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ポリウレタン素材の特徴
ポリウレタンはプラスチック素材の一種で、プラスチックでありながらゴムのような伸縮性があります。またポリウレタンは合成ゴムに位置し、天然ゴムと異なり染色性があります。
そのためカラフルな洋服や自動車用品にも利用される素材です。合成ゴムということから温度や湿度の急激な変化にあっても素材性能は安定しており、ハードな使用が考えられるスポーツウエアなどにも採用されます。
さらに、ポリウレタンは軽くて速乾性に優れるなど実用性のある素材です。しかし、その一方で水分や微生物などにより脆化することもあるため、長く使用するには取り扱いに注意が必要な素材でもあります。
ポリウレタン素材のメリット
ポリウレタンは私たちの身近なところに使われていますが、どのようなメリットがあって採用されているのでしょうか?
伸縮性のある素材で用途は様々
ポリウレタンはその伸縮性が大きなメリットで、衣類に使用すれば身体にフィットし着やすい服になります。またその伸縮性を活かして、多少のサイズの差があっても着ることができます。
乾きやすい
ポリウレタンは軽く、洗濯して乾くまでの時間が早いこともメリットです。洗濯して短時間で着回せるため、旅行の際に持っていくと重宝します。また、汗をかきやすい夏場も活躍する素材です。
繊維の中でも軽い
ポリウレタンは合成皮革のカバンや靴などにも使用されており、本革のカバンや靴と比較して軽いため気軽に扱いやすいこともメリットです。
衝撃強度が高い
縦、横の引っ張りに強くちぎれにくいこともメリットです。衝撃に関しては気を使いすぎずに安心して使える素材です。
しわができにくい
衣類にしわができてしまう理由の一つに、繊維の伸縮性が少ないことが挙げられます。しかしポリウレタンは伸縮性の良さが特徴にあります。そのため、ポリウレタン繊維の服を丸めたような状態で長時間置いても、綿素材の衣類などと異なり簡単に元の状態に戻ります。
ポリウレタン素材のデメリット
ポリウレタンが実用的な素材であることがわかりましたが、その一方でどんなデメリットが存在するのでしょうか?大きく、4つの観点から見ていきましょう。
水に弱い
ポリウレタンは水に弱い性質があります。製造したその時から空気中の水分に反応し加水分解が始まります。ヴィンテージのスニーカーなどによく見られる変化です。
ポリウレタン製品の寿命は2年~3年といわれていますので、寿命が来ることは避けられませんが湿気や洗濯の際に注意すれば長く使用することができます。
湿度・温度の変化に弱い
ポリウレタンは湿気や温度の変化に強くはないデリケートな生地です。日常で使用する温度であれば問題ありませんが、乾燥などの手入れの際は注意が必要です。
ポリウレタン素材の衣類は乾燥機にかけると必ずと言っていいほど縮んでしまいます。また、アイロンがけの際も高温でかけてしまうと生地が溶けてしまいテカリも出てしまいますので、衣類の指定の温度で手入れする必要があります。
紫外線に弱い
紫外線の刺激にも弱いので洗濯して干す際も注意が必要で、水分に触れた時と同じく繊維の劣化が促進されてしまいます。
紫外線がかなり強い春から夏にかけての期間、ポリウレタンの衣類のダメージを軽減するには「部屋干し」か「影干し」をするべきでしょう。
微生物に弱い
ポリウレタンは合成ゴムですが微生物により劣化が促進されます。空気中の菌や微生物の影響も受けるため、ポリウレタンの衣類を使用した後は清潔に手入れすることが繊維を長持ちさせるために必要です。
ポリウレタン素材の取り扱い方法と注意点
ポリウレタン素材は実用的で、それを使用した衣類はたくさんありますが、取り扱いの際にどのような点に注意するべきでしょうか?
水に濡らしたままにしない
ポリウレタンは水分に弱いため、飲み物をこぼしたり雨に濡れたりした場合は、すぐに拭き取ることが長持ちのポイントです。自然乾燥は繊維内に水分を保持することになりダメージを大きくするため、気づいたらすぐに水分を拭きとりましょう。
また、ポリウレタン素材の衣類を押入れやクローゼットにしまう場合、湿気がたまりやすいので衣類圧縮袋に入れて湿気を遮ったり、湿気取りを置いたりして湿気対策を行います。
洗濯は必ずデリケートコース
洗濯の際は、洗濯ネットに入れて他の衣類との摩擦を極力避けましょう。デリケートコースか手洗いコースを選択すればダメージを軽減できます。また、水分を含む時間を短くする必要があるためつけ置き洗いも避けましょう。
ポリウレタン生地についた汚れを取るには
水分にはできる限り触れさせないことが重要です。汚れをとる際はおしゃれ着用の洗剤を薄め、清潔なタオルに含ませ汚れを拭き取ります。汚れが取れたら、洗剤成分を拭い去るようにきれいなタオルで拭きとることでダメージをおさえることが可能です。
防水スプレーを活用する
防水スプレーでコーティングすることで、水分による劣化スピードを遅らせることができます。その場合、ポリウレタンに使えない防水スプレーもあるのでスプレー選びには注意が必要です。
ポリウレタン素材とは
ポリウレタンは1937年にドイツで開発された素材ですが、本格的に製品化されたのは1959年のことで、アメリカのデュポン社がポリウレタンを製品化しました。
その後、日本でも1963年からポリウレタンの本格的な生産がスタートしました。ポリウレタンは伸ばす前の大きさと比較すると5~10倍の長さまで伸びるほど伸縮性に優れています。
ポリウレタンは別名、「ウレタン樹脂」や「ウレタンゴム」と呼ばれます。そのポリウレタンを繊維化したポリウレタン弾性繊維はスパンデックスと呼ばれており、水着やスポーツウエアに幅広く用いられている繊維です。
ポリウレタン素材はカバンなどの合成皮革としても利用されており、本革と比較すると手軽に使用できます。また、ポリウレタンは発泡素材のウレタンフォームとして作られ、防音の必要な建物や衝撃を吸収するためのケースに使用されます。
身近なところではスマートフォンのケースにもその衝撃吸収性を活かしてポリウレタンが使用されています。ポリウレタンの繊維は合成ゴムであることから自由に太さを調節でき、生産の際に伸縮性をコントロールすることが可能です。
またポリウレタンはその伸縮性を活かして、建物などの傷対策のコーティング用樹脂として使用されることもあります。
まとめ
ポリウレタン素材の衣類のメリットとデメリットをご紹介しました。ポリウレタンは洗濯や乾燥の際に気を使う必要はありますが、それ以上に伸縮性など実用的なメリットを備えており身近で使いやすい素材です。
スポーツウエアなどの衣類を選ぶ際や、ポリウレタン素材の取り扱いの際に今回ご紹介した情報を活用してみてくださいね。