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知らず知らずのうちに睡眠を妨げているかも?
「しっかり寝ているはずなのに、朝起きたとき疲れが残っている」「ベッドに入っても眠れない」、こうした悩みを抱えている方は少なくありません。実は、就寝前に何気なく行っている行動が、睡眠の質に悪影響を与えている可能性があります。気づかないうちに質の低い睡眠に陥っているかもしれません。
睡眠には「量」と「質」の両方が重要です。しかし、7~8時間の睡眠をとっていても、質が悪ければ十分な休息が得られません。睡眠の質は、朝目覚めたときの気分で判断できます。質の高い睡眠をとれた人は、目覚めがスッキリとして、気分が清々しく、前日の疲れも回復しています。
一方、質の悪い睡眠は、朝起きるのがつらく、「もっと寝ていたい」と感じたり、体の疲れが取れずに「仕事に行きたくない」と思ってしまいます。また、寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたりするのも、睡眠の質が悪い徴候です。
まずは、就寝前2~3時間の習慣を見直し、良質な睡眠を得るための第一歩を踏み出しましょう。
睡眠の質を下げる!寝る前にやってはいけない8つのNG習慣
ここでは、睡眠の質を低下させる行動を紹介します。いくつ当てはまるかチェックして、改善点を見つけてみてください。
1. スマホやパソコンを使用する
就寝前にスマホやパソコンをいじることは、非常に一般的ですが、ブルーライトが脳を刺激し、メラトニンの分泌を抑えてしまうため、体内時計が乱れやすくなります。これによって、寝付きが悪くなり、深い眠りが得られにくくなります。
多くの人が「寝る前にSNSをチェックするのが習慣」と言いますが、この習慣が実は良質な睡眠の大敵なのです。ブルーライトは昼間の光の波長に近いため、脳が「今はまだ活動時間だ」と勘違いしてしまいます。
《対策》
就寝の2時間前からはスマホやパソコンの使用を控え、代わりに本や雑誌を手に取ることをおすすめします。どうしても使用する必要がある場合は、ブルーライトカット機能を活用しましょう。また、照明も暖色系の柔らかい光に切り替えることで、脳をリラックスさせ、自然な眠りに導くことができます。
2. カフェインやアルコールを摂取する
寝る前にカフェイン入りの飲み物を摂取するのは避けるべきです。カフェインは覚醒作用が4時間以上続くため、寝付きにくくなります。コーヒーだけでなく、緑茶や紅茶、チョコレートにも含まれているので要注意です。
また、アルコールは一時的に眠りに入りやすくするものの、夜中に目が覚めたり、深い眠りが阻害される原因となります。「寝酒」で眠りやすくなったと感じる方も多いですが、実はアルコールは睡眠の質を大きく低下させているのです。
《対策》
就寝前の飲み物は、ノンカフェインの温かいお茶やハーブティーが理想的です。カモミールティーやレモンバームティーには、リラックス効果があるとされています。アルコールは、寝る3~4時間前までに控えるようにしましょう。
3. 熱いお風呂に入る
寝る直前に42℃以上の熱いお風呂に入ると、心身が覚醒しやすくなり、逆に眠りが浅くなることがあります。多くの人が「熱いお風呂で体を温めれば、ぐっすり眠れる」と考えがちですが、実はこれも睡眠の質を下げる原因になっているのです。
適温は39〜40℃とされ、入浴後すぐに体温が急激に下がると、睡眠が妨げられます。人間の体は、体温が下がることで自然な眠気を感じるようになっています。
《対策》
お風呂は寝る1〜2時間前に済ませ、ぬるめのお湯でゆっくりと入浴することをおすすめします。入浴後は、体を冷やしすぎないよう注意しながら、徐々に体温を下げていくことで、リラックスした状態でベッドに入れます。
4. 重い食事を摂る
就寝前に重い食事を摂ると、消化活動が活発になり、眠りにくくなります。特に脂肪分の多い食事は、胃に負担をかけ、寝苦しくなることがあります。「夜遅くまで仕事をしていたので、帰宅後にがっつり食べたい」という方も多いでしょうが、これは質の良い睡眠の大敵です。
消化にもエネルギーを使うので、同じ睡眠時間でも身体を休めている時間が減ってしまいます。また、横になった状態で消化を行うと、胃酸の逆流を引き起こす可能性もあります。
《対策》
消化の良い軽めの食事を就寝の2〜3時間前に済ませるよう心がけましょう。どうしても空腹で眠れない場合は、バナナやヨーグルトなど、消化の良い軽食を少量摂るのがおすすめです。
5. 激しい運動をする
就寝直前に激しい運動をすると、心拍数や体温が上昇し、脳が興奮状態になってしまうため、寝付きが悪くなります。「運動すれば疲れて眠くなるはず」と考えがちですが、激しい運動は逆効果なのです。
運動後は体内でエンドルフィンが分泌され、一時的に気分が高揚します。これが寝つきを悪くする原因となります。また、体温の上昇も睡眠を妨げる要因となります。
《対策》
寝る前の運動は強度を抑え、体を穏やかに整えることを意識しましょう。軽いストレッチやヨガは、リラックス効果があり、睡眠の質を高めると言われています。激しい運動は就寝の3時間前までに済ませるようにしましょう。
6. 寝る直前の仕事や考え事
寝る直前に仕事のことや考え事をすると、頭がさえて眠りにくくなることがあります。特に、問題解決や計画を立てるなどの頭脳労働は、脳の興奮を引き起こし、スムーズな入眠を妨げます。
「明日の仕事のことが気になって眠れない」という経験をした方も多いのではないでしょうか。このような状態で無理に眠ろうとすると、かえってストレスになり、さらに眠れなくなる悪循環に陥ってしまいます。
《対策》
寝る前の時間は、心身ともにリラックスできるよう、静かな時間を過ごすようにしましょう。気になることがあれば、ノートに書き出して整理するのも効果的です。瞑想やマインドフルネスの実践も、心を落ち着かせるのに役立ちます。
7. 部屋の環境を整えない
寝室の環境は、睡眠の質に大きな影響を与えます。明るすぎる部屋、騒音、不適切な温度や湿度は、良質な睡眠の妨げとなります。「疲れているから環境なんて関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、実はとても重要なのです。
人間の体は、暗くて静かな環境で自然と眠りに入るようにできています。また、適切な温度と湿度も、快適な睡眠には欠かせません。
《対策》
寝室の照明は暖色系の柔らかい光を使い、就寝時には可能な限り暗くしましょう。騒音が気になる場合は、耳栓やホワイトノイズマシンの使用を検討してください。室温は季節によって異なりますが、一般的には18〜22℃程度、湿度は50〜60%程度が快適とされています。
8. 不規則な就寝時間
毎日の就寝時間が不規則だと、体内時計が乱れ、質の良い睡眠が得られにくくなります。「平日は遅くまで働いて、休日は朝まで起きている」という生活を続けていると、体のリズムが崩れてしまいます。
体内時計は、光や食事、運動などの外部刺激によって調整されています。就寝時間が不規則だと、これらの刺激のタイミングも不規則になり、結果として睡眠の質が低下してしまうのです。
《対策》
できるだけ毎日同じ時間に就寝・起床するよう心がけましょう。休日も平日と同じリズムを保つことが理想的です。どうしても遅くなってしまう日があっても、起床時間は一定に保つよう努めましょう。
快適な睡眠のために
ここまで、睡眠の質を低下させる行動について見てきました。これらの行動を避けることで、睡眠の質を大きく向上させることができます。しかし、すべてを一度に改善しようとすると難しく感じるかもしれません。まずは自分に合った1つか2つの改善点から始めてみましょう。
例えば、寝る前のスマホ使用を控えめにしたり、就寝時間を少しずつ規則的にしていくなど、小さな変化から始めることをおすすめします。徐々に習慣化していくことで、より良質な睡眠を得られるようになるはずです。
快適な睡眠は、心身の健康や日中のパフォーマンスにも大きく影響します。自分に合った就寝前のルーティンを見つけ、質の高い睡眠を手に入れましょう。睡眠の悩みが続く場合は、専門家に相談することも検討してみてください。