、「なぜラップをかけるのか」がぐっと分かりやすくなります。
ただし、ラップは完全に密閉してはいけません。ぴったり張ると内部の圧力が上がり、破裂や吹きこぼれの原因になります。少し隙間を作って「ふんわり」かけるのが基本です。
電子レンジでラップを『かけた』ほうがいい食品

ラップをかけたほうがいいのは、水分を逃したくないもの、または飛び散りやすい食品です。料理別に見ていきましょう。
ご飯・冷凍ご飯
冷凍ご飯は、ラップをかけないと一気に水分が抜けて硬くなります。
ふんわりラップをかけて温めることで、蒸気が全体に行き渡り、炊きたてのようなふっくら感が戻ります。
ポイントは、ラップの端を少し開けて蒸気を逃がすこと。完全に密閉すると中で膨張して破裂することがあります。
また、炊きたての温かいご飯を温め直す場合は、水分がまだ多いためラップをしなくても構いません。水分の状態を見て使い分けるのがコツです。
汁物やスープ
味噌汁やスープを電子レンジで温めるときは、必ずラップを軽くかけましょう。
スープ類は加熱中に“突沸(とっぷつ)”という現象が起こりやすく、ラップをしないと中身が飛び出して庫内を汚したり、取り出すときに熱湯がはねたりします。
特にコーンやあさりなどの具材ははじけやすいので、ふんわりラップでの加熱が安全です。
また、温めすぎは風味を損なう原因にもなるため、短時間ずつ様子を見ながら温めるのがおすすめです。
カレー・煮物・シチューなど
油分やとろみのある料理は、ラップなしで温めると中身がはねて電子レンジを汚してしまいます。ふんわりラップをかけると飛び散りを防げるだけでなく、全体がムラなく温まります。
とろみのある料理は内部が熱くなりやすいため、途中で一度かき混ぜてから再加熱すると仕上がりがより均一になります。
蒸し野菜や中華まん
電子レンジを“簡易スチーマー”として使うときも、ラップが活躍します。
カットした野菜を耐熱皿にのせ、ふんわりラップをかけるだけで短時間で蒸し野菜が完成します。
また、中華まんを温める際は、乾いたまま加熱すると皮がカチカチになるため、濡らしたキッチンペーパーで包んでからラップをかけるとふっくらしっとりとした仕上がりになります。
匂いの強い料理
カレーやニンニクを使った料理、焼き魚などのように香りが強い料理は、庫内への匂い移りを防ぐためにもラップが必須です。
蒸気に乗って匂いが広がるため、ラップをすることで電子レンジを清潔に保ち、他の料理への匂い移りを防ぐことができます。
電子レンジでラップを『かけない』ほうがいい食品

一方で、ラップをしないほうが美味しくなる料理もあります。ラップをかけることで蒸気がこもり、せっかくの食感を損ねてしまうケースもあるのです。
揚げ物・焼き物
天ぷらや唐揚げなどの揚げ物は、ラップをすると蒸気で衣がしんなりしてしまいます。ラップを外して短時間で温めれば、余分な水分が飛んで衣がサクッと仕上がります。
ただし、ソースやタレがかかった揚げ物は飛び散りやすいため、軽くキッチンペーパーをかけると安心です。
焼き魚も同様に、ラップをすると皮のパリッと感が失われます。加熱しすぎに注意しながら、ラップなしで温めましょう。
炒め物
油が多く飛び散りやすい料理以外は、基本的にラップを外してOKです。チャーハンや焼きそばのように水分を飛ばしたい料理は、ラップをしないほうが香ばしさが出ます。
ただし、ソースの多い炒め物は飛び跳ね防止のために軽くラップをかけるなど、状況に応じた使い分けが大切です。
パンやトースト
パン類は目的によってラップの有無を変えるのがポイントです。ふんわりさせたい菓子パンやロールパンは、軽くラップをして加熱するとしっとり戻ります。
一方でトーストやピザはラップをかけると水分でしんなりしてしまうため、ラップなしで短時間温めるのがベストです。
電子レンジでラップを安全に使うコツ

「電子レンジで安全に使うために知っておきたい、4つの基本ポイントを紹介します。
1. 密閉せず“ふんわり”かける
ラップはピッタリ密閉すると、蒸気が逃げられず膨張して破裂することがあります。縁を2〜3センチほど開けておくことで、余分な蒸気が自然に抜け、安全に加熱できます。
2. 耐熱温度を確認する
家庭用ラップの耐熱温度はおよそ140℃が目安です。通常の温めには問題ありませんが、油分が多い食品では部分的に200℃を超えることもあります。
脂の多い肉料理や揚げ物は、ラップを直接触れさせず、少し距離を取って使うと安心です。
3. 加熱後はゆっくり開ける
温め直後のラップの内側には、高温の蒸気がこもっています。勢いよく開けると熱気が一気に吹き出し、火傷をする危険があります。
数秒待ってから、手前に向けてゆっくりラップをはがすようにしましょう。
4. オーブン・グリルでは使わない
オーブンやトースターでは庫内温度が200℃を超えることがあります。電子レンジ用のラップはこうした高温には対応していないため、溶けたり焦げたりする恐れがあります。
オーブンを使う際は、耐熱容器やアルミホイルを代わりに使いましょう。
まとめ

電子レンジでラップを使うかどうかの判断は、料理を「しっとりさせたいのか」「カリッとさせたいのか」で決まります。
ご飯や汁物のように水分を保ちたい料理はラップをかけ、揚げ物や焼き魚のように食感を残したい料理は外すのが基本です。
ラップは単なる汚れ防止ではなく、食品の水分や香りを調整する“加熱のパートナー”です。
最近では、電子レンジ対応のシリコン蓋や再利用できるラップも増えています。使い捨てを減らしつつ、食品の仕上がりを調整できる便利な選択肢です。
ラップの使い方を工夫すれば、温めるだけの時間が「料理を仕上げる時間」に変わります。









