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きゅうりは「冷凍」で賢く保存しましょう
そもそも、「冷凍」と「冷蔵」の違いはなんなのでしょうか? もちろんみなさんも、「冷凍」が食材を凍らせる方法で、「冷蔵」が低温で保存するということくらいは知っているとは思います。しかし、「冷凍」と「冷蔵」のメリットやデメリットについて深く考えたことはありますか?
「冷凍」と「冷蔵」の違いは「温度」です。「冷凍」は食材をマイナス18度以下で保存することを指します。
一方で「冷蔵」は、3度~10度の環境下で食材を保存する場合を指します。ちなみに「野菜チルド室」などで設定されている温度は「0度前後」と言われています。
では、「冷凍」の最大のメリットはなんでしょうか? それは「長期保存」に向いているということです。食材の腐敗を進行させる「菌」は10度以下で活動が鈍くなり、マイナス15度以下の環境ではほとんど死んでしまうからです。
そのため、食材の腐敗を少しでも遅らせて、できるだけ長い間保存をしたいのであれば、やはり「冷凍」が最適の選択ということになります。
他方、「冷蔵」はどうでしょうか。すぐに取り出して調理に使ったり、食べたりしたい食材は「冷蔵」が向いています。つまり「冷蔵」は「短期保存」に向いているわけですね。
冷蔵庫のなかは、3度~10度で保たれています。よく知られている話ではありますが、基本的に冷蔵庫は、一番下のゾーンがもっとも温度が低く、上にいくほど温度が高くなります。
ただし、野菜室のほうはわりと高めの設定温度になっているので保存には要注意です。というのも、低すぎると「乾燥」が起こり、野菜内の水分が抜けて美味しくなくなってしまうからです。「低温=乾燥」ということは常に念頭に置いておきましょう。
みなさんも、気温が低くなる季節にお肌が「乾燥」することがあるでしょう。それは、寒い環境下では空気中に含まれる水分量が減ってしまうからなのです。それは野菜も同じこと。低い温度設定の環境下では、野菜が非常に乾燥しやすくなってしまいます。
だから、野菜室冷蔵は、わりと高めの温度になっているのです。それゆえ、食材(野菜)の傷みも進行してしまうのが弱点と言えます。
きゅうりの冷凍保存方法
きゅうりを丸ごと冷凍保存する
まずは、きゅうりを丸ごと冷凍保存する方法を紹介しましょう。
- 水洗いで汚れを落とす
よく水洗いして汚れを落とし、その後ペーパータオルで水分をふき取ります。水分は必ず残さないようにしましょう。水分が残ったままになりますと、そこから菌が繁殖して腐りやすくなってしまいます。 - ラップで包む
きゅうりを一本単位でラップに包みます。ピッチリ隙間なくラッピングしてください。空気が入るような余白があるのはNGです。ラップできゅうりを密閉するイメージがコツです。 - 冷凍バッグに入れる
ラッピングしたきゅうりを冷凍バッグに入れます。もしお手元に冷凍保存に適した袋(いわゆる「フリーザーバッグ」と呼ばれるものです)がなければ、購入しましょう。決して高くありませんので、ご安心を。フリーザーバッグにきゅうりを入れる際にも、空気が入らないようにくれぐれも気をつけましょう。 - 冷凍庫で保管する
きゅうりを入れたフリーザーバッグを冷凍庫に保管します。最大一ヵ月の長期保存が可能です。
きゅうりをきざんで冷凍保存する方法
きゅうりを丸ごと保存するのではなく、すぐ調理で使用できるようにあらかじめきざんでおきたいなら、次の方法を実践するとよいでしょう。
- 輪切りにする
きゅうりを薄く輪切りにします。輪切りの「厚さ」はお好みでかまいません。「きゅうりの酢漬け」の薄さでも大丈夫です。 - 塩を揉みこむ
輪切りにしたきゅうりを袋やボウルなどに入れて、塩を加えます。塩の量はきゅうり一本分に対して小さじ2グラムほどです。塩を加えたら、よく揉んできゅうりの輪切りに馴染ませます。これは、塩によってきゅうりの余計な水分をあらかじめ抜いておく意味があります。そうすることで、腐敗の進行を遅らせて保存期間が伸びるというメリットがあります。 - 放置し水気を切る
塩を揉み込んだきゅうりの輪切りを数分放置します。すると、だんだんと弾力のあったきゅうりが柔らかくなって“へたり”ます。その状態が確認できましたら、きゅうりの輪切りを手で絞って最後の水気を抜き取ります。 - ラップに包む
水気を抜いたきゅうりの輪切りをラップに包みます。ラップに包む量は、だいたいきゅうり一本分くらいがちょうどよいでしょう。ラッピングする際は、先ほどと同様、空気を含ませないようにしてください。気密性を意識してラッピングするように心がけましょう。 - フリーザーバッグに入れ冷凍する
ラッピングしたきゅうりの輪切りをフリーザーバッグに入れて冷凍庫に保管すれば完了です。
きゅうりの解凍手順
次に、冷凍したきゅうりを解凍する方法を紹介しましょう。
丸ごと冷凍したきゅうりを解凍する方法
- 流水にかける
まずは凍ったきゅうりを、ラップに包まれた状態のまま流水にかけます。くれぐれも、いきなりラップをはがさないようにしてください。また、解凍するからといって、お湯を使うことのないようにも注意しましょう。温度差で急速に傷んでしまいますし、みずみずしさが損なわれてしまいます。 - 半解凍する
ラッピング状態のきゅうりは、2~3分ほど水をかけてください。「まだ芯のほうが凍っているな」と思う程度でまったく問題ありません。「半解凍」くらいがちょうどいいのです。なぜなら、凍ったきゅうりを解凍しすぎると、氷が溶けたせいで余計な水分がきゅうりに含まれてしまい、ぶよぶよになって食感が悪くなるからです。 - きゅうりを絞る
きゅうりがほどよい固さの半解凍状態になったら、水をかけるのをストップしてください。それからラップをとって、きゅうりを絞ってください。解凍の際に生じたきゅうりの水気をとるためです。これで、丸ごと凍らせたきゅうりの解凍は完了です。
刻んで冷凍したきゅうりを解凍する方法
- 流水にかけて解凍する
フリーザーバッグからラッピングしたきゅうりを取り出し、ラップごと流水にかけて解凍します。その際、ザルやボウルに置いて水をかけるときゅうり全体に水が浸かるので、やりやすいと思います。このケースでも、お湯をかけないようにくれぐれも気をつけましょう。 - きゅうりを絞る
流水にかけているうちに、きゅうりに弾力が戻ってきたら水を止めます。それからラップをはがして、きゅうりの輪切りを手で絞ります。解凍の際に生じたきゅうりの水気をとるためです。これで、輪切りにしたきゅうりの解凍は完了です。
冷凍きゅうりの保存期間は20~30日程度
さきほども触れましたが、冷凍保存したきゅうりの鮮度が保たれるのは、最大一ヵ月程度です。冷凍保存する際に、そのきゅうりがどの程度の鮮度かによって、多少保存期間に違いはあります。買ったばかりのみずみずしい新鮮なきゅうりならば、適切な処理で一ヵ月は持つでしょう。
買ってから数日経っているきゅうりなら、持って3週間だと考えるのが妥当かと思われます。「20~30日程度」というのは、あくまでも目安です。冷凍保存前のきゅうりの鮮度を考慮して判断するようにしてください。
きゅうりを冷凍・解凍するコツと注意点
あらためて、きゅうりを解凍する際の注意点やコツを整理します。
きゅうりを冷凍するときは新鮮なものを選ぶ
買ってからすでに数日が経っているきゅうりは、冷凍するよりもさっさと食べて処理することをオススメします。すでに傷み始めているきゅうりを冷凍しても、あまり意味はないでしょう。それよりも、買ったばかりの新鮮なきゅうりを冷凍処理したほうが保存には適しています。
お湯をかけて解凍しない
もっともタブーです。冷凍きゅうりだけでなく、あらゆる冷凍食材に言えることですが、凍った状態の食材を解凍するときは、常温の冷水をかける「流水解凍」が基本です。
急ぐあまりお湯をかけて解凍してしまうと、溶けた氷が食材内で水になり、余計な水分が多く含まれた“ぶよぶよ”な状態になって質が損なわれてしまいます。
冷凍きゅうりを使ったレシピ
冷凍したきゅうりを使ったレシピをいくつか紹介します。とはいっても、冷凍きゅうりと冷蔵きゅうりのレシピ内容にほとんど違いはありません。
冷凍きゅうりの浅漬け
半解凍状態のきゅうりを使って浅漬けにすると、通常の浅漬けよりも、冷たくてシャキシャキとした食感を楽しめるのでかなりオススメです。
材料(4人分)
- 半解凍きゅうり:3本程度
- 塩:小さじ1/2
- しょうゆ:大さじ2
- みりん:大さじ1
- ごま油:大さじ1
- 顆粒和風だし:小さじ1
- 塩をふったきゅうりをお好みの大きさに切ります。
- しょうゆ、みりん、ごま油、顆粒和風だしをミックスしたタレを袋(ジップロックなど)に入れます。
- その袋に刻んだきゅうりを入れて揉み込みます。
きゅうりを使ったハムのポテトサラダ
材料(2人分)
- じゃがいも:小2個
- にんじん:1/4本
- 玉ねぎ:1/4個
- 冷凍きゅうり:1/4本
- ハム:2枚
- マヨネーズ
- じゃがいもを洗い、クッキングペーパーで包む。さらにそれをラップでやさしく包みます。
- 皮をむいたにんじんを、好みの厚さに切ってラップに包みます。
- じゃがいもとにんじんを一緒にレンジで約5分加熱し、じゃがいもの皮をむいて潰していきます。
- 玉ねぎを薄切りにして、水にさらしたあと水気を抜きます。半解凍きゅうりは薄切りにします。ハムはお好みの大きさに切ります。
- 最後に、③と④をマヨネーズとあえながら混ぜて完成です。
きゅうりの漬物は冷凍しても大丈夫?
まったく問題ありません。ただし冷凍する際は、きゅうりの漬物に含まれている水分を抜く必要があるため、漬物の汁をある程度絞らなければなりません。
解凍する際は、味が薄まっていると思います。なので、再び解凍して食べるときは、もう一度調味料をあえて味付けし直したほうがいい場合があります。
さいごに
さて、みなさんいかがでしょうか。きゅうりは通常の野菜室保存ではあっという間に傷んでしまいますが、冷凍では最大一ヵ月の長期保存が可能です。きゅうりを使った料理が大好きなら、安売りのときにまとめ買いして冷凍保存するのが経済的かもしれません。ぜひお試しくださいね。