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エアコンの冷房と除湿の違い
冷房と除湿の機能の使い分けについて、それぞれがどんな動作をするのかを解説します。
冷房
冷房は文字通り室内の温度だけを下げる機能であり、家の外と中の空気を循環させていません。
エアコンと室外機を繋ぐパイプには「冷媒」と呼ばれる液体が入っており、液体が「蒸発する時に熱を奪い、凝縮して液体化する時に熱を放出する」という性質を利用して気温の操作を行っています。
室外機では冷媒をギュッと凝縮して液体化させ、熱を冷媒から追い出します。そして熱を放出した冷媒は室内機のエアコンへと送られ、エアコン内で気化させることで周辺の空気から熱を奪います。
これを室外機へ送って凝縮(熱の放出)を行って…という形で室内の熱を奪い、それを外へと排出することを可能にしています。
除湿機能(弱冷房)
除湿機能は室内の温度を下げる冷房と違い、「湿度を下げること」を主な目的とした機能です。
気温が低くなると、空気が保持できる水分量というのは下がります。冷えた飲み物を入れたコップに水滴がたくさん付くのも、コップの周辺の空気が冷やされて水分を抱えられなくなり、溢れ出した水分がコップに付くためです。
除湿機能もこれとおおよそ同じ仕組みを使っており、弱冷房方式では弱めに空気を冷やすことで「蒸発器」と呼ばれる熱を逃がすためのパーツに空気中の水分が結露します。その水滴がエアコン内の受け皿に溜まりホースを通じて外へと排出されることで、室内の湿度を下げることができます。
除湿機能(再熱)
再熱除湿機能が弱冷房機能と違うのは、水分を出すために冷やした空気を、常温に温め直して排出する点です。エアコンの冷たい空気が苦手な人などに向いた機能で、湿度を下げることで不快指数が下がることを利用して快適な状態にすることを目的としています。
冷房と除湿の使い分け方法
これらの機能はどのように使い分ければ良いのでしょうか?その考え方の一つとして以下に適した使用状況をまとめてみました。
冷房機能
シンプルですが、真夏などでどうしても耐え難い気温になってしまった時に使うと良いでしょう。
基本的なことですが、エアコンは室内の温度が設定温度と同じになるよう運転します。また室内で作業をする時は、我慢できそうな気温であってもより快適にするために使用した方が作業効率も上がります。
除湿機能
梅雨などは湿度が非常に高くなるので除湿機能を使うにはうってつけのタイミングでしょう。
また、夏場に涼を取りたいけどエアコンの冷たい風が苦手な人がいる場合は、除湿機能を使ってみるのもおすすめです。除湿機能を使えば不快指数や体感温度が下がり、快適に過ごすことができるようになります。また除湿中は喉が通常よりも乾燥しやすいので、水分を摂ることを忘れないように注意しましょう。
除湿機の種類と特徴
エアコンとは異なり、室内のジメジメした空気を取り除く「除湿機」という製品があります。様々な種類のものが販売されているので、その違いや特徴をご紹介していきます。
弱冷房除湿
弱めの冷房機能を使って水滴を発生させて、それを排出する機能です。水滴を出すために冷やした空気をそのまま室内に戻すので室内も室内温度を下げることもできます。
再熱除湿
弱冷房と同じ工程で水滴を発生させて排出させますが、水滴を取った後の空気を温め直して室内に戻します。冷たい風が苦手な人がいる場合に向いている機能です。
また夏場は冷房の使いすぎによって体調を崩す人が増えていますので、体を冷やしすぎずに涼を取る方法としても良いです。
人は体温が下がりすぎてしまうと免疫力などが落ちて病気にかかりやすく、除湿された室内は病原菌やウィルスなどが非常に拡散しやすい空間にもなっています。少しでもそれらの危険性を避ける意味でも有用です。
コンプレッサー式(除湿機の除湿方式)
いわゆる「エアコン」で、内蔵されたコンプレッサーによる熱移動で空気を冷やし、空気中の水分を取り出す方式です。吸気・送風で空気中の水分をどんどん取り除くので、非常に即効性の高い方法になります。しかし一定以上除湿された空気をもっと除湿するということは難しいです。
デシカント方式・ゼオライト方式(除湿機の除湿方式)
こちらは除湿材が充填された箱やフィルターを空気が通過することで、通過の際に湿度が除湿剤に吸い取られて空気からの除湿が行われる方式です。
大まかな構造はコンプレッサー式と似ています。こちらは一旦水分を吸着する除湿剤に水を吸い取らせた後、「水を吸った除湿剤を加熱して乾かす」というのを繰り返して、空気中からタンクへと水分を移す方法になっています。
空気中の水分を除去する能力が高く、コンプレッサー方式よりもしっかりと除湿することを実現しました。
冷房と除湿の電気代の比較
冷房と除湿は、コンプレッサー方式のエアコンであれば基本的に同じことをやっていますので、「どれだけ温度を下げたか」が電気代に直結します。
なので、おおよそかかる電気代は「冷房>弱冷房」という関係になります。
ただし除湿方式が再熱方式だった場合は、これに「加熱する為の電力が加わる」ことになるので、「再熱>冷房>弱冷房」になります。
また「温度を大きく下げると電気代がかかる」ため、1日長い外出をする予定がなく、日中が暑くなると予想される休日などは、気温が低い明朝からエアコンを掛けて温度を維持させるのも良いでしょう。
温度の上げ下げの幅を小さくすることで、1日トータルでの電気代が安くなるケースもあります。
一日中付けることを前提として考えると、目安としておよそ「30分以上の外出がない場合はつけっぱなしのほうが良い」ようです。逆に30分以上外出する場合は無駄に運転した分の無駄な電力のほうが大きくなってしまう傾向にあるようです。
以上の特徴を目安に冷房か除湿を効果的に使いましょう。
再熱除湿のメリットと使うタイミング
度々出てきた再熱式除湿ですが、どのようなタイミングに使うのが良いのでしょうか。改めてメリットと使用のタイミングを考えてみましょう。
メリット
エアコンから出る空気が冷やされないため、冷え性の方や冷風に弱い人が体調を悪くせずに涼むことができます。また室温が下がりすぎないことで免疫力の低下を抑え、夏風邪などになりにくい状態を維持できるのも特徴です。
タイミング
あまり気温が高い日だと空気を温め直すメリットはありません。むしろ梅雨の時期や秋の雨天時など、暑いというよりもジメジメしている時に向いています。
また、室内干しされた洗濯物などをより乾きやすくする場合も、再熱方式が向いていると言えます。というのも、気温が高い方がより空気中に水分が揮発しやすくなるため、空気を温め直してくれるのが理由です。
暑い日は冷房、そうでもない時は除湿で使い分けてみよう
エアコンの設定温度は、「なるべく不快にならない範囲で高め」にしたほうが体には良いとされています。そのため、暑い夏の日は冷房でも致し方ありませんが、初夏や秋などでは除湿によって不快感だけを取り除いて過ごすのが健康的に過ごす良い方法だと言えそうです。
また、冷房と除湿の使い分けによって電気代が節約できるケースもあるため、家にあるエアコンの除湿方式を調べて適切に使い分けてみましょう。