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芽が出たじゃがいもを植えることはできる?
じゃがいもは植え付けてからおよそ100日で収穫できる作物です。
料理用にと購入したじゃがいもを、数日間放置していると芽が出てしまうことがありますよね。じゃがいもの芽には毒が含まれているうえに、芽に養分を取られてシワシワになるのでがっかりしてしまいます。
だからと言って捨てる必要はありません。芽が出ているじゃがいもを植えて栽培すると、およそ100日後には収穫できるんです!
芽が出たじゃがいもを育てる
植え付けるために作られた「種いも」は、ウイルス病や細菌の心配がないじゃがいもです。
農家でじゃがいもを栽培する場合、ウイルスなどの病原菌がつかないようにしっかり衛生管理された、植える専用の種いもを使います。
消毒していない種いもを使うとウイルスなどでだめになってしまうことがありますが、何度も同じ場所でじゃがいもを作り続ける「連作」によって発生しやすい傾向があるようです。
ただし、家庭菜園で、培養土を使って栽培する程度であれば「連作」を気にする必要はありません。
家庭で芽の出たじゃがいもを栽培する
食用に購入したじゃがいもで芽がでてしまったものは、ウイルスなどの病原菌がついている可能性があるとはいえ、基本的にはじゃがいもに変わりありません。
家にある芽が出たじゃがいもでも、土に植えれば育てることができます。例え、種いもであってもウイルスのついたものもあるので、それほど神経質になることはなさそうです。
もし、家のじゃがいもにウイルスなどの病原菌がついていたとしても、そういったじゃがいもはもともと弱いので育ちにくく、収穫に至らないケースが多いのがとか。
芽が出たじゃがいもを食べずに捨てるくらいだったら、試しに庭やベランダで栽培して楽しんでみてはいかがでしょうか。
《 ポイント 》
- 芽が出ているじゃがいもを栽培するとおよそ100日後に収穫できる。
- 農家ではウイルスなどの病原菌がつかないように衛生管理された種いもを使う。
- 病原菌がついているものは弱く、収穫に至らないケースが多い。
芽が出たじゃがいもを植えるのに必要なもの
植えるのに必要なものは以下を参考にして準備してください。
- 芽が出たじゃがいも2〜3個 (1個あたり50g前後のもの)
- 深さのあるプランター、または深くて大きな鉢
- 市販されている「野菜の土」で、できるだけ水はけのよいもの
- 草木灰、またはジャガイモ用切り口処理剤
- ナイフ
- 鉢底石
- 鉢底ネット(プランターに付属の鉢底ネットがない場合)
- 移植ゴテ
- 化学肥料
- ジョウロ
《 ポイント 》
- 土は市販されている「野菜の土」で、水はけのよいもの。
芽が出たじゃがいも植える手順
芽が出たじゃがいもを種いもとして植える
植え付けるのに適している種いもは、ウイルスに侵されていない、表皮に黒ずみや傷みがない、複数のしっかりとした芽が出ているものがおすすめです。
芽は少し伸びはじめた1〜1.5cm程度のもので、大きさは1片50g前後がベストなサイズです。40g以下の小さめの種いもは切らずにそのまま植え付けても構わないのですが、へその近くをそぎ切ってから植えると、それが刺激になって勢いのよい芽が出てきます。
大きいものは芽の数が均等になるように縦に二つ切りか四つ切にして、1個が50gくらいのサイズにしましょう。風通しが良い場所に2~3日置いて切り口がコルク状になるように天日乾燥させて乾燥させます。
植え付け直前に切って植え付ける場合は、切断面に草木灰や切り口処理剤を薄くまぶして、種いもが腐らないように一手間かけておきましょう。ちなみに、草木灰はホームセンター、もしくはネットでも数百円で購入できます。
芽が出たじゃがいも植える手順
- 深さのあるプランターに鉢底石を敷き、その上に市販されている「野菜の土」を入れる。
- 深さ5〜10cmくらいのところに芽が出たじゃがいも植える。
注1:切り口を上に向けると腐りやすいため、芽が出ている方を上に、カットした断面を下に向けて土に埋めます。
注2: 小さめのじゃがいもは切らずにそのまま1個丸ごと植えつけると腐りにくいです。 - そのまま土をかけて、植え付けの時だけ水をたっぷり与える。
注:その後は雨が降るのに任せて水は与えなくてもOKです。 - 芽が10cmぐらいに伸びたら芽かきをする。
芽が出るまではだいたい2週間弱ですが、芽が出てからは成長が早いです。1つの種いもからたくさん芽が出ると、小さい芋がたくさん出来て大きいものが収穫できないので、「芽かき」という作業をしなくてはいけません。 - 収穫する
じゃがいもは植え付けてからおよそ100日で収穫できます。
「芽かき」のやり方
- 土から芽が出てだいた10cmぐらいに伸びてきたら、栄養を集中させるために芽を2〜3本残して他を間引く。注:芽を間引く際は、じゃがいもが抜けないように株元を押さえながら行う。
- 間引いたあとは、倒れないように土を少し寄せる。
- 茎に直接触れないように化学肥料8〜10gを追肥する。
- 追肥をしてから2週間後に、再度化学肥料8〜10gを追肥する。注:こまめに様子を見ながら土寄せをする。
- じゃがいもの花のつぼみが出てきたら、そちらに栄養が取られてしまうので全部摘み取る。注:花が咲かなくても芋はできるので問題ない。
土寄せが必要な理由
じゃがいもは埋めた種いもよりも上の位置に実がなるので、土寄せが不十分だと土からじゃがいもが出てしまいます。
そうなると地上に出た部分に日光が当たって緑色になり、ソラニンという毒素を出すので土寄せはきちんと行わなければいけません。
収穫のタイミング
「春じゃがいも」は3月に植えて5~7月に収穫、「秋じゃがいも」だと、8月に植えて11~12月に収穫です。
じゃがいもは植え付けてからおよそ100日で収穫できるので、3/1頃にジャガイモを植えると、6/10頃に収穫できるということになります。
収穫のタイミングは茎や葉の色が黄色くなり、枯れて土の上に倒れたときがグットタイミングです。
土が乾燥していないとせっかく収穫したじがいもが腐りやすくなってしまうので、土が乾燥しているときに収穫するようにしましょう。
晴れた日に収穫したじゃがいもは、重ならないように並べて日陰で2週間くらい乾燥させます。収穫後のじゃがいもであっても、光が当たると同じように毒素が生成されて緑色になってしまいますので、必ず「日陰」で乾燥させてくださいね。
《 ポイント 》
- 芽が1〜1.5cm程度、1個50g前後の大きさがベスト。
- 小さめのじゃがいもは切らずにそのまま植える。
- 大きいものは芽の数が均等になるように縦に切り、1片50g程度にする。
- 芽が出ている方を上に、カットした断面を下に向けて植える。
- 栄養を集中させるために芽を1〜2本を残して他は間引く。
- 花のつぼみは全部摘み取る。
- 土が乾燥している晴れた日に収穫し、日陰で乾燥させる。
植えるのに適した芽が出たじゃがいもとは
植えるのに適した芽のサイズ
芽が出たじゃがいもを順調に育てるためには、芽がちょっとだけ出たものを植え付けます。
芽出しといっても芽にはさまざまな大きさがあり、その中で育てるのに向いているサイズは1〜1.5cm以下の短さで、芽が分散しているものが適しています。
短い芽が分散しているほうが良く、シワシワでしぼんでいるのは向いていません。また、短い芽だと太くしっかりとした苗に育ちますが、長い芽はだとヒョロヒョロした細い苗にしかなりませんので、芽を取り除いて普通に調理して食べたほうが良さそうです。
じゃがいもの芽出しする場所の条件
わずかしか芽が出ていないじゃがいもの場合、どんな環境下で芽出しをしたら良いのでしょうか?
暗い場所だと徒長した白い芽が出て植え付けるときに芽が折れやすので、雨がかからない10~20℃の温度が保てる場所が適しています。強い日差しだと高温になりすぎるので、程よく日差しが差し込む場所がおすすめです。
以上の条件に気を配りながら、2~3週間を目安に芽出しを行ってください。
好みの品種の種イモを選ぶ
種いもといっても様々な種類がありますので、お好みのじゃがいもの品種を選んでみましょう。
- ホクホクしたじゃがいもなら「男爵」「出島」など。
- 煮崩れしにくいじゃがいもなら「メークイン」「インカのめざめ」など。
- 煮崩れしにくくホクホしたじゃがいもなら「キタアカリ」「ホッカイコガネ」など。
- 紫色やピンク色のポテト系のじゃがいもなら「シャドークイーン」「ノーザンルビー」など。
《 ポイント 》
- 育てるのに向いている芽のサイズは1〜1.5cm以下の短いもの。
- 長い芽はだとヒョロヒョロした細い苗にしかならない。
- 雨がかからない、10~20℃の温度が保てる場所で芽出しをする。
- 様々な種類の中から好みのじゃがいもの品種を選ぶ。
最後に
いかがでしたでしょうか?ご家庭にあるじゃがいもから芽が出てきたからといって捨てるのはもったいない!
もし庭やプランターがあるなら芽が出たじゃがいもを植えて栽培してみてください。そうすると、日々成長していくのを観察する楽しみや、収穫する喜びを味わえることでしょう。
この記事でご紹介した「必要なもの」と「植え方」を参考にして、じゃがいもを家庭菜園で育ててみてはいかがでしょうか?