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舞茸は洗う必要はない
舞茸は洗わなくてもよいと言われていますが、中には不安に思う人もいるかもしれません。洗う必要がない理由や一般的な栽培方法を知ると納得できるでしょう。
洗うと風味や食感が損なわれ栄養素が抜ける
舞茸の美味しさは、ハリのある食感や独特の風味。洗うと風味や食感の良さが損なわれ水っぽい味になってしまいます。
また、舞茸には体に良い栄養成分がたくさん含まれていますがが、なかには水に溶けだしやすく水洗いで損なわれてしまう成分も。舞茸を美味しく、しかも栄養素を無駄なくとりいれるには、、水洗いをせず調理することがおすすめです。
徹底管理された中で栽培されている
舞茸の栽培方法は、樹木を粉状に粉砕したものなどに水を加え成型した「菌床」に菌を植えつけ、衛生管理された施設内で農薬や化学肥料なども一切使わずに育てられています。
このようにしっかりと管理されたクリーンな空間の中で栽培された舞茸。清潔なものなので洗わずに食べることができます。
気になる時はキッチンペーパーを使う
パックから出した舞茸をそのまま使うことに抵抗がある場合は、水分を軽く含ませかたく絞ったキッチンペーパーや布巾で優しく表面をふいてみて下さい。
舞茸の栄養成分と効果
舞茸は食物繊維が豊富で、その他ビタミンやミネラルなどの栄養成分も豊富に含まれています。きのこ類は健康や美容に良い成分が多いと言われていますよね。舞茸に含まれる栄養成分をみていきましょう。
食物繊維
舞茸に含まれる豊富な食物繊維の大部分は不溶性食物繊維です。この不溶性食物繊維は便のカサを増し腸のはたらきを刺激することで、お通じの改善に役立ちます。また、腸内で腸内細菌(善玉菌)のエサとなり善玉菌を増やしておなかの調子をととのえます。
また食物繊維の一種のB‐グルカンは免疫の活性力を高め、ウィルスに対する抵抗力を示すほか、抗腫瘍効果も期待できるといわれています。
ビタミンB群、ビタミンD
ビタミンB2には、タンパク質、脂質を分解する働きがあります。健康な髪や肌をつくり、目などの粘膜を保護します。美容のビタミンとも呼ばれています。水溶性ビタミンB群のナイアシンも豊富に含まれています。
ナイアシンは糖質・脂質・たんぱく質を代謝する際に補酵素としてはたらき、酵素のはたらきを助けるほか、血行促進作用などがあります。
そしてビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をよくし、骨や歯を強く丈夫にする効果があります。
カリウム
カリウムは、体内にある余分なナトリウムを尿と一緒に排出し血圧を正常に保ちます。
舞茸の特徴
舞茸は生で食べることができないため、必ず調理して食べます。食物繊維が豊富なため食べ過ぎるとお腹が刺激されて痛くなるなど不調の原因となる可能性があるので注意が必要です。1日30~50gが目安と言われています。なお舞茸には石づきはありませんが、根元にかたい部分があれば切り落としましょう。
舞茸の保存方法
その日か翌日までにいただくなら新聞紙や古紙に包んで冷蔵庫で保存。すぐに使わない場合は、干ししいたけにするか固い部分を落として適当な大きさに手で割き、フリーザバッグなどに入れて冷凍保存をしましょう。
使う時は解凍せず凍ったままの状態で調理します。冷凍することで、細胞膜が壊れうまみがでてきやすくなるためうまみが増すと言われています。
調理のポイント
舞茸は、包丁を使わず手で割いて使用すると美味しく仕上がります。舞茸のかさの部分から軸のほうに向かって割くと見た目も美味しそうに割けます。
舞茸には「プロテアーゼ」というたんぱく質を分解する酵素が含まれていて、肉などを柔らかくしてくれます。
高熱に弱く加熱のし過ぎは、独特の食感が損なわれてしまいます。まいたけはふんわりと立体的なかたちをしているので、炒めるなど、フライパンに触れていない部分に火が通っているのか心配になってしまうかも知れませんが、フタを併用するなどしてうまく全体に熱をまわし、シャキッと食感よく仕上げましょう。
「プロテアーゼ」の活性が強くなるのは70℃前後。その特性を生かして、まいたけパワーで柔らかいお肉を美味しくいただきましょう!おすすめはきのこ鍋やきりたんぽ鍋です。
お出汁にまいたけとお肉を入れて火にかけ、ゆっくり70℃を目指すようなイメージであたためていくことがポイントです。その後、お好みの具材を加えて仕上げましょう。
調理の時に気を付けること
汁物などにすると煮汁に舞茸の色が付きやすいという特徴があります。澄んだ色の料理に仕上げたいときは、舞茸をあらかじめさっと茹でておきましょう。
タンパク質分解酵素のプロテアーゼが含まれているため、茶わん蒸しなどに舞茸を入れると、卵のタンパク質が分解され固まらずどろどろとした仕上がりになるため、茶碗蒸しには向きません。
舞茸に含まれるビタミンDには、カルシウムなどの吸収をよくするはたらきがありますので、是非カルシウムを含む食材と一緒に摂りましょう。また、脂質と組み合わせると吸収がよくなります。
舞茸×脂質を含む食材×カルシウムを含む食材を組み合わせて美味しく効果的にいただきましょう!
例えば舞茸のバター焼き。舞茸をフライパンで芳ばしく焼いて、仕上がりにバターと微量のお醤油を加えます。全体に絡めたら味をととのえてパルミジャーノチーズなどをふんわりトッピング。
選ぶときは肉厚でハリのあるものがおすすめ
舞茸を購入する時は、できるだけ寄せ集めではなく一株もの、肉厚でハリとツヤがあり、水っぽい感じではなくパリっとしているものがおすすめです。
洗っていいきのこと洗わないきのこ
舞茸は洗わずに調理すると紹介しましたが、その他のきのこはどうなのでしょうか。洗っていいきのこと洗わないきのこを確認しておきましょう。
洗っていいきのこ
きのこは風味や栄養が落ちやすくなるので基本は洗いません。洗ったほうがよいきのこもあります。なめこにはヌメリの中に、おがくずなどが入り込んでいることもあります。
ザルなどにあけてサッと軽く水で洗いましょう。
又は、軽く湯どおしします。お鍋に湯を沸かして、なめこを放ち、サッとすくい取りましょう。
洗わないきのこ
その他のきのこは、洗うと風味や食感が損なわれてしまうことや、栄養を逃さないためにも洗わないほうがおすすめです。
マッシュルームは汚れがついている箇所を固く絞ったキッチンペーパーなどで軽くふき取りましょう。その他のきのこも、気になる部分があれば同様にふき取りましょう。
まとめ
舞茸をはじめ普段の食卓で使うきのこ類は、水洗いする必要がないものが多いのですね。汚れが気になる時は、軽くふき取る程度にしておかないと、風味や食感が損なわれるだけではなく、栄養成分が逃げてしまうので覚えておきましょう。体に良い栄養成分も豊富なきのこやまいたけを、献立に積極的に取り入れましょう。
<参考資料>
参考資料
農研機構「きのこ類」
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/nfri/contens/ffdb/ffdb_pdf/mushrooms.pdf
公益財団法人 栄養食品協会 「平成24年度 食品の機能性評価事業」
https://www.jhnfa.org/topic146-1.pdf
林野庁「きのこの成分と効用」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/seibun.html
日本食生活学会誌「キノコは冷凍に適しているか」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/26/1/26_11/_pdf/-char/ja
山梨学院短期大学研究紀要「マイタケで茶碗蒸しはなぜ固まらないのか」
都内のイタリア料理店数店舗で勤務後、大手レストラン企業本部スタッフ。2016年開業後はガス会社料理教室講師やCSRイベント講師等。現在はレストラン商品開発、レシピ提供、BtoB案件、ご家庭向けの簡単SDGsを伝える活動等を展開。Healthy Beauty Ecology なサステナブル・クッキングを展開。SDGsを取り入れた簡単おうちコンシャスごはん。日本茶アンバサダー。趣味は日本茶ペアリング