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家の中にクモが出るのはなぜ?

家で突然クモを見かけると驚きますが、ほとんどの場合は偶然ではありません。
クモが家の中に入る最大の理由は、餌となる虫を追ってくるからです。コバエやダニ、ゴキブリの幼虫など、家の中に生息しやすい虫を捕まえるために入り込んでいます。
また、クモは体が柔らかく、わずか1mm程度のすき間があれば通り抜けることができます。高気密の家でも、ドアの下や網戸の端など、微細な隙間があるとそこから侵入してしまうのです。
多くのクモは人に害を与えず、むしろ害虫を減らす役割を持っています。とはいえ、室内で見かけると落ち着かないものです。
まずは、どのような種類のクモが家に現れやすいのかを知っておきましょう。
家に出るクモの種類

家で見かけるクモの多くは、毒を持たない無害な種類です。それぞれに特徴があり、行動パターンを知ることで不要な心配を減らせます。
アダンソンハエトリ

体長1cmほどの小型のクモで、家の中で最もよく見かける種類です。壁や天井を跳ね回る姿が特徴で、巣を張らずに動き回る「徘徊型」。コバエや小さな虫を捕食する益虫です。
イエユウレイグモ

足が細く長い見た目をしており、家具の裏や天井の隅に巣を張るタイプです。人を噛むことはなく、ゴキブリやダニなどを捕食します。湿気の多い場所を好む傾向があります。
アシダカグモ

体長が10cm前後になる大型のクモで、見た目は驚くほどですが非常におとなしい性格です。ゴキブリを食べてくれるため「益虫の王」と呼ばれることもあります。巣を張らず、夜に活動して獲物を探します。
セアカゴケグモ

赤い模様がある外来種で、毒性を持つため注意が必要です。屋外に多く、エアコンの室外機やベンチの裏などに巣を作ります。室内で見つかることはまれですが、もし見かけても触らずに駆除剤で対処するようにしましょう。
こうした特徴を知っておくと、どのクモが危険なのか、またどのクモは無害なのかを冷静に判断できます。次に、クモがどのような場所から家の中に入ってくるのかを詳しく見ていきます。
クモが家に侵入する主な7つの経路

クモが家の中に入る経路は意外に多く、人の生活習慣や建物の構造が関係しています。ここでは、代表的な侵入経路を8つに分けて紹介します。
1. 窓や玄関の隙間から入る
もっとも多いのが、ドアや窓などの開口部からの侵入です。夜に窓を開けっぱなしにすると、照明に集まる小さな虫を追ってクモが入ってくることがあります。
玄関ドアの下やサッシの端にわずかな隙間があると、そこからも簡単に入ってしまいます。パッキンが劣化している家では要注意です。
2. 網戸やサッシのすき間から入る
網戸を閉めていても、レールのズレや経年劣化によって隙間ができることがあります。角が浮いていたり、押さえゴムが緩んでいたりすると、クモが通り抜けるほどの隙間が生じます。
網戸は「閉まっている=密閉されている」とは限らないため、定期的な点検が大切です。網戸が窓枠にしっかり密着しているか確認しておきましょう。
3. 外壁や配管のすき間から入る
外壁のひび割れや、エアコンの配管まわりの隙間もクモの通り道になります。こうした箇所は経年劣化で広がりやすく、虫やクモが入りやすくなります。
通気口や換気扇のカバーも見落としがちな場所です。カバーの網目が粗い、または破れている場合、クモが侵入してしまいます。防虫ネットを取り付けると効果的です。
4. 洗濯物や段ボールにくっついて入る
屋外で干した洗濯物や布団、玄関先に置かれた段ボールなどにクモが隠れてしまうことがあります。洗濯物を取り込むときに、そのまま室内に連れ込んでしまうケースは意外と多いです。
特に日陰や布の裏側、段ボールの折り目などはクモの隠れ場所になりやすいので注意が必要です。段ボールは外で開封し、使用後は早めに処分しましょう。
洗濯物も取り込む前に軽くはたいて、虫が付いていないか確認すると安心です。
5. 換気口やエアコンの穴から入る
エアコンの配管や換気口のカバーは、外と家の内部をつなぐ通路でもあります。
ここが劣化すると、クモにとって格好の侵入口になります。特に換気扇が止まっているときは、外からの空気が逆流し、クモが入り込みやすくなります。
エアコンのホースの根元をパテで埋め直したり、換気口のカバーに細かい網を付けたりしておくと効果的です。フィルターやカバーを定期的に点検し、割れやゆるみがないかを確認しましょう。
6. 排水口や湿気のある場所から入る
湿気を好むクモの一部は、風呂場や洗面所などの排水口から上がってくることがあります。
排水口には「トラップ」と呼ばれる水の封があり、そこが乾いてしまうと虫やクモが通り抜けてしまうことがあります。
使わない排水口は定期的に水を流し、トラップを維持するようにしましょう。浴室や洗面所の換気をこまめに行い、湿気をためないことも侵入防止につながります。
7. 家の中の虫を追いかけて入る
クモが室内に入ってくる一番の理由は、餌となる虫を求めているためです。ハエやコバエ、ダニ、ゴキブリの幼虫などがいる環境は、クモにとって「食料が豊富な場所」。
生ごみの放置や、食べかすの残った皿、湿気の多い場所は餌となる虫が発生しやすいので注意が必要です。部屋を清潔に保つことで、クモの侵入を根本から防ぐことができます。
8. 庭や外灯のまわりからやってくる
庭の草むらや落ち葉、外灯の光もクモが集まる原因になります。外灯の光は虫を引き寄せ、その虫を捕食しにクモも集まるという流れができるためです。
庭の雑草を刈り取り、落ち葉を掃除しておくことが、屋外のクモを減らす一番の方法です。夜の照明を少し暗くしたり、虫が寄りにくい色の電球に変えたりするのも効果的です。
クモが家に入らないようにするには?

クモの侵入を完全に防ぐのは難しいものの、いくつかの対策を組み合わせることでかなりの効果が期待できます。
- ドアや窓の隙間をすきまテープでふさぐ
- 網戸の破れやずれを修理する
- 配管や通気口の隙間をパテやコーキングで埋める
- 洗濯物や段ボールを室内に入れる前に確認する
- 生ごみや食べかすを放置せず、常に清潔を保つ
- 湿気を減らすために換気を徹底する
- 庭やベランダの落ち葉を掃除する
さらに、クモはミントや柑橘系などの香りを嫌うとされます。ミントの精油を薄めたスプレーを窓辺や玄関に吹きかけるだけでも、クモの寄りつきを抑える効果が期待できます。
まとめ
クモは私たちが思うよりも、はるかに小さな隙間や意外な経路から侵入してきます。大切なのは、入らせない工夫と、入っても居つかせない環境づくりです。
家の中を清潔に保ち、湿気を減らし、餌となる虫を発生させないことが、最も効果的な防御策です。クモが嫌う香りを取り入れるのも良い方法です。小さな工夫で、落ち着いて暮らせる快適な空間を保ちましょう。









