冷蔵庫と壁の間にはスペースが必要?設置で気を付けることとは

冷蔵庫と緑色の壁

冷蔵庫と壁の間にはスペースが必要だと聞いたことはありませんか?以前は壁にぴったりとつけずに十分な隙間を開けて置くのが常識だと思われていました。今回はそれらを検証すると共に、冷蔵庫の設置で気を付けることをいくつかご紹介いたします。見た目や機能性が高いからという理由で製品を選ぶだけではなく、ドアの開き方やカビ対策、正しい設置方法まで考えてみましょう。

冷蔵庫は壁から離して設置すると言われている理由

キッチンと冷蔵庫

冷蔵庫を設置する時の注意点として、冷蔵庫の背面を壁から少し離して置くというのが常識になっていました。

この「冷蔵庫と壁の距離」には、ものを冷やす際に集めた熱を放熱することで、効率的に冷却するための「放熱板」の存在が関係しています。

冷蔵庫本体の背面に、黒い板のようなものが装着されているのを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、これが「放熱板」と呼ばれる部品です。

「冷蔵庫の背面を壁から離して置く」という概念は、この放熱板と背面の壁の距離が近すぎると十分な放熱ができずに、冷蔵庫の冷えが悪くなるということからきているようです。

《 ポイント 》

  • 冷蔵庫本体の背面にある黒い板のようなものが放熱板。
  • 冷蔵庫と壁を離す理由は放熱板を機能させるため。

冷蔵庫と壁の間にスペースは必要?

キッチン

現在の冷蔵庫は少しの隙間で大丈夫

以前は冷蔵庫の背面に設置されていた放熱用の放熱板ですが、ここ20年ほどの間に背面から側面放熱、そし上部放熱と進化し、現在では放熱板が外から見てわからないように造られているが主流のようです。

つまり、冷蔵庫の背面や側面と壁の距離を離さなくてもいいように内部に設置されています。

わずかな隙間で十分なので、無駄なスペースを出さずにすみ、スペースの有効活用にも繋がりますので、背面を壁にピタリとくっつけて設置しても大丈夫な冷蔵庫が多く出回るようになりました。

では、放熱板はどこにあるのでしょうか?

実は、冷蔵庫の側面や上部に設置されているのです。冷蔵庫の側面や上部を見ても、それらしきものは見当たりませんが、外観を重視して内部に設置されているため、外からは見えないようになっているのです。

そんなわけで、現在では、側面は0.5~2cm、上部は5~30cmほどの隙間を確保するだけでよいというのがメーカー側の持論です。背面と側面の距離は、ほんの少しだけ空いていれば問題ありませんので、設置場所に困ることはないでしょう。

隙間を作って設置したほうが良いケース

それでもやはり、冷蔵庫は壁から10cm空けておくと放熱も十分出来るので安全だという考えから、推奨しているメーカーもあります。10cm開けるとなると、間取りによっては冷蔵庫がかなり前に出てくる感じがするのですが、冷蔵庫に限らず、熱を発するものは壁から10cm離すことがカビ対策に一番効果があるとも言われています。

確かに、隙間があれば風通しも良くジメジメしないうえに掃除もしやすく、狭い左右の隙間に好んで入り込むゴキブリ問題も一緒に解決できます。

それに、日光やけによる壁の変色や、壁につけた状態で伝わってくる振動音が気にならなくなるので、スペースに余裕があるご家庭でしたら、隙間を10cm空けて設置することをおすすめします。

《 ポイント 》

  • 現在では冷蔵庫の外観を重視して放熱板を内部に設置するようになった。
  • 背面を壁につけても大丈夫な冷蔵庫が多く出回っている。
  • 冷蔵庫は10cm空けて設置することで振動音や壁の変色、カビ、ゴキブリ対策になる。

冷蔵庫の設置場所で気を付けること

キッチンと冷蔵庫

設置スペースの確認

冷蔵庫を設置する際に壁との隙間を作る事も大事ですが、何より気を付けるべきことは、キッチンの間取りや冷蔵庫の設置スペースに合わせて、どれくらいのサイズの冷蔵庫を設置できるのかを把握しておくことです。

冷蔵庫の背面や側面のスペースをそれほど意識しなくてよくなったとは言え、隙間空間もある程度考慮し、 設置スペースの「幅」「奥行き」「高さ」それぞれを事前に確認し、購入にひかえてメモをとっておくとよいかもしれませんね。

直射日光があたらない場所に設置する。

冷蔵庫を設置する場所は、日陰で熱気の当たらない風通しの良い場所を選びます。冷蔵庫に直射日光が当たると、プラスティック部分が変色してしまう場合があります。

また、風通しが悪いと、冷却する効率が悪くなり、電気代がよけいにかかってしまうことがありますので気をつけましょう。

床やまわりの状態

冷蔵庫を設置する際に壁との隙間を作る事も大事ですが、床が丈夫で水平であることも重要です。

床がきしむような場所や、ガスコンロの横など熱気や湿気のある場所は避けてください。底の吸込口をふさぐおそれのある、ジュータンや塩化ビニール製の敷物などにも気を配る必要があります。

また、雑音や映像の乱れがおこる可能性がありますので、テレビ・ラジオ、電話機、インターホンから離れているかどうかも大切なポイントです。意外と忘れがちですが、冷蔵庫の専用コンセントがどこにあるのかも事前に把握しておきましょう。

冷蔵庫の上部に物を置かない

誰しもランニングコストは抑えたいものです。大型冷蔵庫であれば上部に手が届かないでしょうが、小型の冷蔵庫の場合だと、ついつい上に物を置いてしまいたくなります。

熱は自然と上に上っていくようになっているため、効率よく冷却させるためにも冷蔵庫の上にものを載せることは避けましょう。

また、冷蔵庫の側面も有効に活用したいと、マグネットで用紙を貼り付けたり、ホワイトボードを設置して掲示板代わりにしてしまいがちですが、これらも冷却率を低下させる原因に繋がります。

《 ポイント 》

  • 冷蔵庫を置く際には、設置スペースの「幅」「奥行き」「高さ」を把握しておく。
  • 冷蔵庫を置き時は、日陰で熱気の当たらない風通しの良い場所を選ぶ。
  • 冷蔵庫置く床は水平で、底の吸込口をふさぐおそれのある敷物は避ける。
  • 冷蔵庫はテレビなどに雑音や映像の乱れがおこる可能性があるので距離をとる。
  • 冷蔵庫の専用コンセントの位置を確認する。
  • 冷蔵庫の上に物を置かない。

冷蔵庫裏の壁紙がカビてしまったら

洗剤とスポンジ

壁紙についたカビの落とし方

冷蔵庫の背面や側面の壁紙にカビが発生する一番の原因は湿気や結露です。調理中に出る蒸気や、お風呂に入った際の湯気が入ってきたりと、台所は思いのほか湿気が溜まりやすいものです。

また、冬の寒い時期は、室内と屋外の温度差が大きいと結露ができて水分が壁に付着し、カビが発生してしまう原因になります。

準備する物

  • ゴム手袋
  • キッチンペーパー
  • 台所用の漂白剤

カビを落とす手順

  1. 冷蔵庫の中身を取り出す
    冷蔵庫背面の壁を掃除するには、冷蔵庫を動かす必要がありますので、冷蔵庫の中身が落ちたり割れたりしないよう全て取り出しましょう。
  2. カバーを外す
    一番下にあるプラスティックのカバーを外す。黒い冷蔵庫の脚が見えるのでこれをクルクルと緩めると冷蔵庫を動かせるようになります。
  3. 掃除機をかける
    冷蔵庫の背面や壁紙を露わにしたら、掃除機で全体のホコリを吸い取りましょう。
  4. 拭き取る
    ゴム手袋をはめ、漂白剤をスプレーしたキッチンペーパーでそっと拭き取ります。※色や柄のついた壁に使用する場合は、事前に目立たない場所で色落ちしないかチェックしてから使用するのがよいでしょう。
  5. 頑固なカビを落とす
    ④の拭き取りでカビが取り除けない酷いカビの場合、壁紙にキッチンペーパーで漂白剤パックをし、5分~10分(カビの汚れに応じて時間を調整する)放置します。
  6. 拭き取る
    カビを落とした壁を固く絞った雑巾で水拭きして、最後にしっかり乾拭きしましょう。
  7. 完了!
    冷蔵庫を元の位置に戻し、ネジを回して冷蔵庫を固定したら完了です。

カビを防止する方法

カビ防止スプレーをする

壁紙に再びカビを生えさせないための防止策として、冷蔵庫裏を掃除した後に、市販されている「壁紙用カビ防止スプレー」を少し離れた距離からかけておくと効果があるようです。

その後、壁紙から10cm程離して製造庫を設置すると、熱気がこもらずカビの発生しにくい環境を作ることができるでしょう。

台所の換気をする

晴れた日に窓を開けて、室内の湿気を逃がすようにします。梅雨の時期など雨が続く季節には、除湿器やエアコンを使って除湿をするとよいでしょう。

除湿機を利用して、湿度を40~60%にしておくとカビが生育しにくい環境作りができます。

定期的に掃除をする

冷蔵庫の裏側と側面をこまめに掃除して、カビのエサとなるほこりやゴミを取り除きます。

掃除の後に、カビ防止スプレーや、水で溶かした重曹やエタノールを冷蔵庫にスプレーしておくとカビの予防に効果があります。

《 ポイント 》

  • 壁紙にカビが発生する一番の原因は湿気や結露。
  • 漂白剤をスプレーしたキッチンペーパーでカビを拭き取る。
  • 予防策として壁紙用カビ防止スプレー、重曹、エタノールを冷蔵庫にスプレーする。
  • 冷蔵庫の裏側と側面をこまめに掃除する。

壁と冷蔵庫の扉の開き方

冷蔵庫を開ける女性

冷蔵庫は、主に3種類のドアに分かれます。

片開き

右側にドアが開く

左側に壁があるキッチンの場合や、右利きの方に使いやすいタイプです。

左側にドアが開く

右側に壁があるキッチンの場合や、左利きの方に使いやすいタイプです。

メリット&デメリット

  • 片手で開いて中全体を見渡すことができる。
  • ドアポケットの容量が大きいのでドアポケットに色々入れられる。
  • 扉が大きいので、冷蔵庫前にスペースが必要。
  • 引越し先で、開閉の向きによっては使いづらくなる恐れがある。
  • 大きく開閉するため、冷気が逃げやすい。

観音開き

中央部分から二手に分けて開ける一番人気のあるタイプで、特に転勤族の方にはおすすめです。

メリット&デメリット

  • 間取りを気にする必要がなく、引っ越し先で置き場所が変わったとしても安心。
  • 通路が狭い場合は、観音開きタイプがおすすめ。
  • ドアのポケットが細かく分かれているため収納しやすい。
  • 開閉範囲が少なくて済むので節電になる。
  • ドアが小さいので開閉が軽い。
  • 庫内を全て見渡したいというときには、両方のドアを開けなくてはいけない。
  • 両方開けたい時に両手を使うため不便。

両開き

1枚ドアですが、左右どちら側からでも開くことができるタイプです。スペースに限りがあるキッチンでも置き場所を選ばず、どのような状況であっても対応で可能です。

メリット&デメリット

  • 置き場所を選ばない
  • 引越し先でも気兼ねなく使える
  • 来客に中身を見られないようにできる。
  • 壊れやすいと言われていたが、現在では部品の強化が行われ、ほとんど心配がない。

《 ポイント 》

  • 冷蔵庫のドアには、「片開き」「観音開き」「両開き」がある。
  • 両開きは置き場所を選ばず、引っ越し先でも心配がない。

冷蔵庫に関するQ&A

冷蔵庫を開ける老人

Q.冷蔵庫の寿命は何年くらいですか?

A.冷蔵庫の平均寿命は10年~15年程度と言われていまが、家電の性能がよくなるにつれ、冷蔵項の寿命も延びつつあるようです。

ちなみに、メーカーが修理の際に必要な部品を保存するにあたり、義務付けられた「保存期間」は9年となっています。

Q.買い替え時の症状を教えて下さい。

A.冷蔵庫からいつもと違う金属音がしたり、音が異常に大きくなった時は故障の可能性があるので、修理や買い替えを検討してください。

また、冷蔵庫の冷え方が悪くなったら買い替えどきのサインです。冷蔵室、冷凍室ともにまったく冷えていないときには、コンプレッサーの故障が考えられます。

《 ポイント 》

  • 平均寿命は10年~15年程度。
  • メーカー側に義務付けられた部品の保存期間は9年。
  • いつもと違う金属音や音が異常に大きくなったら故障の可能性がある。
  • 冷蔵庫の冷え方が悪くなったら買い替えどき。

最後に

冷蔵庫と壁

冷蔵庫と壁の間にはスペースが必要かどうか、おわかりいただけましたか?

冷蔵庫の背面に放熱板のある製品は、数年前から製造されなくなったようで、壁との距離をとる必要はなくなりました。

とはいっても、側面にある壁や家具との隙間はほんの少しだけ作っておいた方がよく、上にも物は載せないように心がける、これが効率よく冷却させて、電気代を抑えるコツになります。

確かに、隙間なくぴったり設置できれば、見た目がスッキリしますが、僅かでも隙間をもうけた方が掃除がしやすく、カビが生えにくいというメリットもあります。

それからもう一つ重要なのが、冷蔵庫の設置場所のサイズ確認と、ドアの「右開き」「左開き」「両開き」のどれを選んだら動線上最も使いやすいかを把握しておくことです。特に、将来的に引っ越しをする可能性がある方は、その後にも対応できるかどうかを考えてみましょう。

そのちょっとした知恵と工夫が、環境にも省エネにもつながりますので、これを機会にご家庭に合った使い方を心がけてみませんか?

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