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高齢者ドライバーによる事故が問題視されている現状
65歳以上の高齢ドライバーは、歳を重ねるごとに体のさまざまな機能が衰えていくため、運転中に正確な操作ができずに事故を起こしてしまうリスクが高い傾向にあります。
免許を保有している高齢者の割合が若年層よりも低いため、年齢別に見る全体の交通事故割合では、特別高齢ドライバによる事故が多いわけではありません。
しかし、高齢ドライバーは他の世代に比べると、特徴的な原因で事故を招くケースが多く、それにより周りを巻き込む事故に発展したり、死亡事故につながる事例が多数報告されています。
したがって、昨今では、警察庁や行政から70歳を超える高齢ドライバーに向けて、自主的な免許返納が促されています。
『高齢者ドライバー』に共通する5つのリスク
高齢ドライバーには、運転の得意不得意に関係なく、共通するリスクがあります。
1.咄嗟に正常な判断ができない
高齢者は認知機能が低下していくため、その場の状況を正確に捉え、適切な判断を下しにくい傾向にあります。
これが運転中に影響を及ぼしてしまった場合、突然前方車両が急停止した際、咄嗟の判断でブレーキを踏まなければいけないところを、うっかりハンドルを急旋回してしまったり、アクセルを踏んでしまったりと事故につながるケースが多発してます。
2.視力の低下で距離感覚が掴みにくい
年々、自身の視力が低下している自覚はありませんか。自分では気づかないうちに、視力の低下や視野の狭窄、さらに動体視力の低下は進んでいます。
以上の視力低下により、車の運転中に周囲との距離感覚が掴みにくかったり、歩行者を感知するまでに遅れが生じたり、事故の原因になるリスクも懸念されるでしょう。
3.集中力や注意力が散漫になりやすい
高齢になると、若い頃に比べて集中力や注意力が散漫になりがちです。そのため、ぼんやりとしながら運転してしまい、安全確認を怠ってしまうことも。
こうした集中力や注意力の低下により、前方や周囲への安全確認が不十分だと、うっかり歩行者や自転車との接触事故を引き起こしたり、前方車両への追突事故を引き起こしかねません。
4.姿勢の悪化による操作ミス
年齢が上がるにつれて、少しずつ引力が低下していくのは自然な体の変化です。しかし、筋力低下に伴い、徐々に姿勢が悪くなると、運転中にも支障をきたします。
例えば、運転中に姿勢が悪く前のめりになると、ペダルの位置を正確に把握できなくなり、ブレーキだと思って踏んだペダルがアクセルペダルだった……という事態に陥りかねません。
このように、姿勢の悪さは運転中に操作ミスを招きやすいので、「最近姿勢が悪くなってきたな」と感じたら、免許返納を検討すべきタイミングです。
5.筋力や運動神経の衰えによる動作の鈍り
筋力や運動神経が衰えることで、今までは瞬間的にその場の状況に対応できていたことも、動作がワンテンポ、ツーテンポ遅れてしまい、追突や衝突といった事故を起こすリスクが高まります。
頭では「ブレーキを踏まなくちゃ」と理解しているのに、その信号が足へと伝わるまでに時間がかかるのです。車の運転をする上で非常に危険な状態なので、無理に運転することは控えましょう。
免許を自主返納するメリットは?
車の免許を自主返納する際、デメリットばかりが頭をよぎってしまい、なかなか手放せない高齢ドライバーも多いでしょう。しかし、車の免許を自主返納すると、各自治体ごとにさまざまな行政サービスが受けられることをご存知ですか。
- 身分証明書として利用できる「運転経歴証明書」が発行される
- 公共交通機関の割引サービス
- タクシーのクーポン券配布
- 市内のスーパーで使える割引券配布
- 郵便に必要な送料負担が無料になる
- 特定の飲食店での割引サービス
- 美術館や博物館などの入場料割引
自治体によって、受けられるサービスは異なります。まずはご自身がお住まいの自治体のホームページを確認し、免許を返納するとどのようなサービスを受けられるのかチェックしてみましょう。
リスクとメリットを踏まえて自主的に免許返納を検討しよう
高齢になってから車の運転を続けていると、さまざまな体の衰えが影響し、事故リスクが格段に上がります。高齢ドライバーのリスクと、免許返納のメリットを踏まえた上で、自主的に免許返納することを検討しましょう。