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保冷剤の再利用で簡易トイレが作れる?!
保冷剤は災害時の非常用トイレに再利用することができます。
一般的に販売している災害時の非常用トイレは、消臭効果のある凝固剤と袋がセットになっており、凝固剤が排泄物を素早く固めてニオイも閉じ込めます。この凝固剤を保冷剤で作ることができます。
保冷剤の高吸水性ポリマーを再利用
保冷剤の中身は約98%が「水」で、残りの成分は水分を吸収して固める作用がある「高吸水性ポリマー」というものです。
高吸水性ポリマーは自重の100倍~1000倍の水分を吸収することができますので、紙おむつやペットシート、土壌保水剤などにも使われています。
また、嫌な臭いも吸収してくれますので、一般で販売されている消臭剤も高吸水性ポリマーが使われています。
つまり、保冷剤の高吸水性ポリマーは、「大量の水分とニオイを吸収して固める」市販の簡易トイレの凝固剤と同じ働きをするので、簡易トイレとして再利用できるのです。そのため保冷剤から高吸水性ポリマーだけを取り出し、簡易トイレに再利用します。
《 ポイント 》
- 保冷剤の中身は「水」と「高吸水性ポリマー」高吸水性ポリマーは大量の水分とニオイを吸収して固めるので簡易トイレになる。
保冷剤の再利用で簡易トイレを作る方法
保冷剤で簡易トイレを作るとなると、どうすればいいかイメージが湧かない方がほとんどですよね。ここでは保冷剤で簡易トイレを作成する手順を具体的に解説していきます。
保冷剤4個でトイレが作れる!
簡易トイレ1回分を作るには、凍らせることでカチカチに固まるタイプの保冷剤4個が必要です。
たった4個の保冷剤で簡易トイレができるなら、冷凍庫に保冷剤を入れっぱなしに放置しているのはもったいないですよね。
ただし、凍らせても固まらないタイプの保冷剤はエチレングリコールという物質が使用されており、高吸水性ポリマーとは別物となります。エチレングリコールには、消臭作用などがないため簡易トイレとしての活用は難しいです。
保冷剤の再利用で「非常用簡易トイレ」を作る方法
保冷剤を凝固剤の代わりにして、非常用の簡易トイレ1回分を作ります。
用意するもの(※トイレ1回分の材料)
- 小さめの保冷剤:3~4個 常温で液体になる保冷剤はNG
- 少し深さのある平らな容器(バット)
- 塩
- キッチンペーパー
作り方
- 保冷剤を常温に戻しハサミで袋を切ります。
- 少し深さのある平らな容器(バット)に、保冷剤の中身を出して広げます。
- 保冷剤全体に塩を振りかけ、液状に変化するまで5分ほど放置します。
- 液状になった保冷剤をキッチンペーパーなどでこし、水分と凝固剤に分けます。
- 凝固剤を平らな容器(バット)に広げて1日乾燥させます。
- 少しやわらかい状態になったら凝固剤のできあがり!※乾燥しすぎはNG!少しやわらかいくらいでOK。
- 容器(バッド)から凝固剤を取り出し、保存瓶や保存袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
注意点
保冷剤の再利用トイレの保存期間は長くて半年程度です。保存袋で包み冷蔵庫で保存しましょう。また消臭剤としての作用が持続するのは約3週間です。それ以上経過すると、消臭作用が薄れ簡易トイレとしても不十分になります。
冷凍しても固まらないタイプの保冷剤は非常用トイレには向いていません。そうしたタイプの場合、使用されている物質が高吸水性ポリマーではなく、エチレングリコールである可能性が高いです。エチレングリコールは有害な毒性を有しており、万が一誤飲などによって摂取してしまうと危険な状態になる恐れがあります。
最近では、エチレングリコールを用いた保冷剤は少なくなりましたが念のため簡易トイレとして活用する前に保冷剤の成分表記を確認しておきましょう。
保冷剤で作った非常用簡易トイレの使い方
保冷剤で作った簡易トイレを、どのように使用すればいいかについても解説します。
用意するもの(※トイレ1回分の材料)
- 黒いポリ袋
使い方
- トイレの便座に黒いポリ袋を広げます。
- ポリ袋の上に保冷剤で作った凝固剤を置きましょう。
- 使用後はポリ袋を縛って捨てましょう。
簡易トイレとして使用した保冷剤を捨てる際、トイレなど排水に流さないようにしましょう。場合によっては排水管の詰まりや便器損傷の原因となり得ます。多くの場合、保冷剤の廃棄方法は燃えるゴミとなります。
ただし、お住まいの地域の自治体によって保冷剤・高吸水性ポリマーの廃棄方法は異なるため、事前に自治体ホームページまたは自治体お問い合わせ窓口で確認しましょう。
高吸水性ポリマーの購入も可能
実際に保冷剤から簡易トイレや後述する消臭剤・芳香剤を手作りしてみて便利・簡単と感じたのであれば、素材となる高吸水性ポリマーの買い置きもオススメです。
今回紹介した保冷剤に含まれている高吸水性ポリマーは、ネット通販での購入が可能です。もしも災害が発生し地域一帯の水道などが利用できなくなったとき、トイレの悩みは死活問題。備えておくといないでは、結果が大きく変わります。
勿論、災害用には作りがしっかりした市販の簡易トイレを選ぶのもアリです。価格や好みなどに合った簡易トイレを備えておきましょう。
《 ポイント 》
- 保冷剤4個を凝固剤の代わりにして、非常用の簡易トイレ1回分を作れる。
保冷剤の簡易トイレ以外で再利用する方法
保冷剤は災害時の簡易トイレに再利用するだけでなく、消臭剤や芳香剤などに再利用することができます。消臭剤・芳香剤は絵の具などでの着色やビーズ・ビー玉と組み合わせることで、オシャレなインテリアへと変身します。簡易トイレに興味がない方はぜひ、試してみてください。
再利用方法「消臭剤」
保冷剤の中身に使われている高吸水性ポリマーはオムツにも使われているくらいですから、当然消臭効果を発揮します。
用意するもの
- 保冷剤
- グラスや空きビンなどの好きな容器
- 飾り付けに使用するパーツ(ビーズやリボンなど)
- はさみ
- 割りばしなど混ぜる用の棒
保冷剤で芳香剤を作る正しいやり方
- 保冷剤を常温にもどして袋を切ります。
- グラスや空きビンなどの容器に、保冷剤の中身を入れます。
- 割りばしを使って入れた保冷剤を平らにならします。
- 容器にビーズやリボンなどの飾りをつけてデコレーションします。
靴箱やトイレに置いておくだけで消臭剤になります。消臭効果は2~3週間が目安です。容器の中にビーズやビー玉を入れて、かわいくデコレーションするとすてきなインテリアにもなる消臭剤が完成しますよ。
再利用方法「芳香剤」
消臭剤と同じ要領で、保冷剤を使った芳香剤を作成出来ます。匂い付けとしてアロマオイルが定番ですが香水などでも作成できます。お好みの香りで部屋を包んでみてください。
用意するもの
- 保冷剤
- グラスや空きビンなどの好きな容器
- アロマオイルなど香りのあるもの(香水、柔軟剤でもOK)
- 飾り付けに使用するパーツ(ビーズやリボンなど)
- はさみ
- 割りばしなど混ぜる用の棒
- 水彩絵の具
保冷剤で芳香剤を作る正しいやり方
- はさみを使って常温に戻した保冷剤の中身を取り出します。
- グラスや空きビンなどの容器に、およそ半分まで保冷剤を入れます。
- 割りばしを使って入れた保冷剤を平らにならします。
- 好みの色の絵の具を少量加えてかき混ぜたり、水性ペンで色付けします。
- 同様に繰り返して、保冷剤の量を調節しながら入れ、別の色の絵の具を追加してグラデーションにします。
- 容器にビーズやリボンなどの飾りをつけてデコレーションします。
- アロマオイルを投入したら完成です。
- 子どもやペットなどの手が届かない場所、嫌な臭いがこもりやすい場所に置きましょう。
トイレに置く場合は、レモン、レモングラス、ペパーミント、ライム、グレープフルーツ、ユーカリ、などがおすすめです。
虫除け効果
保冷剤で芳香剤を作るやり方を紹介しましたが、垂らすアロマオイルの種類によっては虫除け効果がある芳香剤を作ることができます。
例えば、レモングラス・レモンユーカリ・シロトネラなどの柑橘系やハッカ油は、虫が苦手とする香りなので、虫除けに効果を発揮します。玄関や窓際に置いておくと、虫除け効果のある芳香剤として良い香りを放ってくれるでしょう。
観葉植物の保水材
室内で観葉植物などを育てている方は、保水材としても活用できます。植木鉢の土に保冷剤の中身をまくことで、時間経過とともに高吸水性ポリマーに含まれていた水分が流れ出ます。
長期的に使用できるものではありませんが、ちょっとした旅行などで外出する際の保水材としてなら十分活躍できます。
《 ポイント 》
- 保冷剤は災害時の簡易トイレに再利用するだけでなく、消臭剤や芳香剤に再利用することができる。
- 芳香剤に加えるアロマの種類によっては虫除け効果も期待できる。
- 保冷剤を観葉植物の土にまくことで保水材としても使用できる。
保冷剤をトイレで再利用するときの注意点
簡易トイレを含め様々な物に再利用できる保冷剤ですが注意点も存在します。ここでは、保冷剤を再利用するときの注意点について触れていきます。
小さな子供やペットが口にすると危険
保冷剤はキラキラしているため、子供が興味を持って口に入れてしまうかもしれません。小さな子供やペットがいる家庭では手の届かないところに置くなど、注意する必要があります。
最近ではあまり使用されていないとは言え、保冷剤に含まれている「エチレングリコール」という毒性のある成分を誤って食べてしまうと体調を崩してしまう危険性もあるようです。
これは犬猫などのペットも同様です。体が小さい動物だと誤飲することで、命に関わる重篤な症状を引き起こす恐れもあります。
人間が誤飲してしまった場合、少量であれば問題ないと思われますが、念のためすぐに病院に行って医師の指示を仰ぎましょう。成分に「エチレングリコール」と記載されていたら、保冷剤の中身を出して再利用することは絶対に避けてくださいね。
繰り返し使うと危険
保冷剤の中身の高吸水性ポリマーは使っていくうちに乾燥して小さくしぼんでいきますが、水を与えるとまた使えるようになります。ただし、何度も繰り返し使用していると、環境によってはカビが発生することも。
カビが生えてしまうと衛生的にも良くないので、一度再利用して使った保冷剤は新しい保冷剤に交換しましょう。
また、消臭剤・芳香剤として使用した保冷剤を簡易トイレとして活用するのもあまりオススメしません。消臭剤・芳香剤として使用した後になると、乾燥した状態となっており吸水性も低下している可能性があります。
もったいないように思えるかもしれませんが、消臭剤・芳香剤として使用した保冷剤はさらに再利用せず、そのまま廃棄しましょう。
トイレやシンクに捨てると危険
保冷剤は基本的に「燃えるゴミ」として処分できますが、お住いの自治体によっては「不燃ごみ」として処理しなければいけない地域もあるようです。
また、高吸水性ポリマーでできている保冷剤をトイレやシンクに捨てて水で流してしまうと、水分を吸収して排水管が詰まる原因となりますので、絶対に水に流さないようにして下さい。
《 ポイント 》
- 保冷材の中身をトイレやキッチンの排水、浴室の排水などに流すのはNG
- 芳香剤や消臭剤に使った保冷剤で簡易トイレを作らない
- 子どもやペットが口にしないようにする
最後に
保冷剤を再利用した災害用の簡易トイレの作り方はもしもの時にそなえて覚えておくと安心です。災害時には水道が止まってしまう、水道管や排水管の故障などでトイレが使えないことがあります。
そんな時に役立つのが今回ご紹介した簡易トイレです。ただし、作るのに1日かかりますので、防災用に作っておくといいですね。