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高齢化率が29.1%に!日本の人口構造が大きく変化
少子化が進み、高齢化が進行している日本。2023年時点で65歳以上の高齢者が全人口の29.1%を占め、約3人に1人が高齢者という時代になっています。この数値は、先進国の中でも極めて高い水準で、日本社会が直面する大きな課題の一つです。
高齢化が進む背景には、医療技術の進歩による平均寿命の延び、そして出生率の低下が大きく影響しています。また、地方に住む若年層が都市部に流出する傾向も、高齢化率を地域ごとに大きく左右する要因となっています。
たとえば、地方では子どもが少なく、人口全体に占める高齢者の割合が急増している一方、都市部では働き盛りの若年層が多いため、相対的に高齢化率が抑えられているのです。このような日本全体の人口構造の変化は、地域ごとの特性を理解するうえでも欠かせない視点です。
(参照元:総務省統計局、内閣府 高齢社会白書、国立社会保障・人口問題研究所)
高齢者が最も多い都道府県ランキング10
さて、ここからは本題に入ります。65歳以上の人口割合が最も高い都道府県はどこなのでしょうか?ランキングを見ながら、それぞれの地域の特徴や背景を掘り下げていきます。
上位の都道府県では、自然環境や産業構造、若者の流出といった要因が、高齢化率の高さにどのように関係しているのかを確認してみましょう。
第1位 秋田県(高齢化率:39.0%)
高齢化率全国トップは秋田県です。その割合は驚異の39.0%で、約2.5人に1人が65歳以上という現状です。特に注目すべきは、15歳未満の若年層が10%未満という非常に低い割合に留まっている点です。これにより、高齢化が一層顕著になっています。
また、雪深い冬の生活環境が若者の都市部流出を加速させているとも言われています。一方で、秋田犬やなまはげなどの地域文化を活用した観光業が地域経済の柱となっており、高齢者の知識や経験を活かした新たな地域活性化の取り組みも進んでいます。
第2位 高知県(高齢化率:36.3%)
四国南部に位置する高知県は、豊かな自然と独特の地形が特徴です。その地理的要因から若年層の流出が進み、全国第2位の高齢化率となっています。特に、単身高齢者の割合が高いことから、地域コミュニティの維持が課題となっています。
しかし、カツオや柑橘類といった地元特産品を活用した産業が再評価され、地域資源を軸とした若年層との協力体制が生まれつつあります。このように、高齢化の進む地域でも、新たな可能性が模索されています。
第3位 徳島県(高齢化率:35.3%)
徳島県では、特に若年女性の人口流出が目立っています。これにより、未婚率や晩婚化が進み、出生率の低下が顕著です。しかし、地域に根付いた阿波踊りなどの文化イベントを通じて、若者の帰郷や移住を促進する試みが進行中です。
さらに、自然環境を生かした移住促進政策が功を奏し始めており、高齢化の進む地域でも前向きな変化が見られます。特に高齢者の経験や技能を活かした地域づくりが注目されています。
第4位 山口県(高齢化率:35.3%)
山口県は、高齢単身世帯が多い点が特徴的です。高齢者向けの地域福祉サービスが充実しており、行政による支援が手厚い県の一つと言えます。また、瀬戸内海に面した穏やかな景観を活用した観光交流が広がり、高齢者が中心となる地域イベントが地域活性化に一役買っています。
一方、農業や漁業が盛んな地域では後継者不足が課題となっており、若者の地域定着を目指した取り組みが進行中です。これらの施策を通じて、山口県独自の地域力を維持しようとする動きが注目されています。
第5位 青森県(高齢化率:34.5%)
青森県では、厳しい冬の気候が高齢者の生活に大きな影響を与えています。豪雪地帯特有の住環境が高齢者の生活負担を増加させており、さらに都市部への若者の流出が加速することで過疎化が進んでいます。
それでも、青森県には独自の強みがあります。例えば、豊かな自然資源を活用した観光業の成長や、りんごなどの特産品を生かした農業が挙げられます。地域資源を活用し、高齢者が地域社会に積極的に貢献する姿は、他県の参考になる事例とも言えるでしょう。
第6位 山形県(高齢化率:35.2%)
山形県は全国でも有数の農業県として知られています。その農業従事者の多くが高齢者であるため、後継者不足が深刻な課題です。特に冬季の豪雪地帯では、雪かきや農作業が高齢者に重くのしかかる現状があります。
それでも、山形の果物や温泉といった観光資源は依然として強みです。観光業を高齢者の新たな働き口として活用する取り組みが注目されており、地域社会の中で高齢者が新たな役割を担う事例が増えています。
第7位 岩手県(高齢化率:35.0%)
岩手県は広大な面積を持つ一方で、人口密度が低く、高齢者の孤立が課題として挙げられています。特に沿岸部では、東日本大震災の影響を受けた地域コミュニティの再建が急務です。
それでも、地域特有の結束力を活かして高齢者がボランティア活動に積極的に参加している事例があります。また、岩手ならではの工芸品や郷土料理を活かした地域活性化の動きも進んでおり、高齢者が地域の伝統文化を守りながら貢献している姿が印象的です。
第8位 島根県(高齢化率:35.0%)
島根県は全国的にも早くから高齢化が進んだ地域です。団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年頃には、さらなる高齢化率の上昇が予測されています。そのため、地域全体で持続可能な対策を模索する動きが進行中です。
特に注目されるのは、出雲大社を中心とした観光資源の活用です。ただし、観光業の担い手不足が課題となっており、高齢者を中心に地域を支える新たな仕組みづくりが必要とされています。若者のUターンやIターンを促進する政策が着実に成果を上げ始めています。
第9位 長崎県(高齢化率:34.3%)
長崎県の特徴的な地形である「多島海(たとうかい)」は、美しい景観を生む一方で、離島を多く抱える地域ならではの課題を生み出しています。特に地域間のアクセスが不便で、離島地域では若い世代の移住促進が急務となっています。
その一方で、長崎は豊かな観光資源を有しており、高齢者が中心となる地元イベントが地域の活性化に繋がっています。例えば、長崎ランタンフェスティバルでは、地域の歴史や文化を活かしながら観光客を呼び込み、高齢者も地域の一員としてその成功に貢献しています。
第10位 和歌山県(高齢化率:34.2%)
紀伊半島に位置する和歌山県は、山間部の過疎化が進行しており、特に農業や林業が主要産業である地域では高齢者が現役として働き続ける姿が見られます。世界遺産に登録された熊野古道を中心とする観光業が地域経済を支える重要な柱となっており、これを活用した若年層との協力体制が整いつつあります。
また、高齢者が観光業に携わることで、地元の文化や自然の魅力を次世代に伝える役割を果たしており、高齢化の中にも希望の光が見える地域です。
ランキング外の都道府県の状況もチェック!
ランキング上位10県に入らなかった都道府県にも、それぞれ独自の背景や課題があります。たとえば、高齢化率が低い東京都(22.8%)や沖縄県(23.8%)のような地域でも、絶対数として高齢者が多いため、介護施設や医療サービスの需要が急増しています。
また、北海道(33.0%)のように広域分散型の高齢化問題を抱える地域では、交通インフラの整備や遠隔医療の導入が課題として挙げられます。それぞれの地域で異なる事情があるため、全国の状況を俯瞰しながら自分の県の特徴を理解することが、新たな発見につながるかもしれません。
- 11位 愛媛県 – 高齢化率:34.2%
- 12位 大分県 – 高齢化率:34.2%
- 13位 新潟県 – 高齢化率:33.8%
- 14位 鹿児島県 – 高齢化率:33.8%
- 15位 宮崎県 – 高齢化率:33.7%
- 16位 鳥取県 – 高齢化率:33.3%
- 17位 福島県 – 高齢化率:33.2%
- 18位 富山県 – 高齢化率:33.1%
- 19位 北海道 – 高齢化率:33.0%
- 20位 長野県 – 高齢化率:32.7%
- 21位 奈良県 – 高齢化率:32.6%
- 22位 香川県 – 高齢化率:32.6%
- 23位 熊本県 – 高齢化率:32.3%
- 24位 山梨県 – 高齢化率:31.7%
- 25位 佐賀県 – 高齢化率:31.7%
- 26位 福井県 – 高齢化率:31.5%
- 27位 岐阜県 – 高齢化率:31.2%
- 28位 静岡県 – 高齢化率:31.0%
- 29位 岡山県 – 高齢化率:31.0%
- 30位 群馬県 – 高齢化率:30.9%
- 31位 茨城県 – 高齢化率:30.6%
- 32位 三重県 – 高齢化率:30.6%
- 33位 石川県 – 高齢化率:30.5%
- 34位 栃木県 – 高齢化率:30.2%
- 35位 広島県 – 高齢化率:30.1%
- 36位 兵庫県 – 高齢化率:30.0%
- 37位 京都府 – 高齢化率:29.7%
- 38位 宮城県 – 高齢化率:29.2%
- 39位 福岡県 – 高齢化率:28.5%
- 40位 千葉県 – 高齢化率:28.1%
- 41位 大阪府 – 高齢化率:27.7%
- 42位 埼玉県 – 高齢化率:27.4%
- 43位 滋賀県 – 高齢化率:27.0%
- 44位 神奈川県 – 高齢化率:25.9%
- 45位 愛知県 – 高齢化率:25.7%
- 46位 沖縄県 – 高齢化率:23.8%
- 47位 東京都 – 高齢化率:22.8%
高齢化率ランキングから見える日本の姿
今回のランキングを通して、日本の地域ごとの高齢化の現状が浮き彫りになりました。それぞれの都道府県には独自の課題がある一方で、地域資源を活用した取り組みが進んでいる点も見逃せません。
高齢化はネガティブに語られがちですが、地域の強みを見直すチャンスでもあります。この記事を通じて、自分の県や地域について興味を持つきっかけになれば幸いです。どんな発見があったか、ぜひ他の人とも共有してみてください。