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高齢ドライバーが運転免許証を返納しない『5つの理由』
近年、認知能力が低下している高齢ドライバーによる交通事故が問題視され、自主的に運転免許証を返納するよう促す働きが活発化しています。自分で返納する高齢者がいる一方で、自主返納率はたったの4%にとどまっています。
では、なぜ高齢ドライバーは自分で運転免許証を返納しないのでしょうか。
1.運転技術に自信があり問題ないと考えている
まず大前提として、すでに75歳を超えている高齢者であっても、長年にわたって車を運転してきた経験から、「自分の運転技術に自信がある」というプライドの高さが窺えます。
そのため、高齢になっても運転技術に問題はないと自信を持っている人が多く、現在まで事故を起こしていないことも手伝い、自主返納しようと決断する人が少ない傾向が強いのです。
2.他の移動手段がなく生活に支障が出る
これは田舎でよく聞かれる理由です。電車やバスといった公共の交通手段が少ない地域では、食品や日用品の買い出し、病院への通院にも車が欠かせません。
そのため、運転免許証を返納してしまうと移動手段がなくなってしまい、自力で生活することが難しくなってしまうという問題が発生するのです。
実際、この点については非常に深刻な問題だと議論されており、自治体によっては免許証を返納することでタクシー割引を適用したり、サービス券を配布するなどの働きが少しずつ始まっています。
3.車がないと重い物の運搬が難しい
運転免許証を自主返納し、車を運転できなくなった際に発生する問題として、日用品などの重い物を運搬することが難しいという問題もあります。
高齢者は年々筋力や体力が低下していくため、自分でスーパーから自宅まで荷物を手に持って運ぶことが難しい人も多いです。特に田舎の場合は、スーパーから自宅までの距離が遠い人も多く、生活に支障が出てしまうことが懸念されます。
こちらもタクシーなどを利用するという方法がありますが、タクシーは1回利用につき高額な料金がかかるため、「年金暮らしでは到底払えない」と新たな悩みが生まれてしまいます。
4.車を運転する楽しみがなくなるから
元々車を運転することが好きだった人の中には、車を運転する楽しみがなくなり、その後、何を楽しみに生きていけばいいのかわからないという声も。
しかし、こちらは他にも楽しめる趣味は多くありますし、最近では趣味の幅も広がっています。「車を運転する楽しみがなくなる」という理由だけでは、免許を返納せず自分にも周りにもリスクを負わせる理由にはならないでしょう。
5.加齢による能力低下を認めたくない
高齢者の中には、加齢による能力の低下を認めたくないというプライドの高い人が一定数います。「以前は当たり前のように運転できていたのだから、歳をとったからといって運転できなくなるわけがない」と意地になって免許証を返納しない人も多いです。
免許を返納するメリットとデメリットを解説
高齢者の家族がいる人は、様々な理由により自主返納しないご家族の説得に悩まされることも多いでしょう。まずは免許を返納するメリットとデメリットを理解し、その上で、ご家族が納得のいく環境を整えたり、サービスを利用することを促してみてください。
免許を返納するメリット
免許を返納するメリットには、以下のような事例があります。
- 交通事故を起こす心配がなくなる
- 自動車にかかる税金を払わなくて済む
- 車の維持費用がかからなくなる
- バスや電車、タクシーなどの公共交通機関の割引
- 商業施設での飲食やサービスの価格割引
このように、免許を返納する事で得られるメリットは意外と多くあります。お住まいの自治体によって、運転免許証を返納した際に受けられる割引サービス内容などは異なるので、まずは自治体のホームページを確認してみましょう。
免許を返納するデメリットとは
反対に、免許を返納するデメリットを確認し、高齢ドライバー側の気持ちを理解しましょう。
- 外出の際に移動手段が減る
- 荷物を自力で家まで運ばなければならない
- 身分証として利用できるものがなくなる
以上のようなデメリットが考えられます。特に地域によっては公共交通機関が少なく、車で移動することが前提となっている地域もあるため、移動手段が減ることで必然的に外出の機会が減ってしまうという懸念も見られます。
この場合は、ご家族で話し合い協力し合ったり、各自治体の提供しているサービスを確認して話し合ってみましょう。
認知機能低下は自然な変化…行政施策を確認して免許返納を
いかがでしたか。人は誰しも年齢を重ねることで認知機能の低下は免れません。決して恥ずかしいことではなく、自然な変化の1つなので、交通事故などのリスクを犯す前に、運転免許証の自主返納を検討しましょう。