ネットで誹謗中傷を書き込むと課せられる『5つの罪』

スマホをしている人の手元

ここ数年で、著名人が誹謗中傷に対して法的に訴えを起こすケースが増えてきています。また、ネットの誹謗中傷により人の命が失われたことも多く、法律も厳罰化へ進んでいます。今回は、ネットで誹謗中傷を書き込むと課せられる罪について解説していきます。

ネットに悪口を書き込むと『誹謗中傷』にあたる可能性も

スマホを見ている人の手元

SNSが普及し、幅広い世代の人々が利用している近年、さまざまな情報がネット上を飛び交っています。役に立つ情報を仕入れたり、会ったことのない相手の意見を見聞きすることができたりとSNSには利点が多くあります。

しかし、その一方で顔が見えないことを理由に、ネットに悪口を書き込んだり、特定の相手を攻撃したりする投稿も見かけることが増えてきました。

こうした特定の個人や団体、企業などを攻撃対象とし、悪口を書き込んだりデマを拡散したりすることは、誹謗中傷にあたります。

ネットでの誹謗中傷を書き込むと罰せられることも

ネットでの誹謗中傷は、現在法律でも厳罰化が進んでおり、『批判』や『批評』ではなく、特定の個人への悪口や悪意のある攻撃とみなされた場合、誹謗中傷を書き込んだとして罰せられることもあり得ます。

実際、芸能人などの著名人へ誹謗中傷を書き込んだ、デマを拡散したとして、罰金が課せられるケースも多く報道されています。

また、場合によっては懲役刑を課される可能性もあります。ネットへの書き込みは相手を大きく傷つける恐れもあるため、投稿する前に「本当に書き込むべき内容なのか」を再検討する必要があります。

ネットで誹謗中傷を書き込むと課せられる『5つの罪』

パソコンのキーボードを打っている人の手元

では、ネットで誹謗中傷を書き込んでしまった場合、どのような刑が課せられる可能性があるのでしょうか。ここではネットで誹謗中傷を書き込むと課せられる罪を5つご紹介します。

1.名誉毀損罪(刑法230条1項)

名誉毀損罪は、書き込まれた人の社会的な評価が著しく低下するような誹謗中傷を書き込んだ場合、適用される可能性があります。これは、投稿者が投稿した内容が真実であっても嘘であっても適用されます。

近年、文章で書き込み投稿するのではなく、相手の名誉を毀損するような写真や動画を投稿する人も増えています。こうした投稿も名誉毀損罪の対象となります。

名誉毀損罪が認められると、3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金が課せられます。ちなみに、懲役は刑事施設内に身柄を拘束され、所定の作業をする義務があることを指し、禁固は所定の作業が義務ではないという違いがあります。

2.侮辱罪(刑法231条)

ネット上に相手の悪口や根も葉もない噂を拡散するといった行為は、侮辱行為にあたります。そのため、法律の中でも侮辱罪が認められるケースは多いです。

名誉毀損罪と似ていると考える人は多いですが、違いは書き込まれた内容が事実であるかどうかという点です。抽象的な内容(「ばか」など)であれば、侮辱罪が適用されますが、具体的な事実が含まれている場合は、名誉毀損罪が認められます。

侮辱罪が認められると、1年以下の懲役、1年以下の禁固、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかが課せられます。

3.脅迫罪(刑法222条1項)

相手の命を脅かすような内容や名誉や財産に対して害を与えるような内容を書き込みした場合、脅迫罪が認められる可能性があります。

脅迫罪は、『生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫』した場合に適用されるため、紹介した5つの項目に当てはまるいずれかを脅かすような内容を書き込んだ段階で成立します。

その行為を実行するかしないかは問われず、いたずら目的で書き込んだ場合でも脅迫罪が認められ、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されます。

4.信用毀損罪(刑法233条前段)

信用毀損罪は、その名の通り、誹謗中傷した相手の信用を社会的に傷つけ貶めるような内容を書き込み、実際に信用が損なわれた際に適用されるとあります。

しかし、実際に信用が損なわれたかどうかを問われることは少なく、社会的な評価が低下する恐れがあると判断されれば認められるケースが多いです。

また、この場合は誹謗中傷内容が虚偽であることも重要です。個人の勝手な憶測や思い込みで信用を傷つけるような書き込みをした場合、信用毀損罪が認められ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。

5.偽計業務妨害罪(刑法233条後段)

同じく233条では、偽計業務妨害罪も記載されています。偽計業務妨害罪は、嘘の情報を書き込んだり流したりすることで、相手の業務が妨害された、あるいはされる恐れがあると判断されると認められます。

信用毀損罪と同じ項目に記載されているため、似ている警報ではありますが、信用が損なわれたのか、または業務が妨害されたのかという点が明確に異なります。

こちらも偽計業務妨害罪が認められると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。

ネットに書き込む前にもう一度内容を見直して

ネットに多く溢れる誹謗中傷は、誹謗中傷を受けた相手が傷つき、今回紹介した罪に問うことが可能です。ネットは匿名性が高いため、普段言えないようなことを書き込みがちですが、相手がいる場合は特に投稿内容に配慮し、書き込み前にもう一度内容を見直してみましょう。

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