目次
羽毛布団にお手入れが必要な理由
羽毛布団の正しい干し方からしまい方まで、そのお手入れ方法を説明します。
お手入れすると羽毛布団は長持ちする
羽毛布団のお手入れの必要性としてまずあげられることは、他の寝具に比べて高価な布団であるからこそ、長く快適に使い続けるために正しいお手入れが不可欠だということでしょう。
そうなんです。お手入れ次第では何十年も長持ちさせることができるのです。
さまざまな要因で羽毛布団の保湿性は失われていく
羽毛布団を使い続けているうちに、寝ている人の汗や皮脂、湿気を吸い込むことで、羽毛布団の羽毛が小さくなっていきます。
次第に布団全体のかさが減り保温性が失われてしまいます。また湿気を多く含んだ状態が続くと雑菌が繁殖して、ダニや匂いの原因となってしまいます。
お手入れを放置すると羽毛が飛び出てくることも…
長期間お手入れをせずに使っていると、中の羽毛や羽軸が飛び出してくることもあります。
この羽毛を無理矢理引っ張って抜いてしまうと表面の穴がさらに大きく広がり、よけいに羽毛が飛び出してしまいます。このような時は、引き抜かずに内側へひきいれてください。
《 ポイント 》
- 汗や皮脂、湿気を吸い込むことでかさが減り保温性が失われる。
- 湿気により雑菌が繁殖してダニや匂いの原因になる。
- 飛び出してくる中の羽毛を引っ張ると表面の穴が大きく広がってしまう。
- 羽毛や羽軸は引き抜かずに内側へ引き入れようにする。
羽毛布団のお手入れの基本
布団カバーを使う
羽毛布団の汚れや擦り切れなどのダメージを防ぐためにも、布団カバーは必ず掛けるようにしましょう。
汗や皮脂の汚れは時間が経つと酸化して落ちにくくなるので、替えのカバーを用意しておき布団本体にまで汚れが浸透してしまわないように、こまめに洗濯し清潔さを保つようにします。それに、カバーを掛けた方が羽毛布団の保温力もアップします。
起床後はすぐ収納しない
布団から起き抜けの時は、自分の体温で温められた熱や湿気がこもっていますから、しばらくそのままの状態にしておいて、湿気や熱を発散させた後に押し入れにしまうようにします。
月に1~2回の天日干しをする
羽毛布団を長持ちさせるには、風通しのよい日陰で天日干しをすることで湿気を追い出し、再び羽毛をふわふわと膨らんだ状態にできます。ただし、吸湿・発散性に優れている羽毛布団は、綿布団のように頻繁に天日干しをする必要はありません。
月に1〜2回程度、ひっくり返して両面を天日干しにすることで日光消毒にもなりますし、中の空気がふくらみ、より保温性が高まるでしょう。
非常に繊細で傷みやすいため、干す時間も両面で2時間以上にならないようにし羽毛に負担をかけないような手入れを心がけましょう。
天日干しができない場合は布団乾燥器
天日干しができない環境では、布団乾燥機や除湿器を使って乾燥させる方法があります。
布団乾燥機を使用する時は、70度以上の高温にならないように注意してください。また、湿気の多い時期にはハンガーラックなどに布団を掛けて、除湿器を運転させるのも効果的で手軽な方法です。
《 ポイント 》
- 汚れ防止に布団カバーは必ず掛ける。
- 湿気や熱を発散させてから押し入れにしまう。
- 風通しのよい日陰で月に1〜2回天日干しをする。
- 布団乾燥機は70度以上の高温にならないように注意。
羽毛布団を干すときのお手入れ方法
時間帯や天候
朝夕の湿気が多い時間帯を避け、0時~15時くらい(冬場は14時)までの間に、片面1時間ずつとして合計2時間程度、風通しのよい日陰に干します。その日が晴天であっても、雨の日の翌日は前日の湿気が残っているので控えたほうがよいでしょう。
カバーをつけたまま干す
マンションのベランダなど、日が当たる場所でしか干せないご家庭もあるかと思いますが、その場合は、短めに片面30分〜1時間程度、天日干しにします。
羽毛布団の側生地は綿やポリエステルでできていますが、これらの素材には、長時間紫外線が当たると劣化してしまう性質があるため、干しすぎると側生地を傷めることにもなりかねません。
側生地が劣化しても、中身の羽毛の品質が落ちたりすることはありませんが、傷んだ生地の隙間から羽毛が飛び出してきたりしますので、そうするとせっかくの羽毛布団がだんだん薄くなってきてしまいます。
取り込み方
干し終わった羽毛布団を取り込む際には、ダウンや側生地を傷めないよう、綿布団のようにパンパンと布団を強くたたいてはいけません。
ホコリやダニが気になる場合には、布団の表面に優しく丁寧に掃除機をかけて取り除くようにしましょう。
《 ポイント 》
- 0時~15時の間に2時間程度風通しのよい日陰に干す。
- 雨の日の翌日は前日の湿気が残っているので控える。
- 綿布団のようにパンパンと布団を強く叩かない。
- ホコリやダニが気になるなら布団の表面に掃除機をかける。
羽毛布団の洗い方
羽毛布団は水洗いできる
実は、羽毛布団は自分で水洗いすることができるのです!羽毛布団は、水鳥の羽根と綿やポリエステルからできており、どの素材も水洗いが可能なので洗濯をしても問題はありません。
家庭での洗濯はおすすめしない
難しいのは洗った後の乾燥です。完全に乾燥させないとカビや悪臭が発生することになりかねません。さらには浴槽での踏み洗いはかなりの重労働になります。
「コインランドリー」の利用や「クリーニング店」に依頼したほうが無難
洗濯表示をチェックして、水洗いが可能であれば、自宅で洗うより簡単で綺麗に洗濯できるコインランドリーでのお洗濯をおすすめします。とはいっても、出来る限り本来の状態に近づけたいなら、費用はかさみますが、クリーニング店や布団丸洗い業者に依頼してみましょう。
お手入れ次第では、他素材の布団よりも長持ちする羽毛布団ですが、その方法を間違ってしまうと効果も半減してしまいますので注意してくださいね。
《 ポイント 》
- 羽毛布団は自分で水洗いすることができる。
- 自宅で洗うより簡単で綺麗に洗濯できるコインランドリーがよい。
- 本来の状態に近づけたいならクリーニング店や布団丸洗い業者に依頼する。
羽毛布団お手入れに関するQ&A
A.梅雨の時期は高温と多湿によりやや臭いが気になる時がありますが、まずは乾燥と通気を良くすることにつきます。乾燥した場所で、適度に通気性がある状態で 保管することで臭いの元となる雑菌の繁殖、油脂分の溶融を抑えることが出来るからです。
臭いがついてしまったら、羽毛布団を小さく折りたたんで、臭いを含んだ中の空気を押し出したら、風通しの良い場所にしばらく干して様子をみますが、それでも解消しない場合はクリーニング店に依頼しましょう。
A.羽毛布団は、キルティング加工した各部分に羽毛を分散させています。使っている間に浸みこんだ汗や皮脂分が羽毛に付着し、羽毛同士がくっついてしまうことが偏りの原因のようです。
偏った羽毛布団を本来の状態に戻すためには、自宅でケアをして失敗のリスクを背負うよりも、安心な専門業者にお願いしてケアしてもらう方法がよいでしょう。プロの手に任せることで偏りが改善し、保温性を上げることができます。
A.飲み物をこぼしてしまったらすぐに水でつまみ洗いし、ヘアーシャンプーなどの中性洗剤で洗ってみてください。洗った後は十分にすすいでから、中の羽毛をほぐすように時々動かしながら乾燥させます。側生地がシルク素材のものや、血液や尿などの落ちにくい汚れの場合はすぐにクリーニング店へ依頼しましょう。
《 ポイント 》
- 臭い対策は乾燥と通気を良くすること。
- 偏った羽毛布団は専門業者に依頼してケアしてもらう。
- 飲み物をこぼしてしまったら中性洗剤で洗う。
- シルク素材や血液や尿などはすぐにクリーニング店へ依頼。
羽毛布団のしまい方
ポイントは通気性を保つこと
秋から初夏まで比較的長い期間使用する羽毛布団は、真夏の時期は一旦しまい、次のシーズンに、また心地よく使えるように収納方法を考えなくてはいけません。
先にもお伝えしたように、羽毛布団の大敵は湿気です。しばらく使わないときは、天日干ししてしっかり布団の中の湿気を取り除いてから、通気性のよい収納袋に収納します。
購入した時に納められていたケースが、通気性のよい布製や不織布製であれば、そのケースに収納しますが、専用ケースがない場合には小さくにたたんでから、通気性のよい大きな木綿のシーツなどに包んで収納します。
また、湿気が多い押入れの場合は、扉を開けて通気性を確保したり、除湿剤を置いたりする工夫が必要です。できることなら、長期間使わない間でも時には羽毛布団を出して干すようにすると、ダニやカビの防止にもなり、より一層長持ちさせることができます。
正しいたたみ方
シングルサイズの羽毛布団は縦に三つ折りに、ダブルサイズであれば四つ折りにしてからロールケーキのようにくるくると巻いて丸めていきます。
掃除機で中の空気を吸い取り圧縮する圧縮袋は、羽毛のダウンボールを潰してしまい、取り出して空気を含ませた時に保温力が低下しています。結果、羽毛布団を傷つけて寿命を短くしてしまうので避けください。
《 ポイント 》
- 布団の中の湿気を取り除いてから通気性のよい収納袋に収納する。
- 湿気のある押入れの通気性を確保したり、除湿剤を置いたりする。
- 圧縮袋は羽毛布団を傷つけるので使用しない。
- ダニやカビを防ぐため使わない間でもきどき日に干すようにする。
最後に
羽毛布団のお手入れ方法や正しい干し方からしまい方までお分かりいただけたでしょうか。
羽毛布団はデリケートですが、コツさえ掴めば、長く快適に使えるためのケアは難しいことではありません。高級なイメージの羽毛布団の使い方を見直して、ふんわりと軽く暖かい状態を長くキープしていきましょう。